われら40代、ゲームが教えてくれた「言葉」5選。人生の喜怒哀楽と「理不尽」も…
マグミクス / 2020年12月15日 11時50分
■ファミコン少年の語彙力を養ったTVゲームたち
日本のTVゲーム史の起源を「ファミコン」とした場合、現在の40代は、ファミコンから脈々と続くゲームハードとともに成長してきたと言っていいでしょう。そこで出会うソフトで熱くなったり、絶望したり感動したりと、さまざまな感情や理不尽を教わったと言っても過言ではありません。
それと同時に、ゲームのなかで交わされる会話やテクニックの呼び名などを通じて、今日まで使っている言葉を覚え……たという人も少なくないのではないでしょうか?
そこで今回は「(たぶん)ゲームで覚えた言葉」にスポットをあててみようと思います。
●無限増殖/『スーパーマリオブラザーズ』
まずは、世界で約4700万本を売り上げたという『スーパーマリオブラザーズ』から。このゲームにおける「無限増殖」とは、マリオの残機を青天井で増やすテクニック(厳密には127機以上でバグる)で、おそらくゲーム雑誌が名付けたものではないかと思います。幼い時分、「無限」と「増殖」という熟語をいっぺんに習得できたうえ、「無限増殖って知ってる?」などと友達に言うと、なんだか頭が良さそうに思えて誇らしかったものです。
またマリオが教えてくれたのは言葉だけではありません。第1作にあたる『マリオブラザーズ』では、1Pマリオ(兄)、2Pルイージ(弟)を操作して共闘可能です。一緒にプレイする友達や兄弟と敵キャラを退治することで友情や兄弟愛、優しさを知りました。しかしその一方、意図的に味方を敵キャラにぶち当てることもできるため、裏切りや悔しさ、怒りの感情も教えてくれました。後に続く『マリオカート』『スマブラ』でも、裏切りムーブが可能であるため、兄弟と言えど信用できない骨肉の争いはあるのだと教訓を得ました。
●ハングオン/『ハングオン』
続いては、アーケードやセガ・マークIIIで発売されたバイクレースゲーム『ハングオン』から。タイトルのままの言葉「ハングオン」とは、バイクなどでカーブを曲がる際、曲がりたい側に車体を傾斜させ、腰を車体よりさらに内側に移動させて走行するテクニック。片方の膝が地面スレスレな状態が格好よかったりします。
このゲームに影響を受けた少年たちは自転車にまたがり、「ブルン!ブルン!」などと口アクセルをふかし公道を疾走。カーブを曲がる際に「ハングオン」を試みるも、非力ゆえに姿勢を維持できず転倒。血だらけになる者が続出しました。
■名作RPG『FF』『ドラクエ』にも学びの言葉が
ロトシリーズ三部作を網羅した、Wii版『ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』(スクウェア・エニックス)
●相殺/『ぷよぷよ通』
続いては、落ち物パズルゲーム『ぷよぷよ通』から。2人対戦でプレイし連鎖を決めると相手側におじゃまぷよを降らすことができますが、『通』からはこちらも連鎖を決めるとおじゃまぷよを打ち消す「相殺」というシステムが導入されました。
ここから「相殺」という言葉を知るわけですが、誰も読みが「そうさい」なのか「そうさつ」なのか答えられませんでした。そのうち「そうさ……(っorぃ)」と、語尾を誤魔化し聞こえないほど小さな声で言いながらプレイ。ぷよぷよの上達に努力を傾ける一方、読みを調べるのは面倒臭がる少年が多くいました。
●召喚/『ファイナルファンタジーIII』
名作中の名作「ファイナルファンタジー」(FF)シリーズにも学びの言葉が。シリーズ中では定番の言葉ですが、初出は『III』の「召喚魔法」から。「人を呼び出す・出頭させる」という意味の言葉を教わりました。
召喚魔法は固有の効果をもたらしてくれる精霊(または召喚獣)を呼び出すというもので、ナンバリングタイトルによって登場の仕方や精霊のデザインは違いますが、共通して言えることは、見た目が派手で、ものものしく現れるのが印象的です。
このようなFFシリーズでのイメージが幼少期から刷り込まれているため、召喚と聞くと「特別な演出が入って登場するのかな?」と頭をよぎってしまいます。例えば「政治家や証人が国会に召喚」などと見聞きすると、魔法陣からもくもくと煙がたちのぼり、あの政治家が出てきたらおもろいなぁ……とか、地面が割れたヒビからあの証人が出てきたら恐ろしいなぁ……といった想像がはたらいてしまいます。これは名作ゲームの功罪だと思います。
●屍(しかばね)/『ドラゴンクエストIII』
最後は、日本のRPG史を変えたと言っても過言ではない「ドラゴンクエスト」シリーズから。初出は1988年発売の『III』で、ガイコツや寝転がって動かないキャラに話しかけると「へんじがない。ただのしかばねのようだ」と表示されます。
この「しかばね」という言葉を知り、死んでいる人を屍(しかばね)と言うんだなと理解しました。以後大人になっても、酔いつぶれて返事をしない人や、ぼんやりしている人を見ると、口には出さずとも心の中で「へんじがない。ただのしかばねのようだ」と唱えてしまいます。
他にも、筆者が少年時代にプレイしたゲーム『桃太郎電鉄』では、日本の都市の立地や名産なども教えてくれ、多くの知識を養ってくれました。昔は子供たちにさまざまな知識を授けてくれたゲームですが、最近では子供のゲーム依存が問題になり、香川県で「ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行されるという出来事もありました。ゲームに対する社会のイメージも、ずいぶん変わったと思わされます。
(南城与右衛門)
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