1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

『ウルトラセブン』で活躍の「カプセル怪獣」…その魅力はポケモンにも影響?

マグミクス / 2020年9月19日 10時20分

『ウルトラセブン』で活躍の「カプセル怪獣」…その魅力はポケモンにも影響?

■出番がいちばん多かった「ウインダム」

「モ~ロボシ・ダンの、名を借りて~♪」

 特撮ドラマの金字塔『ウルトラセブン』が、4Kリマスター版として2020年9月29日(火)からNHK BS4Kで放送されます。1967年~1968年にTBS系で初放映され、本格的SF作品として人気を博した『ウルトラセブン』の世界が、4K映像でどのように現代に蘇るのか楽しみです。放送枠は毎週火曜の23時15分~。第1回の放送は第1話「姿なき挑戦者」と第2話「緑の恐怖」と、毎週2話ずつ全48話の放送が予定されています。

 円谷プロ制作の『ウルトラセブン』は、白と黒の斬新なデザインで人気の怪獣エレキング、和室アパートでの暮らしが妙に似合っていたメトロン星人、元祖合体ロボットであるキングジョーなど、クールなビジュアルの怪獣、宇宙人、ロボットらが続々と登場し、子供たちを熱狂させました。

 数多くのクリーチャーたちが暴れ回った『ウルトラセブン』のなかで、強くはなく、逆にやられっぷりのよさで印象に残っているのが「カプセル怪獣」です。モロボシ・ダン(森次晃嗣)がウルトラセブンに変身するまでの、つなぎ役でした。「カプセル怪獣」をモチーフに、岩井俊二監督は斎藤工主演映画『8日目に死んだ怪獣の12日の物語』を作り、現在公開中です。

 そんな“弱さ”が個性となっていた「カプセル怪獣」たちの魅力を振り返ります。

 記念すべき第1話「姿なき挑戦者」に、さっそく登場したのが1匹目の「カプセル怪獣」ウインダムです。モロボシ・ダンはウルトラセブンに変身する前、地球への攻撃を始めたクール星人たちの円盤に対し、まずウインダムを向かわせます。

 ダンが投げたカプセルから現われたウインダムは、全身シルバーメタルのなかなかカッコいいロボット型怪獣(金属生命体)でした。頭頂部からビームを発し、クール星人の円盤2機を撃墜します。まずまずの活躍ぶりでした。

 2回目の登場は第24話「北へ還れ!」。このときのウインダムは、カナン星人に電子頭脳を操られ、ダンに襲いかかります。変身したセブンにたしなめられる姿は、飼い主に叱られるダメ犬のような哀愁を感じさせるものがありました。3回目の出番は第39話「セブン暗殺計画(前編)」。凶悪なガッツ星人に立ち向かうものの、「相手にならん」とガッツ星人に一蹴されます。このときの戦いで、残念なことに殉職を遂げたようです。

■ひょうきんな顔立ちのミクラス

「ウルトラ怪獣シリーズ 55 ミクラス」(バンダイ)

 2匹目の「カプセル怪獣」として登場したのがミクラスです。赤、白、緑と派手にカラーリングされた、大きなツノが特徴です。クリクリとした丸い目をしたひょうきんな顔立ちで、脚本家・金城哲夫氏の故郷である沖縄の魔除け・シーサーを彷彿させます。

 パッと見はあまり強そうに感じさせないミクラスですが、意外な実力者です。第3話「湖のひみつ」で初登場し、人気怪獣エレキングを自慢の怪力でジャイアントスイングするなどの活躍を見せます。のちの『ウルトラファイト』を思わせる戦いぶりでした。第25話「零下140度の対決」では、寒さに弱いセブンがエネルギーを補給するまでの間、凍結怪獣ガンダーを相手に粘り強く戦います。野球で例えるなら、信頼できるセットアッパー的存在でした。

■老練な雰囲気を漂わせたアギラ

「ウルトラ怪獣シリーズ46 アギラ」(バンダイ)

 3匹目の「カプセル怪獣」はアギラ。恐竜のトリケラトプスっぽい風貌です。初登場となった第32話「散歩する惑星」では、ひと回り大きな怪獣リッガーを相手に善戦しました。第46話「ダン対セブンの決闘」では、ニセ・ウルトラセブンと戦うことになります。

 常に前傾姿勢で戦うアギラは、老練な柔術使いのようでした。でも、愛嬌を感じさせるウインダムやミクラスに比べると、いつも眠たげな表情のアギラはちょっと地味な印象です。話す機会がないまま、卒業してしまった物静かな転校生のような雰囲気でした。

 日本昔話の「三枚のお札」を思わせる「カプセル怪獣」たちは、一度も敵怪獣に勝ったことがありません。あくまでも時間稼ぎ要員でした。決して物語の主役にはならないものの、いつもセブンのために健気に戦う気のいい奴らでした。

 おっちょこちょいだけど憎めないウインダム、猪突猛進型のミクラス、寡黙なアギラ、それぞれ人間くささを感じさせます。『オズの魔法使い』に例えるなら、セブン=ドロシー、ウインダム=ブリキマン、ミクラス=ライオン、アギラ=かかし、を連想させるファミリー感があります。セブンも彼らと一緒だったから、孤独に悩まずに済んだのかもしれません。

 カプセルのなかに入った小さな怪獣が大きくなり、敵怪獣と戦う。「カプセル怪獣」のユニークな設定は、人気アニメ『ポケットモンスター』(テレビ東京系)に影響を与えたと言われています。ウインダム、ミクラス、アギラは、世界中で愛されているピカチュウたちポケットモンスターの先輩でもあるようです。

 3匹の「カプセル怪獣」が『ウルトラセブン』には登場しましたが、『ウルトラマンレオ』(TBS系)にも怪獣ボールのなかから現われるセブンガーというロボット怪獣が登場しました。セブンガーも「カプセル怪獣」に近い存在だと言えるでしょう。

 実は『ウルトラセブン』のダンは、合計5つのカプセルを持っていました。あと2匹、姿を見せていない「カプセル怪獣」がいることになります。そのうちの1匹は、第10話「怪しい隣人」でイカルス星人によって異次元空間に幽閉されたダンが放ったものの、実体化せずに行方不明になったままです。

 これまでに見たことのない、でも気のよさそうな怪獣がひょっこりと現われたら、それはもしかしたら異次元空間で長い間迷子になっていた4匹目の「カプセル怪獣」なのかもしれません。決して強くはないけど、いてくれるとホッとする存在。それが「カプセル怪獣」の魅力です。

(長野辰次)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください