『宇宙戦艦ヤマトIII』放送から40年。悪役デスラーの見せ場満載だった…新作映画との関係も?
マグミクス / 2020年10月11日 10時10分
■新たな乗組員の登場で、見どころに変化
1980年10月11日。今からちょうど40年前のこの日、「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」のTVアニメ3作目である『宇宙戦艦ヤマトIII』が始まりました。同作品は1作目と異なり、その後劇場版にはなっておらず、2作目のように劇場版のテレビ化でもありません。ヤマトシリーズというと、テレビ版は劇場版で代用できると思う人がいますが、この作品に関しては勘違いです。
物語は、流れ弾として太陽に命中した惑星破壊ミサイルの事件から始まります。これにより太陽は膨張して、地球はあと1年しか人類が住めない状態になってしまいます。
そこで、宇宙戦艦ヤマトが第二の地球を探すため、宇宙へ旅立つことになります。しかし、銀河にはふたつの巨大星間国家が覇権を争っていて、ヤマトはその争いに巻き込まれてしまいます。
今作品で特筆することは多々ありますが、まずは主人公の古代進が艦長代理でなく、正式に艦長になっていることです。これにより、新たな乗組員をメインにすえ、その成長を中心に物語は進んでいきます。
その新人乗組員の中心となるのが土門竜介。血気盛んな性格で、イスカンダルを旅していた頃の古代に似ていると言われています。射撃は訓練学校でトップの成績でしたが、ヤマトでは生活班炊事科に配属されてしまいます。それは土門の才能を見込んだ古代の与えた試練で、航海で経験をつんだ土門は、やがて波動砲の射手になるまでに成長します。
そして、もうひとりの中心人物が揚羽武。土門とは仲が良く、ふたりで行動することが多く、さまざまな出来事に遭遇します。ヤマトでは戦闘班飛行科に所属、艦載機コスモタイガーでその実力を存分に発揮します。物語終盤ではシャルバートの後継者、ルダ王女との交流という見せ場が用意されています。
また、新キャラだけでなく、今まで登場していたキャラにもいくつか見せ場は用意されています。中でも、あまり目立つ存在でなかった相原には、藤堂長官の孫娘の晶子とのラブロマンスが用意されています。
もちろん、主人公である古代にも見せ場はあり、他のシリーズでは見られなかった艦長という立場ゆえの苦悩、それを支える恋人の森雪という部分に注目です。
■登場シーンはすべて見せ場! デスラー総統から目が離せない
デスラーは現代のリメイク作品でも活躍する人気キャラのひとり。画像は「小説 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち (3)」(KADOKAWA)
ヤマトシリーズの見せ場といえば、やはり戦闘シーン。そうなると敵役も重要です。今回、登場する勢力はガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦という、銀河を二分する星間国家です。
ちなみに企画時にはゴーマン大統領率いるゼニー合衆国という勢力もあり、当時の東西冷戦を意識していたようです。しかし、ヤマトが日本、ガミラスがナチスドイツと考えると、第二次世界大戦を思わせる配置でもありますよね。
物語当初はボラー側の戦艦を助けたことからガルマン・ガミラスと敵対しますが、このガルマン・ガミラスこそ、古代と友情を結んだデスラー総統が新たに建国した国家でした。
デスラーといえば冷酷な独裁者というイメージですが、これまでの経験から急成長しています。
失敗した部下に対して、「あと2回失敗したら死刑」と、猶予を与えた上に奮起をうながす器量を見せます。
これまでなら即、床落ちの刑です(笑)。
また、最終回でのボラー連邦との決戦では……「あなたのお葬式は何宗で出せばよいのかな?」と、ベムラーゼ首相に余裕の表情を見せます。
さらに、これ以上にキザな台詞だったのが、「見たかタラン? 地球の少年が命をかけて咲かせた美しい花を…あの花を無駄に散らせてはならん」
この後、デスラーはハイパーデスラー砲でボラーを全滅させます。実は最終回ではヤマトはほとんど戦ってはおらず、デスラーが戦艦シーンの見せ場を持っていってしまいます。
もともと制作の西崎義展プロデューサーがデスラーを気に入り、劇場版2作目から見せ場が増えていたのですが、本作では登場シーンすべて見せ場かと思うほどの活躍に目が離せません。
もちろん、他にも見せ場や注目キャラはいっぱいありますが、筆者が一番オススメしたいのは「ガルマンウルフ」ことフラーケンです。ヤマトを拿捕するという金星をあげるほどの実力者で、一部では熱烈なファンがいることで有名です。その人気ゆえなのか、リメイク作品である『宇宙戦艦ヤマト2199』に登場しています。
実は、『宇宙戦艦ヤマトIII』の最初で設定された時代は西暦2205年(ナレーションでは23世紀初頭)。2205といえば、リメイクシリーズの次のタイトル『宇宙戦艦ヤマト2205』(2021年上映予定)と呼応しますね。現時点ではどのような関係になるかわかりませんが、新シリーズの開始前に予習するのも楽しいものかと思います。
(加々美利治)
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