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『鬼滅の刃』冨岡義勇は“いい上司”? 名シーン・名セリフからにじむ有能さ

マグミクス / 2021年1月23日 7時10分

『鬼滅の刃』冨岡義勇は“いい上司”? 名シーン・名セリフからにじむ有能さ

■冨岡義勇のセリフから見る“いい上司”像

 冨岡義勇(とみおか・ぎゆう/CV:櫻井孝宏)は『鬼滅の刃」に登場するキャラクターで、鬼を滅ぼす組織「鬼殺隊」の最強メンバー「柱」のひとり。主人公・竈門炭治郎も使う「水の呼吸」の使い手で「水柱」と呼ばれます。

 炭治郎が最初に出会った鬼殺隊士でもあり、彼を入隊させるきっかけを作った人物。また、炭治郎の妹・禰豆子をかばい、竈門兄妹のためなら命を捨てる誓いを人知れず立てていました。

 義勇の劇中でのセリフを見ていくと、彼が実は上司としても稀有な素質を持っていることが分かります。一見、無口で人付き合いが苦手そうにも見えますが、実は情に厚く、きちんと他人を評価した上で正しい方向に導くことができる名指導者であることが見えるシーンを追っていきます。

●「人喰い鬼はそうやって増える」冨岡義勇の的確な説明

 義勇と炭治郎が初めて出会ったのは、禰豆子が鬼になり、兄に襲いかかった時でした。

 義勇は使命として、鬼である禰豆子を殺そうとします。もちろん炭治郎は妹をかばったのですが「なぜ かばう」という言葉が義勇から発せられます。「妹だから」という炭治郎の願いも聞き入れず、義勇は禰豆子を殺そうとしつつ、その理由について的確に説明します。

「俺の仕事は鬼を斬ることだ。勿論お前の妹の首も刎ねる」

 これ以上ないはっきりした説明です。半分以上パニック状態になっていただろう炭治郎にもきちんと伝わる分かりやすい言葉です。

 逆に炭治郎は「禰豆子は違う、どうして今そうなったかはわからないけど」と、自分でも理解していないことを説得しようとします。

 もちろん、いきなり家族を殺され、たったひとり残った妹の禰豆子まで失おうとしている炭治郎の立場としては当たり前の言動です。むしろ、炭治郎が当時13歳だったと考えればしっかりした態度でしょう。パニックを起こしながらも説明しようとする様子を見て、義勇は冷静に返します。

「簡単な話だ。傷口に鬼の血を浴びたから鬼になった」

 これも、要点を抑えた明確な説明です。さらに義勇は続けました。

「人喰い鬼はそうやって増える」

 ここで義勇は、「鬼」とは言っても「妹の禰豆子」とは言っていないのです。この場合、「妹の禰豆子は傷に血を浴びて鬼になった」という言い方でも伝わります。むしろそう言い切ったほうが、いっそ諦めがつくかもしれません。

 義勇の言い方は一見冷たいようですが、人が鬼になるケースの一般論を述べているだけです。つまり、「大事な妹でなくても誰でも鬼になった。鬼であれば首を斬る」というスタンスです。

 つまり、義勇は炭治郎の妹を殺したいわけではない、という考え方もできるのです。人喰い鬼だから首を斬る、それだけであって誰かの大事な家族を殺すわけではないとも言えます。

 誰しも大事な家族を目の前で殺されたくはないはずです。言葉遊びのようではありますが、あくまで「人」ではなく「鬼」として扱うことで、かえって「禰豆子=鬼」として考えていないと説明しているようです。

 その後も義勇は、「禰豆子を人に戻す。絶対に治す」と言い張る炭治郎に事実だけを言い聞かせます。

「治らない。鬼になったら人間に戻ることはない」

 これは、説明するとともに、ひょっとしたら炭治郎の現実対応力を見ているのかもしれません。これまでたくさんの鬼と戦ってきた義勇は鬼についてよく知っています。ですから、彼の言葉は冷たいようでも現実です。

 認めたくない現実にぶつかったとき、炭治郎という少年がどのような対応をするか。戦うのか、それとも逃げるのか。それを義勇は見ていたのではないでしょうか。ですから、簡単に首を落とせたはずの禰豆子に刀を突き付けるだけで、炭治郎の反応を見ています。

 そこで土下座して、許しを請う炭治郎に義勇の怒りがさく裂します。

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」

 例えば、逃げるなり、立ち向かうするなりすれば、義勇はここまで怒らなかったかもしれません。怒った理由は次の言葉に集約されています。

「鬼共がお前の意志や願いを尊重してくれると思うなよ」

 これです。相手は自分の話を聞いてくれるとは限りません。ましてや人を食い殺すような相手では会話が成り立つはずがないでしょう。

「そんなこと(土下座して謝ること)が通用するならお前の家族は殺されてない」

 義勇はそうも言っています。続く言葉は、鬼という理不尽な存在とかかわる上での厳しさが表れています。

「奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が妹を治す? 仇を見つける?
笑止 千万!!
弱者には何の権利も選択肢もない 悉く力で強者にねじ伏せられるのみ!!」

 わずかな違いで生きるか死ぬかが分かれる、それが強者……鬼とかかわること、また弱者つまり人が鬼と戦う上での現実です。

 厳しい言葉ですが、また義勇の師匠であり、のちに炭治郎の育手となる鱗滝左近次も彼に対して「判断が遅い」と言っています。もしこのまま炭治郎が妹を治したい、つまり鬼とかかわり戦うというなら、その判断の速さ遅さは命を左右します。

 一見冷たいようですが、このとき義勇はきちんと炭治郎の「妹を治したい、そのためには鬼とかかわらなくてはならない」という願いのためにどうすべきかをきちんと示しているのです。

■冨岡義勇は指導力・共感力も高い、上司の資質を持っている

●「わかるよ」冨岡義勇の指導法 実践編

 そして義勇の戦いに対する指導が次から始まります。まず、炭治郎の行動に対する評価を的確に下しています。

「なぜ さっきお前は妹に覆いかぶさった あんなことで守ったつもりか? なぜ斧を振らなかった なぜ俺に背中を見せた!!」

 炭治郎の「妹を守ろうとした」行動に対して「守れていなかった」と評価し「斧を振る」「背中を見せない」という正解を示します。さらに炭治郎の行動の結果として

「そのしくじりで妹を取られている」

 と、事実を的確に告げたうえで、次のように「最悪の事態」を言います。

「お前ごと妹を串刺しにしても良かったんだぞ」

ここまできちんと説明していれば、鬼とのかかわり方は「戦う」しかないと分かることでしょう。そう現実を教えながら、義勇は内心で悲しんでいます。

(お前が打ちのめされてるのはわかってる 家族を殺され妹は鬼になりつらいだろう さけびだしたいだろう わかるよ)

 原作マンガでは「わかるよ」に傍点がふられています。のちに明らかになることですが、「鬼殺隊」隊員は鬼に家族や大切な人を殺された経験者が多い組織です。義勇もまた鬼の被害者であったと推測できるシーンです。

 それでも、義勇は立ち上がり「柱」の地位まで手に入れて鬼と戦っています。その源となったのは「怒り」。

(怒れ 許せないという強く純粋な怒りは 手足を動かすための揺るぎない原動力になる)

 義勇は、炭治郎が鬼と戦い妹を治せるようになるために、わざと怒らせ厳しい言葉をかけているのかもしれません。

 そして激高した炭治郎は、義勇にフェイントを使った攻撃で一矢報います。傷すらつかなかった義勇ですが、炭治郎の戦闘センスに光るものを見ました。このあと、炭治郎を鬼殺隊に入隊させるため、鱗滝左近次に紹介するという、組織に必要な“名スカウトマン”ぶりも発揮します。 

●「修行し直せ戯け者!!」冨岡義勇、嘴平伊之助に対しても指導者っぷりを見せる

 那田蜘蛛山で、「十二鬼月」のひとりで「下弦の伍」である累と家族と戦った炭治郎、我妻善逸、そして嘴平伊之助。

 善戦はしたものの、相手は「下弦」といえども「十二鬼月」。その配下の「蜘蛛の鬼(父)」相手に戦った伊之助は首を握りつぶされそうになります。

 その瞬間、鬼の腕を切り落とした義勇。「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮」でまるで豆腐のように鬼をばらばらにしてしまいました。これを見た伊之助は、生来の負けず嫌いと好戦的な性格から「俺と戦え」と言い始めます。

 冨岡義勇の返しは、いかにも指導者らしいものです。

「修行し直せ戯け者!!」

 そして伊之助を縛り上げてひと言。

「己の怪我の程度もわからない奴は戦いに関わるな」

 伊之助を縛るという形ながら保護して「けがの程度を理解しろ」と暗に諭してくれる義勇。指導者として素晴らしい限りです。

●「俺が来るまでよく堪えた 後は任せろ」冨岡義勇はかっこよすぎる指導者

 炭治郎は、那田蜘蛛山を支配する累と激突。禰豆子の「血鬼術」で、血液を使って鬼を燃やす「爆血」でサポートしても勝てません。さらに炭治郎は累の「血鬼術・殺目篭」で閉じ込められてしまいます。

 その、絶体絶命の危機に義勇が飛び込んできました。炭治郎が閉じ込められた「血鬼術・殺目篭」を切り払ってひと言。

「俺が来るまでよく堪えた 後は任せろ」

 文字通り、死ぬほど頑張った炭治郎に対して「よく堪えた」とほめてから「あとは任せろ」です。義勇がきちんと部下の評価をした上で責任を取る有能な指導者である、ということが分かる随一の名シーンです。

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記

(マグミクス編集部)

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