「エヴァ」はパチンコ界も席巻していた。主役交代もあった「CRエヴァンゲリオン」の歴史

■原作を知らない人も、パチンコがきっかけで「エヴァ」ファンに…

　2020年1月23日に公開予定だった「エヴァンゲリオン新劇場版』シリーズの4作目にして完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、再度の公開延期となってしまいましたが、引き続き多くのファンの関心と期待を集めています。

　一方、「エヴァ」は映画やアニメだけでなく、パチンコ界も席巻して多くのファンを生み出しています。今回は、人気が爆発した2000年代に焦点をあてて、「エヴァンゲリオン」のパチンコ台の歴史を振り返ります。

●CR新世紀エヴァンゲリオン（2004年）

　パチンコの「エヴァンゲリオン」誕生は2004年12月のこと。この台で使用されている演出のほとんどが、今後登場するシリーズ機の基礎となっています。『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年から1996年にかけてTVアニメとして放送されており、放送終了後も根強い人気のある作品でした。そのため、人気アニメのタイアップ機として、導入当時から人気の高い台でした。

　パチンコをしたことがない人にとっては馴染みのない用語を使いますが、台の特徴を紹介します。同機は、原作アニメを忠実に再現した高品質な演出や、突然確変（確率変動の略で、大当りの確率が高い状態）となる「暴走モード」や、原作の設定（エヴァンゲリオンの内部電源での活動時間5分間）を使った「ミッションモード」などの演出が大きな特徴。その後のほとんどの機種にも暴走モードやミッションモードが搭載されることとなりました。

　本作はタイアップ機でありながら、原作を知らないパチンコファンにも受け入れられ、新たな原作のファン層を生み出しました。暴走モードやリーチ演出・予告演出のわかりやすさなどが受け入れられ、10万台以上を出荷する大ヒット作となりました。発売から1年以上経過してもパチンコ雑誌に攻略法が掲載され続けていたという逸話もあります。

●CRエヴァンゲリオン　セカンドインパクト　（2006年）

　2006年に登場した『セカンドインパクト』は、初代の面白さを継承発展させることに眼目がおかれ、暴走モードのプレミアム演出（確実に当たりが出る演出）として「覚醒モード」を搭載。他にも「ミッションモード」に3分バージョン（マギ使徒浸食）が追加されるなど、さまざまな面で進化を遂げて初代を上回るヒットとなりました。

●CRエヴァンゲリオン　奇跡の価値は（2007年）

『奇跡の価値は』の登場は2007年で、15インチの巨大液晶を搭載。新たに描き下ろしされたアニメーションによる「三機攻撃リーチ」などの演出がパチンコファンを魅了しました。また液晶の周りに配置された初号機、零号機、弐号機の可動ギミックも大きな特徴でした。

■「綾波レイ」「渚カヲル」が主役の機種も登場

2020年に登場した最新機種「新世紀エヴァンゲリオン　決戦　～真紅～」　(C)カラー (C)カラー　Project Eva.

●CRエヴァンゲリオン～使徒、再び～（2008年）

　2008年に登場した『使徒、再び』は、巨大エヴァフェイス、7セグメントディスプレイ、エヴァハンド、巨大モードランプ、パトランプといった、エヴァらしさがあふれる多彩なギミックを搭載していました。液晶画面では新たな使徒との激闘が展開され、幻のエヴァ四号機も登場しました。そして、同機の主人公は綾波レイで、「レイ覚醒」や「レイ全回転」「新生モード」いった、レイをフィーチャーした演出も大きな特徴です。

●CRエヴァンゲリオン～最後のシ者～（2009）

　2009年に登場した　『最後のシ者』は、前作『使徒、再び』と同様のスペックですが、副題からわかる通り、渚カヲルを主人公に据えています。「暴走モード」のプレミアム演出として「渚カヲル覚醒モード」を搭載したのを始め、予告やリーチ演出でもカヲルが絡めば大当たり濃厚、リーチハズレ後にカヲルとエヴァ四号機が登場すれば復活大当たり……など、カヲル君の活躍がメインになりました。同機は20万台超えの大ヒットとなりました。

　その後、2010年代も数々の機種が登場し、昨年2020年にも最新機種『新世紀エヴァンゲリオン　決戦　～真紅～』が登場しています。パチンコの世界にもたらされた「エヴァンゲリオン」のインパクトは、現在も続いていると言えるでしょう。

（荻巣好輝）