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打ち切りの危機にあった『銀河漂流バイファム』 高評価が全話放送へつながる

マグミクス / 2020年10月21日 16時50分

打ち切りの危機にあった『銀河漂流バイファム』 高評価が全話放送へつながる

■OPの歌詞がすべて英語だった『銀河漂流バイファム』

 1983年10月21日は、TVアニメ『銀河漂流バイファム』(バイファム)の放送が開始された日です。『15少年漂流記』をモチーフとした作品で、謎の敵、ククトニアン人に襲われ大人たちを失った13人の少年少女が練習艦ジェイナスに乗り、地球を目指す過酷な旅路を描きました。当初の裏番組はテレビ朝日版『ドラえもん』であり、視聴率は低迷。23話での終了も考慮されましたが、視聴者の中学生・高校生を中心とした署名活動により打ち切りは回避され、全46話が放送されました。ライターの早川清一朗さんが、作品の見どころを振り返ります。

* * *

『バイファム』と言えば思い出すのが、歌詞が全て英語という、当時としては類を見ないオープニングテーマ「HELLO,VIFAM」です。この曲を最初に聞いた時の「えっ! ロボットアニメでこんなに格好いい歌があるんだ!」という衝撃は、今も忘れられません。1980年代のロボットアニメの曲には名作がたくさんありますが、そのなかでもトップランクの傑作にして異色作と言えるでしょう。

 なお、会話部分については本曲を作り上げたロックバンド「TAO」のメンバーが担当しており、ヴァイオリン&キーボードを担当していた関根安里氏が基地管制官役、ボーカルのDavid Mann氏がパイロットとコンピューター音声の役、作詞を担当したジャネット・辻野氏がマザーアームコンピュータ役だったことが、関根氏による「mixi」への書き込みで判明しています。

 しかしオープニングのインパクトとは裏腹に、本番組は低迷してしまいます。その最大の理由と言えるのが、裏番組がテレビ朝日版『ドラえもん』だったことでしょう。当時は小学生だった筆者もどちらかというと『ドラえもん』派であり、『バイファム』はたまにオープニングと番組の最後の方を見るという感じで、全話を見たのはLD-BOX発売後でした。

 一時は打ち切りも示唆された『バイファム』でしたが、視聴者の中心層だった中・高校生による署名活動により、無事46話を完走しただけではなく、OVAも製作されました。ファンの声を直接届けるという手段は1980年代にはしばしば行われており、衝撃的な最終回で知られる『宇宙戦士バルディオス』も劇場版の製作にこぎつけるなど、一定の効果をもたらしています。

■最終回のタイトルは「いつまでも13人」

 さて、本作の最初の舞台となるのが、地球から40数光年離れた植民惑星クレアドです。主人公のロディたち13人の子供は、異星人ククトニアンからの攻撃を受け家や家族を失い、生き残った大人たちと共に練習艦ジェイナス号へと逃げ込み、まずは近くの惑星ベルウィックへ、そして地球へと脱出を図ります。しかし追撃を受けるなか、大人たちは次々と死んでいき、最後に生き残ったケイト先生も閃光の中に姿を消してしまいます。(後に廃人になりながらも生きていたことが判明)。

 このとき地球側の植民地が攻撃を受けた理由ですが、実はクレアドもベルウィックも元々はククトニアン人が管理・植民実験を行っていた星であり、地球側が武力で制圧して住民を虐殺したという過去があります。13人のひとり、カチュアはそのとき虐殺を逃れたククトニアン側の生存者という設定です。武力行使の犠牲となるのは、いつでも子供たちなのです。

 とはいえ本作における子供たちは、哀れな犠牲者として振る舞う余裕などありません。生き残るために自ら戦わなければいけない立場となった年長の子供たちは、ラウンドバーニアン(以下、RV)と呼ばれる人型機動兵器を用い、自衛のための戦いを行います。ここまでの脱出及び子供たちが戦う理由を丁寧に描写したため、ロディたちが実際にRVに乗って戦うのは事実上2クール目以降となりましたが、実際にRVでの戦闘が始まると、非常にこだわった作り込みが多々見られました。それまでのアニメでは宇宙空間を自由自在に動ける作品も多かったのですが、本作は姿勢制御バーニアでの制御がきちんと描写されていたのです。また、子供たちは正規のパイロットではないため序盤はかなりあぶなっかしい場面も見受けられましたが、後半になり戦闘経験を積んだ頃には歴戦のパイロットのような戦いぶりを見せていました。

 しかし、本作の最大の見どころは戦闘シーンや重い設定ではなく、苦しい状況に置かれた13人の子供たちが、衝突しながらも助け合って生きて行くシーンの数々です。故・神田監督の生活感あふれるジェイナス船内の描写は時に楽しげですらあります。最終回のタイトル「いつまでも13人」は、生死を共にした子供たちの絆は、永遠であることを最高のタイトルであると筆者は考えています。

(早川清一朗)

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