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『Gガンダム』がなければ歴史は変わっていた? ガンダムの「常識」を変えたその功績

マグミクス / 2020年11月1日 8時10分

『Gガンダム』がなければ歴史は変わっていた? ガンダムの「常識」を変えたその功績

■ガンダムを「ジャンル」へと確立させた3つの出来事

 今や単なる「アニメ作品」という枠を越えて、一大ジャンルとなった「ガンダム」。しかし、ブームからジャンルとなった道は、決して平坦なものではありませんでした。ガンダムの歴史を振り返った時、ターニングポイントとなった大きな出来事が3つあったと思います。

 ひとつは「MSV(モビルスーツバリエーション)」です。第一次ガンプラブームの時、アニメに登場したモビルスーツ(以下MS)、モビルアーマーはもちろん、艦船などもプラモデル化するほどの人気を得ていましたが、それは逆に、プラモデルにするものがなくなるということでもありました。なにしろ当時は「サイド7」のプラモデル化まで予定されていたくらいです。

 そこで、書籍で発表されていたアッグシリーズという、ラフデザインだけ作られたが、テレビに登場していなかったMSが販売されることになります。このアッグシリーズで一定の評価を得たことで、テレビに登場しないMSも商品として成立することが検証できたバンダイが、書籍展開していたMSVシリーズの発売を決めました。

 MSVの登場は一度、沈静化していたガンプラブームを再度盛り上げました。発売されたラインナップの数を見れば、当時の熱気が伝わるでしょう。このMSVのヒットが続編『機動戦士Zガンダム』(1985年)までブームを維持した原動力となったわけです。

 その後、 一年戦争や宇宙世紀の壁すら越え、MSVがガンダムという作品に必ずあるコンテンツとなったことは、みなさんご存知のことと思います。

 次が、「SDガンダム」です。低等身の愛くるしいデザインが男の子たちから圧倒的な人気を得たばかりか、MSに興味を持たなかった女性たちにも支持されたことで、ガンダムという作品の間口を広げる重要な役割を果たします。

 その人気は長く続き、ジャンルとして確立したのはガンダムそのものより前かもしれません。なにしろ「SD」となるMSを確保するため、定期的にガンダムの新作を作るという時期もあったほどです。

 このSDもガンダム作品とは切っても切れない関係です。『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)から『機動戦士Vガンダム』(1993年)の間、劇場作品とOVAだけでテレビシリーズがなかったガンダムを販売面で支えていたのは、間違いなくSDガンダムでした。

 そして、最後のひとつが『機動武闘伝Gガンダム』(以下Gガンダム)(1994年)です。

■創造は破壊の後にしか生まれない?『Gガンダム』が変えた「常識」

「MG 1/100 GF13-017NJII ゴッドガンダム」(BANDAI SPIRITS)」。主人公・ドモンの乗機として劇中で活躍した機体

 MSV、SDガンダムと来て、なぜ『Gガンダム』と不思議に思う人もいるでしょう。しかし、『Gガンダム』がなければ、ガンダムがジャンルとして確立したとは思えません。

 それは『Gガンダム』がガンダムの常識を打ち壊したからです。

 時系列で説明しますと、それまでのガンダムシリーズのテレビ作品は原作者である富野由悠季監督がすべて担当していました。いわば聖域のようなものです。しかし、ブームの再燃をはかった『Gガンダム』は、スポンサーがかなり主導して動きました。

 その流れで監督に抜擢されたのが今川泰宏さんです。今川監督といえば、『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』(1992年~)、真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日(1998年)などでも知られている通り、原作を大胆にアレンジすることで知られています。その手腕が『Gガンダム』でも振るわれました。

 例えば、宇宙戦争が舞台であったガンダムを、ガンダムファイトというガンダム同士が戦って地球の覇権を争うという舞台に変え、当時の流行である格闘ゲームを取り入れ、操縦者の動きに連動して機体が動くモビルトレースシステムなど、とてもガンダムシリーズとは思えない設定の数々です。

 この大胆な世界観構築が後のガンダムシリーズを決定づけました。人の手がけてきたものを引き継ぐ時、前任者を基準に考えてしまうものです。いわば富野監督から渡された「ガンダム」というバトンを、今川監督が大胆に変革したことで、それ以降のシリーズを担当する人たちが気がねなくガンダムシリーズを制作できたわけです。

 しかも、いまだに『Gガンダム』以上にガンダムという枠を突き抜けた作品はありません。それだけ今川監督が最初に果たした役割は大きかったといえるでしょう。

 当時の評判ですが、放送開始前は辛辣な意見が大半を占めていたことを憶えています。しかし放送が始まり、1クールを過ぎるあたりで人気に火がつき始めました。アニメ誌の特集が増え、ガンプラも次第にセールスを伸ばしていきます。「面白いものは面白い」―そういう反応に変わったのだと思います。

 結果的に『Gガンダム』は今でも人気作品のひとつに数えられるほど、視聴者に強い印象を残し続けています。

「創造は破壊しなければなし得ない」。

 使い古された言葉ですが、『Gガンダム』の功績を考えた時、筆者の頭に必ずよぎる言葉です。

(加々美利治)

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