ジャンプ作品“らしくない”マンガ3選 王道展開に飽きてきた方々にオススメ!
マグミクス / 2020年12月13日 15時40分
■「狂気・サスペンス・SF」 ジャンプの王道を外れた名作マンガ
「週刊少年ジャンプ」の三大原則と言えば「友情・努力・勝利」。純粋な心を持った主人公が仲間たちと巨悪に立ち向かう、といったバトルマンガや、熱い展開が繰り広げられるスポーツマンガが「ジャンプ」作品の王道と言えるでしょう。
ですが、なかには狂気的な作品や、サスペンス、SFといったジャンルで勝負したものなど、王道に乗らなかったマンガも存在しています。この記事ではそんな「ジャンプらしくないジャンプ作品」から、屈指の名作を3本ご紹介していきます。
●藤本タツキ『チェンソーマン』
最初にご紹介するのは、2020年12月14日発売号で最終回を迎えることが発表されて話題となっている、藤本タツキ先生の『チェンソーマン』です。
物語の主人公・デンジは、チェンソーの悪魔・ポチタと融合したデビルハンター。胸のスターターグリップを引くことでチェンソーの悪魔へ変身し、数々の悪魔と戦っていきます。
この世界の悪魔は、「人間がその言葉にどれだけ恐怖しているか」によって強さが変わるという設定があります。そのため、「チェンソー」はかなりの強さを持っている悪魔です。
物語の内容は狂気的で、序盤の戦闘から「これ主人公じゃなくて敵キャラじゃない?」というほど残虐です。しかしただのスプラッターではなく、チェンソーが存分に映えるアクション、デンジのバカで豪快なセリフ回しが合わさり、爽快感にあふれています。
『チェンソーマン』のさらなる魅力は、怒涛の展開にあります。常にリアルタイムで斜め上の方向に進むため、絶対に予想がつきません。王道の展開に飽きている人は、ページが止まらなくなることでしょう。
読んでいると、作者の「“面白い”とはこういうことだ!」という想いを思いっきり押し付けられている感覚になります。それほどパワーにあふれた作品です。
●白井カイウ、出水ぽすか『約束のネバーランド』
続いては、アニメ化・実写映画化もされている人気マンガ『約束のネバーランド』です。この作品は、「ジャンプ」らしからぬ、サスペンスのような雰囲気にあふれています。
物語の舞台は孤児院「グレイス=フィールドハウス」。そこにはママを務める淑女イザベラと、12歳以下の子供たちが暮らしています。平和な施設のはずが……12歳の少女・エマがこの施設の真の姿に気付き、他の子供たちと脱獄を目指します。
この設定からして、少年誌らしくない珍しいものとなっています。主人公のエマが、天才孤児であるノーマンたちと計画を練り、準備をしていくさまは、海外ドラマを見るような感覚に近いかもしれません。
展開はアクションもありますが、頭脳戦・心理戦がメイン。キャラクターの心理描写が多く、相手のことを分析し、どうやって出し抜くのか、といった面白さがあります。
また、読み進めていくなかで、常にいくつかの謎が存在しているのもポイント。物語の世界がどうなっているのか底が知れないため、考察しながら読んでいくのもオススメです。
2021年1月からTVアニメ第2期の放送も決定しているので、アニメ派の方はそちらをチェックしてみてはいかがでしょうか。
■『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博先生が連載していた異色のSF短編
●冨樫義博『レベルE』
最後は、冨樫義博先生が『幽☆遊☆白書』と『HUNTER×HUNTER』の間に「ジャンプ」で連載していた短編『レベルE』をご紹介します。「全ての絵をアシスタントなしで描く」という要望を叶えるため、「ジャンプ」にも関わらず週刊連載ですらなかったという、異色の作品です。
内容も王道から外れており、地球に知らず知らずのうちに紛れ込んでいる宇宙人を題材としたSF作品です。細かく書き込まれたキャラクターや背景は写実的で、青年誌のような雰囲気が漂っています。
単行本の表紙はシリアスな雰囲気なのですが、それほど堅苦しい話ではなく、ドグラ星からやってきたバカ王子が起こす悪ふざけがメインのオムニバス形式となっています。基本的には、とにかくキャラクター同士の掛け合いが面白い作品です。
しかし、そのなかで終始暗い物語となっているのが「食人鬼編」。本人の意思に反して、生理的に人間を食べたくなってしまう宇宙人が題材となっています。「最近 死ぬことばかり考えてる」といった宇宙人の想いがびっしりと語られた見開きや、好きな女の子まで食べてしまうという結末は衝撃的です。当時ジャンプで見ていた子供たちには、相当なインパクトを与えたのではないでしょうか。
この『レベルE』は単行本で全3巻と短いので、サクッと読み始めることができます。『幽☆遊☆白書』や『HUNTER×HUNTER』が好きという方は、読んでみてはいかがでしょうか。
(古永家啓輔)
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