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アニメ『デビルマン』の最終回は幻だった? 再放送がもたらした「モヤモヤ」の真相

マグミクス / 2020年10月27日 19時20分

アニメ『デビルマン』の最終回は幻だった? 再放送がもたらした「モヤモヤ」の真相

■『8時だョ!全員集合』の裏で、3クール継続の人気ぶり

 あれは誰だ!(ダン)誰だ!(ダン)誰だ!(ダン)
 あれはデビル デビルマーン デビルマーン……

 世代でない人も一度は聞いたであろう、アニメ『デビルマン』のオープニング。この(ダン)の部分で寄っていくテンポが、たまらなくいいですよね。筆者的には曲と絵がマッチした、アニメのベストオープニングのひとつだと思っています。

『デビルマン』は1972年7月8日からNET(現在のテレビ朝日)系列で放送されていたアニメ作品です。原作は漫画家の永井豪先生ですが、実はマンガ版『デビルマン』のアニメ化ではありません。アニメとマンガで設定や物語にいくつかの違いがあることからも、そのことがよくわかります。

 その理由は、『デビルマン』誕生までさかのぼります。永井先生が描いていたマンガ『魔王ダンテ』をベースにした新しい作品の基本設定をアニメ化したのがアニメ版『デビルマン』。永井先生が描きながらストーリーの方向性を整えていったのがマンガ版『デビルマン』というわけです。

 当初はマンガで死なせる予定だった飛鳥了が重要キャラになったことも、途中で永井先生が思いついたからだといわれています。そのため、アニメで了は登場していないわけです。漫画とアニメは同じ設定を使った別の作品。後に永井先生はそう評しています。

 それゆえ、違いは他にもあります。マンガではアモンという悪魔の力を吸収してデビルマンとなった不動明でしたが、アニメでは逆にデビルマンという悪魔が不動明の体を奪って人間界にやって来ます。

 しかし、初めて出会った人間の女の子、牧村美樹に心を奪われたデビルマンは美樹を守るため、悪魔の一族デーモン族を裏切って戦うことを決めます。つまりアニメでは本物の悪魔がたったひとりの女の子のために、すべてを捨てて戦うというヒーローものになっているわけです。

 それでは、アニメの人気は当時どれくらいだったのでしょうか?

 当時のテレビ作品は基本的に半年(2クール)でしたが、本作品は9ヶ月(3クール)も放送されていました。しかも裏番組は、「伝説のお化け番組」と言われた『8時だョ!全員集合』ですから、子供からいかに支持されていたかがよくわかるというものです。

 それだけの人気を誇った『デビルマン』ですが、最後にある出来事に見舞われます。

■再放送がもたらした驚きの数々。でも一番衝撃的だったのは…

『デビルマン』の主人公・不動明(左)と飛鳥了(右)。アニメ版に登場しない了は、マンガ版で重要な役割を果たす (C) 永井豪/ダイナミック企画

 アニメ『デビルマン』に何が起こったのか? 筆者の体験を通じてお話しします。

 本放送終了後、初めて『デビルマン』が再放送された時のことです。子供ですからいつものようにオープニングに合わせて歌っていると、途中から見たことのない映像に切り変わって、歌詞が一番から二番へと進みました。

 不思議に思っていると、本編が始まったので夢中で観始めます。その後、本編が終わった後にまた驚きがありました。

 それは、見たことも聞いたこともないエンディングが流れたからです。実は本放送時に『デビルマン』にはエンディングがなかったのです。

 この不思議な出来事には理由がありました。それは関東を含む一部の地域では『デビルマン』は25分枠だったのですが、本来は30分枠として制作されていたのです。

 そのため、本編の長さは一緒でしたが、25分枠では、オープニングと予告編は短くされ、エンディングは省略されていたのです。しかし、再放送は30分枠だったので完全版ともいえるバージョンで放送されたのでした。

 ちなみにこの25分枠と30分枠のバージョン違いはその後、『キューティーハニー』や『鋼鉄ジーグ』など、他の作品でもありました。

 しかし、驚くことこれだけではありません。第38話「妖獣ドリムーン 月は地獄だ」を見終わった翌日のことです。最終回のはずのドリムーンの話の後に、第39話「妖獣ゴッド神の奇跡」が放送されたのです。

 そう、実は『デビルマン』は本放送で最終回を放送していなかったのです。子供の頃の筆者は単純にキチンとした最終回が見られたと喜びましたが、成長するにつれ納得がいかない、モヤモヤした気持ちが高まってきたものです。

 当時は子供向け雑誌の記事くらいしか情報はありませんでしたし、コミカライズされたマンガ版『デビルマン』の最終回もドリムーンが最後の敵だったので、当時、妖獣ゴッドの存在を知っていたのは放送された地方の子供たちだけでした。少なくとも筆者と同じ関東圏に住んでいた子供たちは、その存在を知らなかったわけです。

 今のようにネットワークが発達した環境なら、放送された地方から情報が即座に入りますよね。昭和という時代だからこそ、再放送まで多くの子供が知らなかったエピソードだと思います。

(加々美利治)

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