劇場アニメ『えんとつ町のプペル』 ものづくりの「常識」への挑戦が詰まった作品
マグミクス / 2020年12月28日 17時40分
■さまざまな常識を破った1冊の絵本
お笑いタレントの西野亮廣さんが製作総指揮した劇場アニメ『映画 えんとつ街のプペル』が、2020年12月25日より全国公開されています。2016年に西野さんが「にしのあきひろ」名義で発表し、55万部のベストセラーとなった絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)が原作となっています。5000部売れればヒットとされる絵本業界の常識を覆したことで、大変な話題を呼びました。
劇場アニメ化にあたり、西野さんは原作&製作総指揮に加え、脚本も担当。西野さんがリスペクトする漫画家・松本大洋氏の人気コミック『鉄コン筋クリート』(小学館)を劇場アニメ化した、「スタジオ4°C」が制作を手がけています。窪田正孝さん、芦田愛菜さん、伊藤沙莉さんら人気キャストを声優として起用していることでも、注目を集めています。
1冊の絵本が予想外の反響を呼び、全国公開の劇場アニメになるという大きなプロジェクトに至るまで、どのような経緯があったのでしょうか。
お笑いコンビ「キングコング」として売れっ子になった西野さんですが、絵本作家としてのキャリアもすでに10年以上になります。タモリさんが電話で話したアイデアを原案にした『オルゴールワールド』(幻冬舎)など、ボールペン1本で緻密に描き上げたモノクロ画は目を見張るものがありました。
絵本作家として着実に実績を残してきた西野さんは、制作に4年半を費やした『えんとつ町のプペル』からスタイルを一変させます。それまでのモノクロ画から、華やかなフルカラーとなり、絵のタッチも変わります。ひとりで絵本を作っていた西野さんですが、『えんとつ町のプペル』から分業制を取り入れたのです。
ストーリーと絵コンテは西野さんが担当し、絵は総勢35名のクリエイターたちがそれぞれ得意なパートを手分けして描いています。マンガやアニメーションの世界では常識となっている分業制は、昔ながらのスタイルを続けてきた絵本業界では異例のものでした。
制作費はクラウドファンディングで調達するという、話題性十分な絵本『えんとつ街のプペル』は、すぐに20万部を超える大ヒットとなりました。さらに西野さんは、発売から3か月後にはネット上で全ページの無料公開に踏み切ります。「絵本を分業化すると、作家性が失なわれる」「作品の無料公開は、クリエイターたちを食いっぱぐれさせてしまう」など、西野さんはさまざまな批判を浴びました。
でも、西野さんには確信がありました。西野さんが執筆したビジネス書『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(幻冬舎)では、【お客さんの手に届くまでの導線作りも、作品制作の一つだ。導線作りができていない作品は「未完成品」という認識を持った方がいい。】と述べています。【反対派のエネルギーほど使えるものはない。アンチを手放してはいけない】とも語っています。
話題の絵本がネット上で無料公開されたことは大きなニュースとなり、売上げをぐんと伸ばしました。参加したスタッフにボーナスを渡すこともできたそうです。分業制で作られた『えんとつ街のプペル』は、さらに多くのクリエイターたちを巻き込む形で、劇場アニメ化されることになったのです。
■劇場アニメは、原作とはかなり違った展開に
絵本『えんとつ街のプペル』の特徴だった、独特のカラフルな世界観は映画でも存分に楽しめる
原作となった絵本も劇場アニメも、煙突だらけで厚い煙に覆われている「えんとつ街」が舞台となっています。煙突掃除屋として働く少年・ルビッチ(CV:芦田愛菜)は、ハロウィンの夜にゴミ山から生まれたゴミ人間のプペル(CV:窪田正孝)と出逢います。体から嫌な臭いを漂わせている嫌われ者のプペルですが、ルビッチには友達がいないことから、ふたりは仲良くなっていきます。
ルビッチは、亡くなった父親から煙に覆われた空の上には「星」があることを教えられていました。でも、街の人たちは煙に覆われた空しか知らないので、「星」の存在を信じようとしません。ルビッチのことを信じるのは、プペルだけです。やがて、2人は「星」があることを確かめるために冒険へと旅立つのです。
劇場アニメ版には、おしゃべりな鉱山泥棒のスコップ(CV:藤森慎吾)やプペルを追い回す「異端審問官」たちが登場し、絵本にはなかったエピソードも描かれています。西野さんは当初から映画化を想定しており、絵本で描いたのは一部分でしかなかったそうです。
■「お金」は使わないと腐っていく?
絵本とは異なる展開を見せる劇場アニメ版ですが、メインテーマは同じです。周囲から笑われても、バカにされても、自分が信じる道を突き進めば、やがて道は開けていく……というものです。空気を読むことばかりが重んじられる社会では、新しい発想や発見は生まれません。空気は次第に淀んでいきます。SNS上で炎上しても、自分流のスタイルを築いて進んでいく西野さん自身の実体験が投影されています。
他にも劇場アニメ版には、「腐るお金」というユニークなアイデアも盛り込まれています。これはドイツの経済学者シルビオ・ゲゼルが提唱した「自由貨幣」をヒントにしたものです。お金は実際に使うことで価値が生じる、という考えに基づいています。同じように、西野さんも自分が「面白い!」と思いついたアイデアは、実行に移さずにはいられないのでしょう。頭の中にあるアイデアは形にし、他人と共有することで、初めて価値を生み出すことになります。
西野さんは以前から「打倒ディズニー」を公言しています。『えんとつ街のプペル』の劇場アニメ化だけでなく、第2、第3のプロジェクトも考えていることでしょう。これからのエンタメ界を担う新感覚のクリエイターとして、注目したい存在です。
一方で、ボールペン1本で描いていた頃の西野さんの初期衝動たっぷりな絵本も、捨てがたい魅力があります。1枚の絵を描き上げるのに、どれだけの時間と情熱を注いだのでしょうか。トークスキルに優れ、SNSを巧みに駆使する西野さんですが、自分を見つめるひとりぼっちの時間も大切にしているように感じられます。
●『映画 えんとつ町のプペル』
製作総指揮・原作・脚本/西野亮廣 監督/廣田裕介
声の出演/窪田正孝、芦田愛菜、立川志の輔、小池栄子、藤森慎吾、野間口徹、伊藤沙莉、宮根誠司、大平祥生(JO1)、飯尾和樹(ずん)、山内圭哉、國村隼
配給/東宝=吉本興業 12月25日(金)より全国ロードショー
(c)西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会
https://poupelle.com
(長野辰次)
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