TV版『エヴァ』衝撃の最終回放送後 『旧劇場版』上映で…「難しい問題」
マグミクス / 2020年12月7日 16時40分
■『シト新生』上映に、真の『エヴァ』最終回を求めたファンの行列
1996年11月23日、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』(以下、旧劇場版)のオリジナルテレホンカード付き前売券を購入するために、筆者はまだ暗いうちから友人たちと一緒に映画館の前に並んでいました。今はもうない、古い映画館でした。この日はとても冷え込んでいて、筆者は『旧劇場版』と聞くとまず、床のコンクリートからしんしんとしみ込んでくる寒さを思い出します。それでも耐えられたのは半年間、固唾を飲んで見守り続けた作品の本当のラストを知ることができる興奮が、心を熱くしていたからでしょう。
1995年から96年にかけて放送されたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、エヴァ)は、OVA『トップをねらえ』やTVアニメ『ふしぎの海のナディア』を手掛けた庵野秀明監督とスタッフが紡ぎあげた魅力的なキャラクターや演出、深遠さを感じる設定などが人気を呼び、多くのファンをとりこにしていました。知人友人同士でさまざまな考察が行われるだけでなく、普及し始めたばかりのインターネットや、パソコン通信などで活発な議論が行われ、『エヴァ』の人気を醸成していたのです。
しかし制作の遅れから、「弐拾伍話」と「最終話」は本来の意図とはかけ離れた作品が放送され、ファンを唖然とさせました。筆者もそのなかのひとりで、ビデオテープを巻き戻し、何度も何度も見直し考察を繰り返しましたが、碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーが夫婦扱いされて同時に否定する息の合い方と、パンをくわえ「ちこくちこくー!」と叫んでいる綾波レイのかわいさくらいしか得るものはなかったのです。
このまま『エヴァ』は終わってしまうのか、いやそんなことはないだろう、何かあるはずだ。そう考え始めていた1996年4月、突然TVの総集編に25話と26話のリメイクを加えた完結編『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』及び、新作劇場版の制作が発表されたのです。
当然ファンは歓喜し、それまでにも増して多くの考察が為されるようになり、発売されるキャラクターグッズは飛ぶように売れていきました。筆者もどれだけお金を費やしたのかは覚えてはいませんが、UCCコーヒーのアスカ缶は今でもずっと大事にしています。
■頭から離れない、林原めぐみが演じた「焼き殺される女性の悲鳴」
残念ながらこちらも制作は遅れ、新作劇場版は中止となりました。そして、当初の上映予定だった1997年3月にはTV版の総集編である『DEATH』と25話のリメイクである『REBIRTH』が途中まで上映されることになったのです。
上映初日、映画館に駆けつけた筆者の目の前に映し出されたのは、特務機関NERV本部が戦略自衛隊に侵入され、壊滅していく姿でした。特にエレベーターの中で火炎放射器に焼き殺される女性の悲鳴は、今でも脳裏に焼き付いています。
このときの声は、聞いた瞬間にレイ役などを務める林原めぐみさんだとわかったのですが、その演技は「ああ、人が焼き殺されるときの声はこうなんだ」と心の底から理解できるほど壮絶なものだったのです。林原さんの力は、死すら表現しうる水準なのだと戦慄を覚えました。
悲惨な戦況のなか、TV版では衰弱しきったままだったアスカが復活し、戦略自衛隊を蹴散らします。しかし突如として降下してきた9機の「EVA量産機」(以下、量産機)が空を舞い、アスカが「エヴァシリーズ……完成していたの?」と呟き、主題歌の「魂のルフラン」が流れこの日は一旦幕を閉じました。
一体この後どうなってしまうのか。その答えは4か月後の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』で明かされました。アスカと弐号機は量産機を相手に奮戦し一旦は全機を撃破しますが、すぐに復活してきた量産機に蹂躙されて無残な姿を晒します。ミサトとの別れを済ませて出撃したシンジはその光景を見て絶叫、やがてサードインパクトが発生し人類補完計画が発動、物語は終幕へと突き進んでいきます。
本作のテーマを尋ねられた庵野監督は「最終的には、いいじゃん、他人がいても、ということですね」と語っています。ラストシーンに込められた意味をその言葉だけで理解するのは、筆者にとって今なお難しい問題です。
(ライター 早川清一朗)
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