“伝説の作画崩壊”から注目され始めた「キャベツ回」 作画が素晴らしいアニメ3選
マグミクス / 2020年11月25日 16時40分
■『夜明け前より瑠璃色な』の作画崩壊以降、注目される「キャベツ回」
とてもキャベツとは言い難い、黄緑のボール状の物体が「キャベツ」として登場し、「伝説のキャベツ回」として話題になったTVアニメ『夜明け前より瑠璃色な-Crescent Love-』第3話の料理シーン。それ以降、『ハヤテのごとく!』第17話でそっくりなパロディが行われ、アニメの作画レベルを測る「キャベツ検定」なるものが生まれるほど、「キャベツの作画」には注目が集まるようになりました。そこでこの記事では、キャベツの作画がきれいな回を3作品からご紹介します。SNSでも「キャベツ作画ヨシ!」「キャベツ作画に命削ってるアニメは名作」と評判です。
●『THE IDOLM@STER(アイドルマスター)』第3話「すべては一歩の勇気から」
2017年リリース マキシシングル『THE IDOLM@STER STELLA MASTER 00 ToP!!!!!!!!!!!!!』(日本コロムビア)
『THE IDOLM@STER(アイドルマスター)』は、同名の育成シミュレーションゲームを原作にアニメ制作会社A-1 Picturesが手がけたアニメで、劇場版の制作やマンガ化なども行われ、原作同様根強い人気を誇る作品です。キャベツのシーンは第3話「すべては一歩の勇気から」に登場します。
都内にある芸能事務所「765プロダクション」では、トップアイドルを目指して、12人の駆け出しアイドルと新人プロデューサーが日々レッスンや営業活動を行っていました。レッスンや宣伝写真の撮り直しなど地道な努力が功を奏し、降郷村(ふるさとむら)夏祭りイベントへの出演が決定。久しぶりの全員参加かつステージで歌える仕事に、アイドルたちは大喜び。しかし、車に揺られて向かった会場は、かなりの山奥でした。機材のセッティングや料理の準備など、村の人のお手伝いをするアイドル達。楽しみながら準備を進める一行でしたが、男性恐怖症の萩原雪歩(はぎわら・ゆきほ/CV:浅倉杏美)の様子がおかしくなり――?
本作では、第3話で三浦あずさ(みうら・あずさ/CV:たかはし智秋)が村の人のお手伝いをするシーンでキャベツが登場します。葉と葉の間の隙間の空き具合や、外側の葉と内側の葉の色の濃さの違いなど、実際のキャベツにかなり近い作画です。第4話でも、料理番組に出演するシーンでキャベツの千切りが描かれており、少し脇に散らばる切れ端までリアルに再現されていました。個性が強く魅力的なアイドルたちが活躍する本作は、前向きに頑張る女の子の姿に感動できるシーンが数多くあります。12人のうちひとりに焦点を当て、毎回変わるエンディングテーマにも注目です。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「U-NEXT」などで見ることができます。
●『花咲くいろは』第1話「十六歳、春、まだつぼみ」
『花咲くいろは』 (C)花いろ旅館組合
『花咲くいろは』は、『Angel Beats!』や『Charlotte』を手がけたアニメ制作会社P.A.WORKS初の完全オリジナルアニメであり、後に制作した『SHIROBAKO』や『サクラクエスト』など働く女の子を描く「お仕事シリーズ」の第一弾です。キャベツの作画は第1話「十六歳、春、まだつぼみ」に登場します。
ある日、母・松前皐月(まつまえ・さつき/CV:本田貴子)から突然「夜逃げをすることになった」と言われた松前緒花(まつまえ・おはな/CV:伊藤かな恵)。しかも行き先は母と別で、会ったこともない祖母のいる「喜翆荘」(きっすいそう)という旅館でした。仲の良かったクラスメイト・種村孝一(たねむら・こういち/CV:梶裕貴)との別れに暗い気持ちになりながらも、新しい生活への期待に希望を持つ緒花。「喜翆荘」に到着したところ、出会った美少女に突然「死ね」と言い渡され――?
本作では、第1話冒頭の料理シーンでいきなりキャベツが登場。芯を取り除き、少し太めに千切りする様子はかなり実際の料理行程に近く、作画の安定性はもちろん動きにもリアルさが感じられます。第8話でも、喜翆荘の板長・富樫蓮二(とがし・れんじ/CV:山口太郎)がプレッシャーからゆっくりキャベツを刻むシーンがあります。上の葉からゆっくりと千切りになっていく様子が分かるうえ、断面を真正面からとらえたアングルも珍しいといえるでしょう。全体的に作画も良く、『SHIROBAKO』で感動した方におすすめの作品です。この作品は、「dアニメストア」「バンダイチャンネル」「U-NEXT」などで見ることができます。
●『デート・ア・ライブIII』第10話「もうひとつの世界、もうひとりの彼女」
『デート・ア・ライブIII』 (C) 2019 橘公司・つなこ/KADOKAWA/「デート・ア・ライブIII」製作委員会
『デート・ア・ライブIII』は、ライトノベル『デート・ア・ライブ』(原作:橘公司・作画:つなこ/KADOKAWA)を原作としたアニメで、本作はその第3期にあたります。現在第4期の制作が予定されている人気作品で、キャベツのシーンは第10話「もうひとつの世界、もうひとりの彼女」 に登場します。
あらゆるものを破壊しつくす災害・空間震に見舞われている人類は、その原因である謎の存在・精霊を武力で根絶しようとしていました。しかし、空間震を抑えるもうひとつの方法があったのです。それは、「精霊とデートしてデレさせること」。男子高校生・五河士道(いつか・しどう/CV:島崎信長※崎の字は立つ崎)は精霊をデレさせ、キスすることでその力を封じる能力を持っており、これまでも彼女たちとの「デート」で精霊と世界を救ってきたのでした。今回も精霊のひとり・鳶一折紙(とびいち・おりがみ/CV:富樫美鈴)のためにとある行動を起こした士道でしたが、いつもとは違う周囲の様子に違和感を覚え――?
本作でキャベツが登場するのは第10話。色のグラデーションや葉の一枚一枚の重なりまで丁寧に描かれており、切った後のキャベツの重なり方も自然に描写されています。料理系のアニメでないにもかかわらず、当時SNSでも「キャベツ検定合格」「これで神作画の仲間入り」と高く評価されました。また、本作は一見ハーレム系の恋愛アニメのようですが、ハーレム気分も味わいつつデート(=戦争)でのバトルシーンも堪能できる、「恋愛だけではない」見ごたえある作品となっています。この作品は、「dアニメストア」「バンダイチャンネル」「U-NEXT」などで見ることができます。
* * *
近年のキャベツ作画のクオリティの高さには、目を見張るものがあります。その注目度は、「キャベツを描いたが妙なプレッシャーがあった」と『炎炎ノ消防隊』の作画監督がSNSでつぶやくほど。今後もキャベツが登場するたびに、厳しい「キャベツ検定」が行われることでしょう。
※配信状況は記事掲載時点のものです。
(新美友那)
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