『ロックマンX』従来のシリーズ像を大胆アレンジ 漫画版ではエックスも泣いた…
マグミクス / 2020年12月17日 18時10分
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■「ロックマンX」シリーズの流れをくんだ『ロックマンX DiVE』
東アジアにて先行配信されていたスマートフォンアプリ『ロックマンX DiVE』が、2020年10月26日より日本でも遊べるようになりました。
タイトル名の通り、同作はカプコンの「ロックマンX」シリーズの流れをくんだアクションゲーム。プレイヤーは電脳世界「ディープログ」に保存されているゲームデータを守るべく、「エックス」を操作して悪質な敵性データを追い詰める……という内容です。外伝作品を除けば、2005年3月10日発売のプレイステーション2用ソフト『ロックマンX8』を最後に新作リリースが途絶えていたこともあり、再始動を望む多くのシリーズファンから注目を集めていました。
約15年ぶりの新展開を見せた同シリーズですが、ではそのルーツはどのような作品だったのでしょうか。今回は発売から27周年を迎えたスーパーファミコン(以下、SFC)用ソフト『ロックマンX』について振り返ります。
■『ロックマンX』は従来の”ロックマン像”を大胆にアレンジ
『ロックマンX』は派生元となった『ロックマン』と世界線を同じにしつつも、遥か未来の時代を描いている点が特徴的です。人間と同等の知能及び思考能力を持つロボット「レプリロイド」が人々と共に暮らしつつあった21XX年、治安維持を担うレプリロイド組織「イレギュラーハンター」の隊長「シグマ」が大規模な反乱を計画。レプリロイドによる世界を築くため、イレギュラー(反乱分子)となって人類排斥を掲げます。対するB級イレギュラーハンター「エックス」もシグマ軍の蛮行を食い止めんと決意。特A級ハンター「ゼロ」の手を借り、シグマの元へ寝返った8体の元イレギュラーハンターの打倒へ出発しました。
以上が本作の導入部分ですが、特徴的なのはストーリーだけではありません。アクションゲームとしてのロックマン像を継承しながらも、作風は大胆にアレンジされていました。ロックマンより頭身の高くなったエックス、ヘルメットからブロンドヘアーをなびかせるゼロ、スキンヘッドに2本の傷跡が悪人面を強調させるシグマなどなど、メインキャラクター陣のビジュアルだけ見ても、1か月前に発売済みのファミリーコンピュータ用ソフト『ロックマン6 史上最大の戦い!!』、並びに従来の「ロックマン」シリーズとは異なる様相を呈していたのです。
世界観とビジュアル面に加え、エックスのアクションにもいくつか変化が。ステージ内の壁に張り付いて高所へ飛び上がる「壁ジャンプ」、スライディングの代わりに短い距離を高速で移動できる「ダッシュ」の実装により、全体的なゲームスピードが大きくアップしました。筆者はリアルタイムで遊んでいたわけではありませんが、それでもロックマンとエックスの違いは一目瞭然。最初の『ロックマン』から追い続けてきたユーザーならなおのこと、『ロックマンX』のリリースに大きなインパクトを受けたのではないでしょうか。
■よりドラマ性を強調した『ロックマンX』コミカライズ版
著:岩本佳浩『ロックマンX』(ブッキング)
『ロックマンX』を振り返る上でぜひ抑えておきたいのが、岩本佳浩氏や池原しげと氏といった作家陣によるコミカライズ作品です。両者ともゲーム版のストーリーを下敷きとし、「エックスの協力者としてオリジナルキャラクターを登場させる」、「死ぬはずだったボスキャラクターが爆発四散せずにエックスと共闘する」など、コミカライズ特有の新設定がふんだんに盛り込まれていました。
なかでもコミックボンボン(1994年1月号~1998年8月号)にて連載されていた岩本佳浩氏のマンガ(以下、岩本版)はとにかく濃密。文字通り顔の濃い……もとい、作中のエックスはレプリロイドでありながら人間に勝るとも劣らないほど表情豊かに描かれており、優しさの象徴として”涙を流す”設定も採用も新たに考案されました。
また敵キャラクターたちとの邂逅シーンもドラマティックに表現。己の誇りを高らかと掲げ、散り際に”切腹”まで行った「アーマー・アルマージ」や、単なるイレギュラーではなく、エックスの力量を図るために悪を演じた「ストーム・イーグリード」、そしてハードボイルドに佇まい、”俺たちは戦うために生まれた疑似生命体”と言い放った「VAVA」などなど、いずれもゲーム版のテイストを損なわず、それでいてスポット出演であってもメインキャラクター陣に引けを取らない存在感をマークしています。
加えてエックスと彼らの戦いでは、それぞれシチュエーションの異なる戦闘シーンを臨場感たっぷりに描画。ゲーム版と同等のスペックを有し、トリッキーな攻撃でエックスを追い詰めるボスキャラクター。一方で血反吐(オイル)を吐き散らそうとも、手痛い一撃を喰らおうとも決して諦めることのないエックス。”有効武器で敵の弱点を突くヒット&アウェイ戦法”に終始しがちだったゲーム版の戦闘シーン(システム上仕方ないことかもしれませんが)と比較するうち、「あのボス戦がこんな風になるのか!」と強く感心しました。
SFCにはじまり、プレイステーション、プレイステーション2へと舞台を変えてナンバリングタイトルや派生タイトルを展開してきた『ロックマンX』。シリーズ誕生から本日で27年経ちましたが、このままアクションゲームの傑作として30年、40年と末永く息が続いてくれれば……とひとりのファンながらに思います。
(龍田優貴)
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