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敵の事情などない、真なる“悪”3選 アニメ史上最も恐ろしい悪役とは?

マグミクス / 2021年1月14日 7時10分

敵の事情などない、真なる“悪”3選 アニメ史上最も恐ろしい悪役とは?

■絶対の恐怖・ノロイ そして鬼舞辻無惨

 60年近い歴史を持つ日本のテレビアニメには、数多くの悪役が登場しています。そのなかでも特に印象に残った悪役3名を紹介します。

●『ガンバの冒険』ノロイ

『EMOTION the Best ガンバの冒険 DVD-BOX』(バンダイビジュアル)

 1975年に放送されたTVアニメ『ガンバの冒険』に登場したノロイは、今なおアニメ史上最も恐ろしい悪役として名が挙がるほどの強烈な印象を当時の子供たちに植え付けました。

 エンディングテーマのラストで白い毛皮に覆われた巨大なノロイが両手を掲げ、切れ長の赤い目でガンバたちを見据えて威嚇している姿を陰うつな歌詞と共に記憶している方も多いのではないでしょうか。

 普通のイタチを遥かに超えた強さと狡猾さを併せ持ち、白い花を血で汚した手下をちゅうちょなく殺害する残忍さを持つノロイは、馬をも仕留める巨大な爪でネズミたちを殺すだけでなく、高い知性を生かした作戦を用いてじわじわとなぶり殺しにするのを好むという最悪な性質の持ち主なのです。実はノロイの初登場は20話となっており、全26話の作品の中では最終局面からの登場となっています。しかしそのわずかな出番のなかでも手下と共に馬を殺し、催眠術のような力を振るいガンバの動きを封じて痛めつけるなど、イタチと言う存在を遥かに超えた超常的な存在として描かれています。

 特に23話からはガンバたちが砦を築いたと見るや、島中のネズミを追い立てて砦に向かわせ食料不足に追い込みます。そしてネズミ側に裏切り者を仕立て上げて、さらに食料を失わせ、飢えたネズミたちに休戦を呼び掛けておびき出して手下をけしかけ殺戮を行なうという三段構えの作戦を立案し、成功させるという極悪非道ぶりを見せつけます。ガンバたちネズミだけではどうすることもできない絶望的な存在、それがノロイだったのです。

●『鬼滅の刃』鬼舞辻無惨

『鬼滅の刃』 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

「週刊少年ジャンプ」で連載され、2019年のTVアニメ、2020年公開の劇場用アニメも共に大ヒットとなった『鬼滅の刃』に登場した鬼の祖。竈門炭治郎の家族を殺し、禰豆子を鬼に仕立て上げたことが日本一慈しい鬼退治の始まりとなりました。

 作中では自分が生きるためなら他の存在はどうなってもかまわないという独善的な価値観を持ち、配下の鬼と共に自らの脅威となる者や鬼殺隊士、罪もない人々を殺害し続け悪としての存在感を見せつけています。配下に対する態度も苛烈で、下弦の伍「累」が倒された際には他の下弦の鬼に対し怒りを露わにし、下弦の壱「魘夢」を除く4名を自ら殺害するなど、傍若無人な振る舞いで恐怖を植え付けました。それでいて戦いには意味を見い出さず、プライドだけは異常に高く、自らを自然災害と同様だと位置づけるその有りようは、かつてさまざまな作品に登場した悪役とは一線を画す邪悪さに満ちあふれています。

■殺すことが悪ならば、究極の悪は「イデ」

『伝説巨神イデオン』劇場版 Blu-ray(flying DOG) (C)サンライズ

●『伝説巨神イデオン』イデ

 殺した数が悪の基準であるならば、究極の悪はTVアニメ『伝説巨神イデオン』に登場した「イデ」なのかもしれません。地球人が6番目に遭遇した異性文明人こと「第六文明人」数億人分の意志を集積した意志集合体であるイデは、主人公ユウキ・コスモたちの地球と敵対勢力「バッフ・クラン」の地球に第六文明人の残存有機体を埋め込み、両人類の起源となりました。

 自らを正しく利用してくれる人類の再生を待つために数億年の眠りについたイデはやがて目覚め、コスモたち地球人類が乗るソロ・シップを自らの意志が発生する場、そして体として用いてクルーたちへの干渉を行ないました。イデは地球人とバッフ・クラン人の戦いを止めさせようとする傍ら、赤ん坊であるバイパー・ルウの純粋な自己防衛本能に反応して力を解放し、無限力を発動してコスモたちの危機を幾度なく救いますが、TV版34話「流星おちる果て」ではより多くの意志を集積して人類再生を図るために、地球とバッフ・クランの地球へ流星を飛ばして大量殺戮を行ないます。

 また庇護していたソロシップ・クルーも、生き延びるために戦おうとした者はヒロインであるカララ・アジバを始め容赦なく見放します。さらには劇場版「発動篇」でガンド・ロワの攻撃を受けた際には余裕がないという理由でクルーのひとり、マルス・ベントをイデの力で焼き殺しています。その身勝手さ、理不尽さは人の価値観では「悪」とされるものではないかと思えるのです。

(ライター 早川清一朗)

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