ミニ四駆ブームの立役者『ダッシュ!四駆郎』の悲劇…放送終了の背後に「大人の事情」
マグミクス / 2020年9月29日 19時20分
■子供だけでなく、大人も熱狂、ブームの立役者
80年代末期、日本中の子供たちを熱狂させたホビー「ミニ四駆」。街の玩具屋では、ミニ四駆のコースが置かれていた時代。そのブームの火付け役だったのがコロコロコミック(以下コロコロ)1987年12月号から連載開始した『ダッシュ!四駆郎』です。栄光のロードを走り続けた同作でしたが、悲劇は思わぬ形でやって来たのです。
まずは簡単に時代背景からご説明いたしましょう。筆者がミニ四駆に興味を持ったのも『ダッシュ!四駆郎』がきっかけです。最初から見ていたわけでなく、小学館「月刊コロコロコミック」の巻頭になってから読むようになり、その面白さにハートをキャッチされ、すぐ単行本で後追いしました。
そうなると今度はマンガだけでなく、作中で活躍するミニ四駆に興味を持つようになります。しかし、すでに成人だった筆者が子供の輪に入ることはできません。特にミニ四駆を組み立てることなく、脳内サーキットでミニ四駆を走らせる日々を送っていたものです。
ですが、『ダッシュ!四駆郎』がアニメ化され放送を開始されると、周りのいい歳をした大人たちも次々に作品にはまり始めます。そして、大人たちによるミニ四駆チームができたわけです(笑)。後に聞いた話では、各地でそういう人たちは少なからずいたそうです。
しかし、当時各地で開催されていたミニ四駆大会は中学生まで。大人が入る余地はありません。ですから大会でよく見かけたのは、明らかにお父さんが作ったハイスペックなミニ四駆を子供が走らせるという光景でしたね。
そんな時、年齢無制限のトラッキンミニ四駆の大会をタミヤが主催、我々いい歳をした大人が徹夜でジャパンカップに並んだりしたこともあったものです。この時、たまたま知り合いになったのが前年に日本一となった中学生で、色々なテクニックを教えてもらいましたね。
また、その数年後には雑誌企画で大人だけのミニ四駆大会が開催され、そこに参加したこともありました。ミニ四駆というものには、子供だけでなく大人さえも夢中にさせる熱量があったわけです。
そして、このミニ四駆ブームを世間に注目させ、牽引したのが『ダッシュ!四駆郎』だったと筆者は考えます。
■アニメ版『ダッシュ!四駆郎』を襲った悲劇
タミヤのミニ四駆限定モデル 「ダッシュ1号 皇帝 (エンペラー) メモリアル」。ミニ四駆ジャパンカップ開催から30周年を記念した特別仕様
アニメ『ダッシュ!四駆郎』が放送開始したのは、1989年10月3日のことです。アニメファンの目を引いたのは声優陣の豪華さです。主役の四駆郎の声は野沢雅子さん。他のレギュラーも玄田哲章さん、関俊彦さん、佐久間レイさん、山口勝平さん、中尾隆聖さんと、有名声優さんが並びます。
この声優陣をきっかけに、アニメをチェックしたアニメファンは少なくなかったはずです。もともとマンガからファンだった人たちも満足するクオリティで、さらに新しい層を開拓したのは前述した通り。マンガと違ったアニメならではの演出も光っていました。アニメとしての『ダッシュ!四駆郎』は、大成功だったと思います。
しかし、放送はたった半年、全25話で終了してしまいます。実は、タミヤとコロコロは延長を考えていたのですが、企画の東急エージェンシーの都合で2クールでの終了が決まってしまったのです。
そして、このアニメ放送終了が次なる悲劇を呼びます。アニメ放送終了を「ブームの終わり」と考えた問屋や小売りが、ミニ四駆の取り扱いを縮小してしまったのです。
やがて子供たちも「アニメ放送終了」イコール「ミニ四駆ブームの終わり」と考え始めます。他の作品でもよく見られますが、アニメ終了に引っ張られて原作マンガの人気が下降することは珍しくありません。
しかし、タミヤもコロコロもブームはまだ続くと信じていたのです。その証拠に、1990年7月27日に特番として、完全新作の「ダッシュ軍団VSホライゾン軍団」が放送されます。また、同年9月には作品中で幻のマシンと言われた「ホライゾン」を、新たに開発したゼロシャーシで販売しています。
しかしながら一度動き出した歴史の歯車を止めることはできなかったのです。やがてブームは冬の時代を迎え、『ダッシュ!四駆郎』は「コロコロ」1992年3月号で連載を終了します。
ふたたびミニ四駆が脚光を浴びるのは、コロコロ1994年7月号から連載開始した『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』をきっかけとした、第二次ミニ四駆ブームとなります。
歴史にイフは付き物。もしもアニメが長く続いていれば、ミニ四駆ブームはまた違ったものになっていたかもしれません。そう思うと、アニメ『ダッシュ!四駆郎』の終了は、時代を大きく変えた出来事だったといえるでしょう。
(加々美利治)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
タミヤを堪能する秋のホビーイベント「タミヤフェア2024」レポート【達人のプラモ術<番外編>】
&GP / 2024年11月24日 15時0分
-
「静岡市プラモデル化計画」って何? 「ホビーのまち静岡」の魅力
マイナビニュース / 2024年11月8日 13時58分
-
美少女が“ねばねば”に? 中毒性高すぎな秋アニメのブレイク候補3選
マグミクス / 2024年11月5日 12時10分
-
大人気アニメ『超速スピナー』が25年の時を経て、11月4日(月)0時より各配信サービスにて配信、初解禁!
PR TIMES / 2024年11月1日 11時15分
-
美少年! 作画崩壊! 子安デビュー! アニメ『天空戦記シュラト』語り継がれて35年
マグミクス / 2024年10月31日 6時35分
ランキング
-
1「会いたい」大ヒットの沢田知可子さんが小田原移住し「主人に依存している」理由【あの人は今】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月25日 9時26分
-
2赤井英和の美人娘・沙希が「エレガント」「直視できない」「美しすぎます」元カレは人気お笑い芸人
スポーツ報知 / 2024年11月25日 12時15分
-
3デカ盛りレースクイーン・水瀬琴音 ミニスカ・ゴルフウエア姿披露に「眼福です 最高」「可愛い過ぎる」
スポニチアネックス / 2024年11月25日 11時46分
-
4テレビ屋の声 第92回 『あのちゃんねる』小山テリハ氏、番組を守り続けて異例の地上波復活 あのちゃんとの“物語”で受ける刺激とリスペクト
マイナビニュース / 2024年11月25日 6時0分
-
5菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月25日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください