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【追悼】声優・富田耕生さんが演じたキャラを振り返る。見えてくる「共通点」とは…

マグミクス / 2020年10月15日 19時47分

【追悼】声優・富田耕生さんが演じたキャラを振り返る。見えてくる「共通点」とは…

■富田耕生さんの代表的なキャラといえば?

 声優の富田耕生さんが2020年9月27日に脳卒中で亡くなりました。生前、多くのキャラクターたちに命を吹き込み、私たちを楽しませてくれました。富田さんが演じていた代表的なキャラたちをいくつかご紹介して、昔からのファンの方にはなつかしく思い出していただき、最近のファンの方にはあらためて知っていただきたいと思います。

 富田さんの声優としての活動は、アニメの創成期まで遡ります。まず、誰もが知っている日本最初のテレビアニメである『鉄腕アトム』(1963年)が、富田さんのアニメデビュー作といわれています。そして、同じくらい有名な『鉄人28号』(1963年)で初めてのレギュラーとして、大塚署長を演じました。

 この大塚署長との縁は深く、リメイク作品である『太陽の使者 鉄人28号』(1980年)でも大塚警部を演じ、世界観は明確につながっていませんが、翌年の『六神合体ゴッドマーズ』(1981年)では大塚長官を演じています。ですから、筆者の世代で「大塚署長」といえば、富田さんの声で脳内再生される人が多いと思います。

 富田さんのはまり役といえば、前述した『鉄腕アトム』では演じていませんでしたが、他の手塚治虫作品アニメで登場する「ヒゲオヤジ」こと伴俊作を忘れてはいけません。おそらく、一番多く担当しているのではないでしょうか? 他の方も演じてはいるものの、やはり富田さんの声が筆者にとって一番印象に残っています。

 はまり役といえば、忘れてはならないのが『キューティーハニー』(1973年)の早見団兵衛です。その人気の高さは、同じ永井豪作品の『UFOロボ グレンダイザー』(1975年)で、牧場団兵衛というそっくりなキャラを出演させたほどです。

 近年、リメイクされた『Cutie Honey Universe』(2018年)でも早見団兵衛を演じていたときは、とても嬉しかったことをおぼえています。

 みなさんが知っているという点では、バカボンのパパも長い間、演じていたキャラです。『平成天才バカボン』(1990年)以降、テレビアニメだけでなくCMなどでも演じていましたから、まさしく平成を代表するバカボンのパパだと思います。

 こうして並べてみると、代表的なキャラはヒゲの似合うキャラばかりです。

■富田耕生さんが得意とするキャラ、意外なキャラ

富田さんがはまり役のひとつ「早見団兵衛」を演じていた、『Cutie Honey Universe』DVD

 富田さんが得意とする役どころで思い出すのは、やはり博士役でしょうか。有名な作品でいうと『ゲッターロボ』(1974年)の早乙女博士、『超電磁ロボ コン・バトラーV』(1976年)の四ツ谷博士、『惑星ロボ ダンガードA』(1977年)の大江戸博士、『サイボーグ009』(1979年)のギルモア博士、『宇宙大帝ゴッドシグマ』(1980年)の風見博士と、さまざまなイメージの博士役を演じています。悪の博士という意味では、『マジンガーZ』(1972年)のDr.ヘルも忘れられません。

 さらに富田さんのスゴいところは、硬軟自在に演じられることにあります。今まで紹介した役柄のような年配男性キャラだけでなく、ユルい感じの動物キャラもお手のものでした。例えば『ムーミン』(1969年)のスニフ、『もーれつア太郎』(1969年)のベシなど、今でいうところの「ゆるキャラ」のようなキャラを演じています。

 普段とは違った軽い感じの声も、さすがベテラン声優と思わせるクオリティでした。アニメではありませんが、筆者の世代で思い出深いのが『ママとあそぼう!ピンポンパン』のワンダーワンタンという手人形サイズのキャラです。富山敬さん演じるドラねこブチャとのコンビの掛け合いが印象的でした。

 富山さんとはラジオもご一緒していたほか、マニアには有名な曲「めざせモスクワ」のB面で「アバダバハネムーン」をふたりでカバーしています。

 他にも意外な有名キャラとしては『ドラえもん』(1973年)の初代ドラえもん。劇場版『武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃』(1991年)では武者ガンダムを演じています。

 アニメ以外でも、海外ドラマや映画など、吹き替えでも数えきれないほど多くのキャラを演じています。文字数の都合ですべてご紹介できなくて申し訳ありません。

 最後に演じたと思われる作品は、2020年10月10日に放送された『名探偵コナン』の鈴木次郎吉になるかと思います。いつも通り、はりのあるお声を聞かせてくれていました。

 新しくお声を聞くことはもうできませんが、富田さんが残してくれた数々のキャラたちの声は永遠です。これからも私たちを画面の向こうから楽しませてくれることでしょう。心からご冥福をお祈りいたします。

(加々美利治)

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