「平成ライダー」俳優の現在 華麗なる“変身”、ヒーローたちの意外な軌跡
マグミクス / 2021年1月5日 7時10分
■独自のフィールドで闘い続ける「平成ライダー」俳優たち
オダギリジョー、菅田将暉、佐藤健、竹内涼真、福士蒼汰……。
今をときめく俳優の名前をずらっと挙げてみました。彼らに共通するのは、「平成仮面ライダー」で主人公を演じていたということ。「仮面ライダー」シリーズが若手俳優の登竜門と言われて久しいですが、実際、彼らの存在なくしては今の日本のエンタメは語ることはできないでしょう。
さて、そんな目覚ましい活躍を見せる元・平成ライダー俳優もいる一方、同じく主演を務めていながら現在はドラマや映画とはまた別の場所で、独自のキャリアを重ねている方もいます。子供たちはもちろん、保護者をも熱狂させたあのヒーローたちがその後、どんな道を歩んできたか、そして今なおどんな闘いを続けているのか……本稿では我が道を行く平成ライダー俳優たちのその後の軌跡を(なるべく作品とは切り離して)辿っていきます。
●『仮面ライダー555』のタクミ役・半田健人:専門家も舌を巻く! 気付けば昭和歌謡の専門家に!
“我が道を行く”スタイルの筆頭はなんといても『仮面ライダー555(ファイズ)』で主人公・乾巧(いぬい・たくみ)役を演じた半田健人さんではないでしょうか。2004年に『555』の放送が終わると彼はバラエティに進出。鉄道に関する深い造詣や、阿久悠さんにも認められたその広範な昭和歌謡の知識をもってお茶の間を沸かせました。
またシンガー・ソングライターとしても活動しており、2016年には小田急ロマンスカーを舞台にしたラブソングシングル「十年ロマンス」でメジャーデビューも果たしています。
半田さんは過去のインタビューで「(巧は)やせ我慢の人間なので、本音を押し殺している」と乾巧の人柄を振り返ったことがありましたが、『555』以降の半田さんのキャリアはある意味ではその逆。自らが敬愛するものをより多くの人に知ってもらうべく発信し続けています。現在も昭和歌謡関連の番組やイベントに引っ張りだこの半田健人さんですが、その活動の礎になっているのはやはり『555』であり、「音楽活動もライダーファンに支えてもらっている」と謝意たっぷりに語っています。そんな独自路線を突き進む個性派俳優に変身した半田健人さんの躍進には、これからも目が離せません。
●『仮面ライダー剣』のカズマ役・椿隆之:デザインの才能を開花させたライダー俳優
『555』の次作『仮面ライダー剣(ブレイド)』で主人公・剣崎一真(けんざき・かずま)役を務めた椿隆之さんもまた、俳優とは別の顔を持っています。自分の正義に誠実であり続けた熱血漢・剣崎一真を見事に演じきり、時にファンからその個性的な滑舌を「オンドゥル語」なんて茶化された椿さんですが、現在はアクセサリーデザイナーとしての才能を開花させています。
それも趣味の領域ではなく、2015年には自身のアクセサリーブランド「arts」を立ち上げ、原宿に直営店舗まで構え、新作アクセサリーを発表し続けています。興味を持たれた方はお店のWebサイトを覗いてみてはいかがでしょうか。最近ではTwitterで「服のデザイン学校行きたーい! そして自分で作れるようになりたい~」と呟いており、デザイナーとしてさらなる高みを目指している様子です。
●『仮面ライダー響鬼』ヒビキ役・細川茂樹は「家電マニア俳優」に イブキ役・渋江譲二は “衝撃のソムリエ”に…
『ブレイド』の次回作『仮面ライダー響鬼(ヒビキ)』の出演俳優陣もまた、独自路線を極める猛者たちの集まりでした。まず主演のヒビキ役・細川茂樹さんは「家電マニア俳優」としても有名です。ハイテンションで家電を紹介する姿はすっかりおなじみですが、専門誌に寄せたコラムでもその博識ぶりを発揮し続け、気付けば公立はこだて未来大学で特別招聘教授に就任……! “ヒビキさん ”の“鍛えっぷり”はまさに天井知らずです。(ちなみに作中でのヒビキはとにかく機械音痴で、ロクに携帯電話も使えない人でした)
また主演ではありませんが同作でイブキ役を演じた渋江譲二さんは好きが嵩じて2017年頃より「AV(アダルトビデオ)ソムリエ」という肩書きを名乗り、活動しています。SNSで作品愛を発信し続けたところ、成人向けサイト「FANZA」から声がかかったとか。現在もWebで対談連載を持っています。
ちなみに明日夢少年を演じた栩原楽人さんは2018年に惜しまれつつも俳優業を引退していまが、時々『響鬼』出演者と配信を行なっています。SNSでは日々トレーニング動画をアップし、少年時代とはまるで違う肉体美を披露。かつての“ヒビキさん”の教えを守っているかのようで胸が熱くなります。
* * *
ここまで放送年順に『555』『ブレイド』『響鬼』と3作品の俳優陣の、その後の軌跡を辿ってきました。冒頭で挙げたような俳優たちのように、多くの人が目にするドラマ・映画で活躍されている方もいれば、今回ご紹介したように自身の道を切り開き、勇往邁進されている方もいます。当たり前のことではありますが“子供たちの永遠のヒーロー”として抜擢された俳優が、並大抵であるわけがありません。作品を離れてもなおその生き様で“ヒーロー”を感じさせてくれる俳優たちの姿は、それだけで尊いのではないでしょうか。
(片野)
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