『仮面ライダーストロンガー』伝説級の最終回。7人の集結で第一期は「有終の美」を飾った
マグミクス / 2020年12月27日 7時10分
![『仮面ライダーストロンガー』伝説級の最終回。7人の集結で第一期は「有終の美」を飾った](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_42831_0-small.jpg)
■最終回まで物語を盛り上げた、異色の敵組織「デルザー軍団」
1975年12月27日。『仮面ライダーストロンガー』最終回「さようなら!栄光の7人ライダー!」が放送された日です。この最終回は単に『仮面ライダーストロンガー』の終わりを告げるというより、第1期仮面ライダーシリーズの最後という形で製作されました。
本作品は、関東と関西で放映局系列が違うことを解消し、TBS系列で放送開始したシリーズです。しかしながら時間帯が変わったせいか視聴率は下降気味で、「まだ人気の高いうちに華を持たせよう」という判断から、シリーズの終了が決まりました。
この判断の良かった点は、作品としての魅力がまだ十分にあった時だからこそ、盛り上がる最終回を製作できたことです。本作品の後半では、それまでストロンガーの敵であった悪の組織ブラックサタンが滅び、デルザー軍団という新しい組織が登場していました。このデルザー軍団こそ、特撮番組史上、もっともインパクトのあった悪の組織です。
構成員すべてが大幹部。それぞれが異なった仮面の戦闘員を従えていました。そして全員が上下関係のない同格、それゆえにそれまでの悪の組織のように首領が存在しません。そのために宿敵ストロンガーを最初に倒したものが首領になるという競争が繰り広げられました。
これにより、それまでの悪の組織が世界征服のために侵略活動を行うという展開でなく、「ストロンガーを倒す」というサバイバル要素の部分がドラマの前面となります。そして、その危機感で当時の子供たちの視線を釘付けにしました。
そのため、仲間同士で足の引っ張り合いをするという展開が多くみられますが、それがなければストロンガーは負けていたという展開が続き、ドラマとしての緊張感はさらに高まります。
この互いが競うという場面を見せるため、デルザー軍団編では1話に2体の怪人が登場し、交互にストロンガーに攻撃を仕掛けました。たとえ1体を倒したところで、もう1体残っている。昭和仮面ライダーでは珍しい連続ストーリーとなっています。
以上の理由などから、デルザー軍団を少数精鋭ながら「特撮番組史上最強の悪の組織」と評する人が多くいました。
その後、ストロンガーもデルザー軍団編中盤でパワーアップしたことで互角以上に戦う力を得ましたが、こういった物語の流れがあったからこそ、日本の危機を知った仮面ライダーたちが世界各地から集結するという、ラストエピソードにつながっていったわけです。
■「伝説」の最終回が、今なお続くシリーズのきっかけとなった
仮面ライダーストロンガーはデルザー軍団との戦いのなかで超電子人間に「チャージアップ」する。画像は「S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーストロンガー(チャージアップ)」(バンダイ)
海外にいる仮面ライダーたちの帰国。昭和仮面ライダーシリーズで、もっとも盛り上がる展開です。ただ、この展開もそれまでとは違った切り口になっていました。
デルザー軍団最大の実力者といわれたマシーン大元帥を追ってエジプトから帰国した風見史郎こと仮面ライダーV3。それを皮切りに、次々に日本に帰国する仮面ライダーたち。一斉に集団で駆けつけるというパターンでなく、それぞれが次々にやって来るという展開が、最終回までのドラマを盛り上げます。
そして最終回でついに勢ぞろいする7人の仮面ライダー。
それも仮面ライダーの着ぐるみだけでなく、7人の変身前の役者さんたちが勢ぞろいするという絵は、興奮するなというのが無理なほどテンションが上がる展開です。ここで忘れてはならないのが、7人の「オヤジさん」である立花藤兵衛の存在。この人を囲んでいたからこそ、それぞれの歩んできた歴史が紡がれた瞬間でした。
ちなみに当時の撮影では、みなさんスケジュール調整がむずかしく、撮影は限られた1日だけで済ませたようです。
そして「有終の美」ということで、最終回の監督として原作者である石森章太郎氏が共同で監督を担当していました。
また、前週の予告編では「仮面ライダー最終回」とアナウンスされており、仮面ライダーシリーズの最終回という位置づけだったことがうかがえます。
現在でも過去のヒーローとの共演というのは珍しくありません。しかし、だいたいは劇場版かビデオ作品のような媒体です。本作品のような、それまでの集大成としてテレビの最終回までのドラマを盛り上げるという手法は、あまり類を見ないと思いませんか?
当時、まだ子供だった筆者は仮面ライダーが終わってしまうという寂しさはあったものの、大興奮で最終回を迎えたことに満足していました。
惜しまれつつも早期に幕を閉じたことが、結果的に伝説となる最終回を生み出したことは間違いありません。そして、熱気がまだ冷めていなかったからこそ、4年ほどの休眠期を経て、仮面ライダーは次なる新シリーズを始動させたわけです。
そう考えると、この最終回が昭和、平成を超えて令和の時代にも「仮面ライダー」というヒーローが残り続けている原動力のひとつ、「伝説」となっているのかもしれません。
(加々美利治)
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