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連載20年の『ギャグマンガ日和』 ファンに人気の「隠れ傑作」4選。腹筋が休まらない?

マグミクス / 2020年11月12日 19時50分

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■増田こうすけのギャグワールドを堪能する4エピソード

 連載20周年を迎え、TVアニメなどでも多くのファンに親しまれている「増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和」シリーズ(以下、『ギャグマンガ日和』)。それにあわせて自分の好きなエピソードに投票する「ベストオブギャグ総選挙!!」が開催され、のべ15万もの票が集まりました。

 第1位は『ギャグマンガ日和』の記念すべき第1幕「なめられペリー」という結果に。そこに聖徳太子シリーズやネットを中心に話題を集めた「麻雀」「ソードマスターヤマト」など、増田こうすけのギャグワールドが炸裂した傑作エピソードがトップ10にランクインしています。今回はそんな「ベストオブギャグ総選挙!!」で惜しくもトップ10入りは逃したものの1000票以上獲得した超傑作エピソードを紹介します。

●第11幕 昆虫のふしぎシリーズ[37] アカトンボのふしぎ(第2巻収録)

『ギャグマンガ日和』ではおなじみの設定である“博士とちびっこ”の回。その記念すべき最初のエピソードです。小学3年生のトオルくんが昆虫博士にアキアカネについてあれこれ教えてもらう、いかにも教育マンガにありそうな設定と画風で話は進むのですが……のっけからギャグの密度がとにかく高い!

 アキアカネの卵の比較対象が野茂英雄だったり、解説にかこつけて何かと博士が裸体を露出したがったり(顔しか出してないので読者には見えないという演出つき)、よく読めば最初の登場人物プロフィールにもびっしりギャグが忍ばせてあったりと、余白が許す限り読者を笑わせようとする、作者のギャグ漫画家としての真骨頂が味わえる初期の傑作のひとつです。この後も“博士とちびっこ”の構図は増田こうすけ作品の中核を担う設定へと進化していきます。

●第75幕 西遊記~旅の終わり~(第5巻収録)

『珍遊記』、『西遊記ヒーローGo空伝!』、『Peeping Life-World History 天竺からの帰還』など、ギャグ作品のモチーフとして使われることも多い西遊記。増田こうすけ氏が満を持して手がけたのがこのエピソードです。

 物語は三蔵法師たちがようやく天竺へと辿り着いたところからスタートするのですが……予想の遥か斜め上をいく天竺のビジュアル、どこまでも愚かな三蔵法師と孫悟空、沙悟浄のハイテンションな掛け合い、ラストまで疾走感あふれる怒涛の展開に、腹筋が休む暇もありません。また、キーパーソンである猪八戒の衝撃的な扱いに、一部ではちょっとした「ホラー回」ととらえる向きすらあります。何層にも魅力が重なった人気エピソードです。

 ちなみに、やたらとキャラクターが血(アニメでは黒い液)を噴出することでおなじみの『ギャグマンガ日和』ですが、三蔵法師は序盤に大量出血するため後半では“血以上の何か大事な液体”が噴出するという新しいダメージの表現方法も登場します。ギャグの中でマンガ表現の可能性を広げる、増田こうすけ氏の鬼才ぶりを感じさせてくれる回でもあります。

■実はファンの多い“偉人”回、そして欠かせないエピソードも!

●第105幕 グラハム・ベルの電話物語(第6巻収録)

 『ギャグマンガ日和』には昔の偉人が数多く登場します。総選挙でペリー、ルノワール(セザンヌ)、ハリスと並び人気が高かったのがこのグラハム・ベルのエピソードです。

 何かと傲慢でわがままなダメ中年として描かれることが多い『ギャグマンガ日和』の偉人たちですが、この話に登場するグラハム・ベルはシリーズ屈指の卑屈な精神の持ち主。なぜか全く自信のないベルは自身の発明品である電話を「腐ったパンツみたいな臭いがする」と尋常ならざる感性で卑下しまくります。

 隙あらば破壊しようとしたり、ドッジボールの球として使用したり……冒頭から筋金入りのネガティブぶりを発揮し続けます。松尾芭蕉や聖徳太子のようにすぐ調子に乗ってしまう人気キャラとは対照的に、周りがどんなに鼓舞しようとも頑として卑屈を貫く、新しい“厄介”の形を提示してくれたキャラクターでした。ぜひとも再登場して欲しい偉人のひとりです。

●第196幕 UFO(第6巻収録)

 デビュー作『夢 -赤壁の戦い-』から一貫してUFOは“増田こうすけ劇場”を彩ってくれる存在です。そんなUFOが登場するエピソードのなかでとりわけ読者の票を集めたのは、連載10年を迎えた時期に描かれたこのエピソード。

 タイトルもずばり「UFO」です。「おしゃべりだった友人が突如やってきたUFOにさらわれそうになり抵抗するが、友人はその間なぜかまったく喋らなくなる」という増田こうすけにしか生み出せない(描けない)突飛な設定に、心をわしづかみにされた読者も多かったことでしょう。

 沈黙を貫きながら宇宙人との攻防を繰り広げる友人を“応援しながら訝しむ”、そんな主人公の本来わかり得ない心境がなぜか手に取るようにわかってしまう不思議な没入体験を可能にしてくれます。毎回、今までにないシチュエーションを用意してくれる“増田こうすけ劇場”の魅力に、どっぷり浸かれること間違いなしのエピソードです。

 今回は「ベストオブギャグ総選挙!!」の結果から人気の高い4エピソードをピックアップしましたが、みなさんのお気に入りのエピソードはありましたか? 『ギャグマンガ日和』はあらゆる角度から読者の笑いのツボを刺激してくるので、その日の気分によってマイベストが更新されることだってある、底知れない魅力を持った作品です。

 また、キャラクターのTシャツの柄や店の看板にもギャグが隠されているので、読み返すたびに思わぬ不意打ちを受けてしまうことも。このように、読む者を何度も笑わせてくれる『増田こうすけ劇場』が連載20周年を迎え、今も変わらずに続いている……これがどんなに素晴らしいことなのか、改めて噛みしめたくなります。同作は現在も『ギャグマンガ日和GB』として、集英社「ジャンプSQ.」にて大好評連載中です。

(片野)

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