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昭和の流行語「シオシオノパー」生んだ『快獣ブースカ』は、子供に寄り添う友達だった

マグミクス / 2020年12月20日 7時10分

昭和の流行語「シオシオノパー」生んだ『快獣ブースカ』は、子供に寄り添う友達だった

■世界的指揮者の音楽の原点にも…

 1960年代後半に巻き起こった第一次怪獣ブームのさなか、「もしも、家に怪獣がいたら?」をテーマに作られた異色の特撮番組がありました。その名は『快獣ブースカ』。“怪獣”ならぬ“快獣”の字面のとおり、人間の敵ではなく仲間のような存在のブースカは、のんきでユーモラスな性格で大人気となりました。世界的指揮者の佐渡裕氏も子供の頃はブースカに夢中で、ブースカになりたくて仕方がなかったのだそう。「自分の音楽の原点はブースカのテーマソングだ」と公言しているほどです。

 かわいらしい容姿のブースカは令和の現在でも人気が高く、フィギュアや文具、Tシャツなどの新作グッズも登場していますので、番組を見たことがなくても、そのキャラクターに見覚えがある人は多いのではないでしょうか?

 ブースカは、発明好きな少年・屯田大作の実験から生まれた快獣です。ゴジラのような大怪獣を作ろうとしてペットのイグアナに自作の栄養剤「クロパラ」を与えたところ、栄養剤の材料が古かったために怪獣ではなく、かわいらしい快獣になってしまったのです(モコモコした外見からは、もとがイグアナだったというのが想像しにくいですが……)。

 ブースカは、身体の大きさを変える、姿を消す、力は百トン力、空まで飛べるなどさまざまな能力を持っていましたが、決してヒーローではありません。おっちょこちょいで、気が優しくて、大好物のラーメンなら30杯は食べるという大食いさん。小学生の子供たちに混じって空き地で野球や相撲をしたり、かくれんぼをしたり、時には冒険を楽しんだりする姿は、快獣ということを忘れ、ちょっと身体の大きなお友だちにしか見えなくなってきます。

 テレビの前の子供たちにとっても、ブースカはゆかいな友だちそのものだったに違いありません。そんな、大好きな友だちブースカが話す言葉だからこそ、「ブースカ語」は爆発的な流行語となりました。

■子供たちの気持ちを救ってくれた「シオシオノパー」

フィギュアなどの「ブースカ」グッズは今でも人気が高い。写真は2020年9月に発売されたブースカTシャツ(ハードコアチョコレート)

 ブースカは、自身の感情を独特の「ブースカ語」で表現します。嬉しいときは「バラサ バラサ」、怒ったときは「プリプリノキリリンコ、カッカッカーッ」、そして悲しい時やへこんだときは「シオシオノパー」。それぞれお決まりのしぐさとともに繰り出すブースカ語は、子供たちの間で大流行しました。大好きな友だちブースカの言葉なのですから、秘密の合い言葉のような気持ちもあったかもしれませんね。ブースカ大ファンの指揮者・佐渡裕氏も、当時はいつでもどこでもブースカ語を発していたそうです。

 数あるブースカ語のなかでも特に流行ったのは「シオシオノパー」。「青菜に塩」のことわざのように、しおれた気分にはなぜかピッタリとくる言葉です。

 子供たちは、テストの成績が悪ければ「シオシオノパー」、忘れ物をしても「シオシオノパー」、お小遣いが少なくても「シオシオノパー」、親に怒られたときなど、説教をうけながらも「シオシオノパー」とおどけてみせて、さらに親の怒りに火をつけた子供もいました。
 
 思えばいたずら盛り、怒られ盛りの子供たちの生活は、へこむ場面も多いもの。けれども、どこかユーモラスなこの言葉を口にすると、落ち込んでいるのがバカバカしいような気持ちになってきます。失敗しちゃったけど、また頑張ればいいか……と思わせてくれる「シオシオノパー」。沈んだ気分を深刻にさせず、少々力の抜けた笑いに変えてくれる魔法の言葉だったのです。
 
 かつての子供たちは今では大人になり、ブースカのことを忘れているかもしれませんが、気が滅入った時にもう一度、「シオシオノパー」と口にしてみませんか? 大人の世界は、なかなかに辛いものですが、「シオシオノパー」が、ちょっと身体の大きなお友達を思いださせ、気持ちを楽にしてくれるでしょう。

(古屋啓子)

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