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千葉雄大の舞台出演で注目、萩尾望都『ポーの一族』はどれだけ凄いマンガなのか

マグミクス / 2020年11月1日 13時50分

千葉雄大の舞台出演で注目、萩尾望都『ポーの一族』はどれだけ凄いマンガなのか

■永遠の時を生きる吸血鬼たちの世界を描く

 いまや、多くの少女マンガが恋愛ものの映画の原作となり、少女マンガ原作のドラマも毎クール放映されるようになり、人びとにとって少女マンガというものは、身近で当たり前の存在になってきました。

 その少女マンガの躍進を担い、1970年代に活躍した女性漫画家のレジェンドたちがいます。彼女たちは昭和24年ごろ生まれだったことから、「花の24年組」と呼ばれました。その代表格であり、今も現役で活躍されている少女マンガ界の至宝、それが萩尾望都(はぎお もと)先生です。

 萩尾先生は、少女マンガ界にもたらした功績から、2012年には少女マンガ家では初となる紫綬褒章を受賞、2019年にはこちらも初となる文化功労者に選出されました。

 萩尾望都先生は数多くの作品を描いてきましたが、中でも『ポーの一族』は、少女マンガ界で最も有名なマンガといっても過言ではありません。『ポーの一族』は1972年から1976年にかけて小学館「別冊少女コミック」にて断続的に連載された作品です。1976年には、『11人いる!』とともに第21回小学館漫画賞少年少女部門を受賞しました。

 そして、2016年5月には、連載終了から40年ぶりに小学館『月刊フラワーズ』にて新作『ポーの一族 春の夢』を発表。掲載した号には重版がかかり大反響を呼びました。

 また、2019年には続編第二弾『ポーの一族 ユニコーン』が発売され、現在も続編第三弾『ポーの一族 秘密の花園』が連載されています。

 少年の姿のまま永遠の時を生きる運命を背負った吸血鬼・バンパネラたちの200年あまりの世界を交差して進んでいく物語は今も新しく、新たなファンを増やし続けています。

■別々の物語が、見事につなぎ合わされていく面白さ

ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』ポスタービジュアル。宝塚による舞台化でエドガー役をつとめた明日海りおが、そのままエドガー役に起用。2021年1月梅田芸術劇場、2月東京国際フォーラムで上演予定

 物語は、18世紀中ごろのポーの村から始まり、1976年のロンドンへと続いていきます。主要な登場人物は、バンパネラとなったエドガー、メリーベル、アラン、そして、彼らを目撃してきた人びとです。

 物語は時系列に沿っては進まず、エドガーと妹のメリーベルがそれぞれバンパネラとなった経緯、養父母との出会い、別れ、アランとの出会い、エドガーとアラン2人の100年を超える旅路……などが行ったり来たりしながら進みます。

「あれ? この人がさっきの人の昔の姿?ってことは何年前だ?」と、マンガも行ったり来たりしながら読むこととなります。そして、オムニバスのように見えた単話のひとつひとつが、後半にかけてだんだんと繋がっていく様は圧巻です。

 私は『ポーの一族』を初めて読んだときに「少女マンガの全てはここにあったのか」と震えました。どの話に出てきても年も取らず姿形が変わらないバンパネラたちと、年を取っていく彼らを目撃してきた各年代の人びと。

 双方の対比によって、物語上での時間進行を読者に教え、そしてバンパネラと人間は一緒には暮らせないという悲しさを感じさせてくれるのです。

 また、出版された単行本や文庫本によって、各話を置く構成は異なり、読む本によって違ったイメージを抱きます。昨年発売された『ポーの一族 ユニコーン』でも、まさに話の順番が巧妙で、読み終わってからそのタイトルに「ううーん」と唸り声を上げてしまいます。

■33年越しの想いが詰まった舞台化

 1998年に発売された、『ポーの一族』文庫版1巻のあとがきにある言葉が、私はずっと印象に残っていました。

「就職時に宝塚歌劇団の演出助手をダメもとで受けたら受かり、『ポーの一族』を宝塚でやることを目標に掲げるも、20年以上叶っていない」

 なかなか難しいのかな……なんて思って、このあとがきを忘れていた2018年。宝塚で初めて『ポーの一族』を舞台化することとなるのですが、その脚本演出の方こそ、このあとがきを書いた小池修一郎先生でした。小池先生の目標は、33年越しに叶っていました。

 そしてその宝塚を飛び出し、小池先生の脚本演出のもと、男女混合のキャストによる舞台が2021年に幕開けします。アラン役に千葉雄大さんが起用されたことも明らかになり、ますます関心が高まっています。アランは子供っぽい性格で嫉妬深くもありながら、身体が弱く伏せがちで、柔和な雰囲気と鋭い意志を持つ千葉さんにピッタリに感じます。

 連載開始から50年近く経って、新刊では新事実もわかり、その世界の深さを広げ続ける『ポーの一族』。この舞台もまた、何かの始まりに過ぎないのかもしれませんね。

(別冊なかむらりょうこ)

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