昭和の子供たちが熱中した「20円ガチャ」 ブームの始まりと終わりを振り返る
マグミクス / 2020年11月29日 14時20分
■最初のブームは「スーパーカー消しゴム」だった
一般的にガチャガチャ、ガチャポンと呼ばれるカプセルトイ自動販売機のことを何と呼びますか? ちなみに「ガシャポン」はバンダイの登録商標、「ガチャ」はタカラトミーの登録商標だそうです(本文では文字数の都合により、ガチャで統一させてもらいます)。
筆者の地域では、初期のガチャは10円玉を2枚重ねて回す20円のものと、100円玉1枚で回す100円のものがほとんどで、他のものはあまり記憶にはありません。主に駄菓子屋や商店の外にあったものが20円、100円のものも外に置いていた場所はありましたが、デパートの玩具屋や屋上で見かけたイメージです。
中身はアタリ以外、ミニ本やコマ、バッジにシール、消しゴム人形のようなものでした。筆者の印象に残っているのは後楽園球場が人工芝になった時に出た、「人工芝の切れ端」です(笑)。
そんな風に、子供心にも「絶対欲しい」と思えるほどのラインナップではなかったのですが、ある時期から急速に射幸心をあおられるものが登場します。それは「スーパーカー消しゴム」です。
スーパーカーブームの際、ガチャの目玉として登場したスーパーカー消しゴムが、子供たちのコレクション心に火をつけました。当時はこのスーパーカー消しゴムを使った遊びが流行ったことも一因ですが、比較的に安価で数がそろえられるという点が、集めようという気持ちにさせたのだと思います。
カウンタックなら黄色、フェラーリなら赤といったこだわりで集め始める子供もいましたから、ガチャの中身は数日でなくなることも珍しくありませんでした。筆者が思うに、こうしたコレクション要素があると子供は射幸心をくすぐられ、いつの時代もブームに火がつくものです。
スーパーカー消しゴム、それが筆者の体験した最初のガチャブームだと思います。
ガチャですから、なかなか望みのものが出ない。しかし、欲しいものは見えているわけですから、子供たちの熱狂ぶりに拍車がかかるわけです。子供だけに引き際がわからないのも過熱する原因でしょう。
ちなみに筆者は、中身を入れ換える業者が現れるのを待ち、ビニール袋に入れた消しゴムを見せて「こんなに買っているからひとつくらい選ばせて」とねだっていました。これが、だいたい成功します(笑)。
■ウルトラ怪獣、ガンダムとブームは続いたが……
「ガチャ」は古き良き駄菓子屋やおもちゃ屋の店先で、ゲーム筐体などとともに置かれていた (2006年、佐藤勝撮影)
振り返ると、筆者は甘え上手な子供だったみたいです(笑)。そのせいか、業者のおじさんも色々と話してくれました。筆者が一番有益に思えた情報は、「ガチャのどこにアタリを置けば最後まで出ないか」です。そして、その置き方を実際に目の前でやりながら教えてくれました。
その時は単にガチャの回し時のタイミングをはかることに有効な技でしたが、後に筆者が玩具屋になった際、参考にさせてもらいました。
しばらくしてスーパーカーブームは終焉を迎えましたが、入れ替わりに第3次怪獣ブームがやって来ます。この時の主役はミニサイズになったウルトラ怪獣でした。
これは1977年にカプセルトイ市場へバンダイ(当時のポピー)が参入したことが大きな理由です。それまで販売していた怪獣のソフビ人形などは普通の子供は持っていても両方の指で数えられる程度でしたから、それが何十個も集められるガチャサイズは当時の子供にとって、数多くコレクションできる初めての怪獣でした。
しかし、この頃から正規の商品でない、いわゆるパチモンが目立つようになってきます。しかも今ならクレームものですが、違う商品を混ぜて水増しするといった行為が当たり前のように行われていました。
筆者も「見たことがないウルトラ怪獣だ」と思って底に刻印している名前を見たら、『流星人間ゾーン』の恐獣でひっくり返ったことがありました(笑)。
こんな風に20円ガチャは次々に子供心をくすぐるラインナップを出してきましたが、最後のヒットとなる『機動戦士ガンダム』を最後に姿を少しずつ消していきます。
それはバンダイが100円専用として大人気だった『Dr.スランプ アラレちゃん』のガチャをラインナップしたことがきっかけでした。これ以降、バンダイは本格的にカプセルトイに力を入れ、『キン肉マン』で「キン消し」という大ヒットを産み出します。
その逆に、コスト的な問題で20円の価格を維持できなくなってきたこともあり、20円ガチャは静かに姿を消していきました。
時代は変わり、ガチャも200円が当たり前の時代となり、さらに現代では1000円代のものまでリリースされています。最近のよく出来た商品ラインナップもいいのですが、20円ガチャの頃の「アタリ」or「役に立たないオモチャ」というギャンブル感も懐かしく思う時がたまにあります。
(加々美利治)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「ウルトラマン カードゲーム」ベリアルらダークヒーロー参戦 ブースター第3弾「復讐と闇の輪廻」発売決定
シネマトゥデイ 映画情報 / 2025年1月10日 12時0分
-
『トリビアの泉』のせいで観てない人も知ってる「ウルトラマン衝撃シーン」 手から水、体ペラペラ
マグミクス / 2025年1月6日 15時0分
-
ダメだけど無性に愛おしい…あの人気キャラにそっくりな昭和の“パチモン”シールたち ビックリマン全盛期に生まれた懐かしの便乗商品は今
まいどなニュース / 2025年1月3日 11時30分
-
第5次ブーム迎えたカプセルトイ市場 熱烈人気は今後も続く
Finasee / 2024年12月27日 7時0分
-
【たまごのカプセルトイ7種類が新登場】ガチャの中身は?JA全農たまごミニチュアコレクション
TABIZINE / 2024年12月21日 7時30分
ランキング
-
12023年に急逝した五彩緋夏さんの親友、“2年前の写ルンです”を現像……緋夏さんとのお宝ショットに「この写真が見れてよかった」と大きな反響
ねとらぼ / 2025年1月13日 12時45分
-
2セザンヌの“700円福袋”を開封したら…… 予想以上の開封結果に驚きの声「太っ腹すぎる!」「プチプラでも優秀」
ねとらぼ / 2025年1月14日 19時30分
-
3IIJmio、mineo、NUROモバイル、イオンモバイルのキャンペーンまとめ【1月15日最新版】 110円スマホや高額ポイント還元あり
ITmedia Mobile / 2025年1月15日 10時34分
-
4「神ゲー」日本からの声高く翻訳後の日本売上7倍に、“日本人に何故か熱い注目あびたため”日本語実装のインディーSRPG―「実際は、賭けだった」語られる裏側
Game*Spark / 2025年1月11日 18時45分
-
5「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
ねとらぼ / 2025年1月15日 7時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください