『エヴァ』で花開いた、声優・宮村優子の時代。歌手に役者に、いち早く「多才」を発揮
マグミクス / 2020年12月17日 7時10分
■宮村優子さんに熱狂した時代
1990年代半ばから後半にかけては、それまでアニメや洋画、TVのナレーションなどをメインの活躍の場としていた声優が、ゲームや歌手活動、ラジオのパーソナリティなど、活動の場を大きく広げていった時代でした。専門誌も相次いで創刊され、声優のアイドル化が進むなか、TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(エヴァ)の惣流・アスカ・ラングレー(以下、アスカ)役でブレイクしたのが宮村優子さんです。
あの時代の宮村優子さんの人気は、いま今改めて考えてみてもすさまじいものがありました。『エヴァ』よりも半年早く放送が開始された『愛天使伝説ウェディングピーチ』で主役級の珠野ひなぎく / エンジェルデイジーを演じ人気を博しましたが、アスカ以降はまさに人気が爆発し、さまざまな作品で主役やヒロインを演じています。
筆者も当時は「宮村さんが出るから」という理由で番組を追いかけており、『VS騎士ラムネ&40炎』のパフェや『エルフを狩る者たち』の井上律子など、さまざまなキャラクターで宮村さんの声と演技を楽しませていただいておりました。アスカの前に『勇者警察ジェイデッカー』でレジーナ=アルジーン役を演じていたことを知ったときに、知人友人をあたって録画している人を探し回ったのは、インターネット配信がない時代の大事な思い出です。
また、ちょうどこの時期はアニメがTVの深夜枠に多く進出し始めた時期だったため本数自体も増加傾向にあり、人気のある声優さんは引っ張りだこの状況でした。ゲームのキャラクターに声がつくことも多くなり、声優さんの需要はさらに高まっていたのです。宮村さんも対戦格闘ゲーム『ストリートファイターZERO2』で春麗やローズの声を吹き込むなど、多くの仕事をこなしています。
現代では声優が歌手として活動するのはごく当たり前ですが、当時はまだ過渡期と言える状況で、林原めぐみさんや椎名へきるさんが道を切り開いている真っ最中でした。宮村さんも1995年から歌手活動を行っており、1997年3月には『根性戦隊ガッツマン』(ファーストアルバム『ケンカ番長』に収録)をリリース、同作は後に島本和彦氏の手によりマンガ化されています。
■マルチな才能を発揮、現在も声優として活動
宮村優子さんは歌手としても精力的に活動した。画像は3枚目のアルバム『不意打ち』(ビクターエンタテインメント)。1997年発売
マンガと言えば、三浦健太郎氏の代表作『ベルセルク』が『剣風伝奇ベルセルク』として最初のアニメ化を果たした時、キャスカ役として出演した宮村さんが、登場キャラクターのパックを原作内で数コマ描いたことがありました。特に違和感が無いレベルの出来栄えで「宮村さんには絵の才能もあるのか」と感動したことを思い出します。
1996年ごろからは、当時椎名へきるさんくらいしか挑戦していなかった、声優の全国ライブツアーを敢行。多くのファンを熱狂させましたが、宮村さんは他にも多くの仕事を抱えており、当時マネージャーを務めた方によれば、「半年に1回倒れていた」ほど負荷がかかっていたそうです。レギュラーの仕事も10本以上抱えていたそうで、宮村さんが心身を削りながらも情熱をもって仕事に邁進していた姿がうかがえるエピソードです。
声優としての露出が減少した2000年以降は役者として多くのTV番組や映画、舞台に出演。筆者にとっては映画『バトル・ロワイアル』でハイテンションに残虐な内容を解説する宮村さんの姿が特に印象深いものでした。NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』に出演されたときは「NHKのドラマに声優が出演する時代になったんだ」と驚かされた記憶があります。
ただ、私生活では甲状腺ホルモンが過剰に作られ、心身に様々な悪影響を及ぼす病気であるバゼドウ病にかかり、一時は長年演じてきた『名探偵コナン』の遠山和葉役を諦めなければいけないほど悪化してしまったそうです。しかし周囲の理解もあり治療を継続して現在も和葉を演じ続けて下さっています。
一時はプライベートの関係でオーストラリアに移住していましたが、現在は帰国。声優の専門学校で講師を務めておられます。TVのナレーションや『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』へのアスカのゲスト出演など、声優としての活動を継続している宮村さんは、間もなく公開される『シン・エヴァンゲリオン』でも式波・アスカ・ラングレーを演じます。25年を経たアスカはいったいどこにたどり着くのか。そして宮村さんは今後どのような活動を見せて下さるのか。ひとりのファンとしてこれからも応援を続けたいと考えています。
(ライター 早川清一朗)
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