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『ルパン三世』のモデルはこの人、ベルモンド! 冒険と美女好きな伊達男を特集上映

マグミクス / 2020年10月29日 18時50分

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■「すべての“カッコいい”の原点」

 冒険好きで、美女も大好き。悪党だけど、憎めない男。モンキー・パンチ氏が1967年から連載をスタートさせたコミック『ルパン三世』は、1971年からTVアニメ化され、今でも大変な人気があります。男の美学で貫かれたアニメ『ルパン三世』を観て育ったファンにとって、気になる映画の特集上映が2020年10月30日(金)から始まります。『ルパン三世』のモデルになったと言われている、フランスの人気俳優の主演作をセレクトした「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」です。

 ジャン=ポール・ベルモンドは日本では『勝手にしやがれ』(1960年)や『気狂いピエロ』(1965年)の主演俳優として知られていますが、フランス本国や世界各国ではアクションスターとして大人気でした。二枚目ではないものの、危険なアクションにスタントマンなしで挑み、ひょうひょうとしたユーモラスなキャラクターぶりで『リオの男』(1964年)や『カトマンズの男』(1965年)を大ヒットさせています。

「すべての“カッコいい”の原点」。そんなキャッチコピーで始まる「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」の予告動画を見てもらえば、ベルモンドが『ルパン三世』だけでなく、世界中のエンタメ作品に大きな影響を与えたことが伝わってくるのではないでしょうか。

■命綱なしで演じた危険なアクション

 今回の特集上映は、日本ではDVD化されていないベルモンド主演のアクション映画8本が選ばれています。特集上映を企画した映画評論家の江戸木純氏に、ベルモンド映画の面白さを語ってもらいました。

「若い世代は、ジャン=ポール・ベルモンドと聞いても『誰?』と思うかもしれませんが、1960年代~1970年代は米国のスティーブ・マックイーンと肩を並べる世界的なアクションスターだったんです。イケメンではありませんが、舞台出身で演技力があり、サッカーやボクシング経験があって身のこなしが軽やか。当時はCGがなかったので、危険なシーンも命綱なしでやっています。高層ビルでのアクションも、下に敷いたマットがカメラに映ることを嫌い、マットを外したと資料に記されています」

 涼しい顔で、ビルからビルへと飛び移り、ヘリコプターのロープにぶら下がってみせる怖いもの知らずのベルモンドの活躍は、まさに『ルパン三世』の原点だと言えそうです。

「スター俳優が怪我をすることを恐れて、危険なシーンはプロデューサーが止めるものですが、ベルモンド自身がプロデューサーも兼ねていたので可能だったんです。ジャッキー・チェンやトム・クルーズの先駆者と言えるでしょうね。当然、撮影中に大怪我をしたこともありますが、ジャッキー・チェンと違ってNGシーンを見せることはありませんでした。彼の美学を感じさせます」

 人気女優ジョアンナ・シムカスと共演した『オー!』(1968年)など、美女とのラブシーンがとてもシャレているのも、ベルモンド映画の魅力です。

■ルパンとベルモンドには、つながりがあった

ルパンのルーツと関わりがある、『大盗賊』(1961年) CARTOUCHE a film by Philippe de Broca (C) 1962 / STUDIOCANAL - TF1 DA - Vides S.A.S (Italie)

 アニメ「ルパン三世』ファンを自称する人に観てほしいのが、『大盗賊』(1961年)です。ルパン三世の祖父であるアルセーヌ・ルパンと関係のある作品です。

「ベルモンドがアクションスターとして売り出したのが『大盗賊』。これは18世紀のフランスに実在した義賊カルトゥーシュこと、ルイ・ドミニク・ブルギニヨンが主人公です。彼をモデルにしてモーリス・ルブランは『怪盗紳士ルパン』を執筆したと言われています。

 大泥棒に扮したベルモンドが相棒たちと金貨を盗み出し、美女とのロマンスもあります。これは、もう元祖ルパンと呼んでいい作品です。ちなみに『大盗賊』は日本語吹き替え版がVHSビデオとしてリリースされたことがあり、ベルモンドの声はルパン三世の声でおなじみの山田康雄さんが演じていました」(江戸木純氏)

 大掛かりな列車強盗を企む『大頭脳』(1969年)は、コメディタッチの粋な作品。ライバルを演じたデヴィッド・ニーヴンとの駆け引きで魅了します。

「『大頭脳』のおしゃれでコミカルな雰囲気は、TVアニメ『ルパン三世』第1シリーズによく似ています。クライマックスに自由の女神像が登場しますが、TVスペシャル第1作『ルパン三世 バイバイ・リバティ・危機一発!』の脚本家・柏原寛司さんはこのシーンにインスパイアされたそうです」

■『カリオストロの城』や『コブラ』にも影響

 ベルモンドがスタントマンを演じた『ムッシュとマドモアゼル』(1977年)は、飛行機の翼の上に命綱なしで立ってみせるという命知らずのスタントシーンが大きな見どころです。

「ベルモンド本人も、『これまでやってきたスタントの中でいちばん危険なものだった』と語っています。ラストシーンも注目です。ベルモンドが花嫁を抱くカットがあるのですが、宮崎駿監督の劇場アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)にもそっくりなカットがあります。

 また、ベルモンドは顔が瓜二つなスター俳優とスタントマンとの二役を演じており、ジャッキー・チェン主演作『ツイン・ドラゴン』(1992年)の元ネタとしても楽しめます。映画界の裏側を描いているところは、つかこうへい原作の『蒲田行進曲』(1982年)にも確実に影響を与えています」(江戸木純氏)

 他にも、ハードボイルドタッチの『恐怖に襲われた街』(1975年)の宣伝写真は、寺沢武一氏の人気SFマンガ『コブラ』のイメージの源泉のひとつになるなど、ベルモンドは多くのクリエイターたちのインフルエンサーだったそうです。

「ベルモンドは現在87歳。足は少し不自由になったようですが、まだまだ元気です。主演作が日本で久しぶりに上映されることを、とても喜んでいます。無茶なアクションに挑戦しているように見えますが、実は一流のスタントマンたちが事前にやってみせてから、ベルモンドは演じていたんです。一流のスタッフと一流のキャストがそろっていたから、できた作品ばかりなんです」

 すべての“カッコいい”の原点。ぜひ、スクリーンで堪能してください。

(長野辰次)

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