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『呪術廻戦』元ネタの数々 両面宿儺は「日本書紀」に登場する人物だった

マグミクス / 2021年1月24日 15時40分

『呪術廻戦』元ネタの数々 両面宿儺は「日本書紀」に登場する人物だった

■『呪術廻戦』には、「歴史書」や「仏教」から引用した設定が満載

「週刊少年ジャンプ」で連載中のダークファンタジー作品『呪術廻戦』。シリーズ累計発行部数は2000万部を突破、TVアニメも第2クールが放送中と、勢いに乗っている作品です。

 タイトル通り「呪術」をテーマにしている本作品。そのストーリーのなかには実際の歴史や神話が織り交ぜられており、技名や敵キャラである「呪霊」にも明確な元ネタが存在しています。今回は、そんな元ネタと作中の設定を比較しながらご紹介。作りこまれた設定の奥深さを知ることで、『呪術廻戦』をよりディープに楽しみましょう。

●両面宿儺は「日本書紀」に登場

 主人公・虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)の体に宿っている「両面宿儺(りょうめんすくな)」は、作中で圧倒的な力を持つ“呪いの王”。呪術高専の教師・五条悟(ごじょう・さとる)は両面宿儺について「腕が4本、顔が2つある仮想の鬼神。だがそいつは実在した人間だよ」と解説しています。

 そんな両面宿儺ですが、実際に歴史書『日本書紀』の敵役として登場しているのです。飛騨の国に存在していた「宿儺」は、頭の前後両面に顔を持つ異形の人間です。合計8本の手足を持ち、足は膝の裏のくぼみやかかとがありませんでした。剣術に優れ、4本の腕で弓矢を2つ同時に操り、その強大な力で王権にも逆らっていたといいます。

 外観については、「呪術廻戦」の宿儺とほとんど一致しています。また、アニメでも領域展開によって特級呪霊を魚のようにおろしていましたが、「剣術に優れていた」という元ネタの情報を取り入れているのではないでしょうか。

●漏瑚と五条悟の領域展開は“仏教用語”から

 特級呪霊・漏瑚(じょうご)の領域展開は「蓋棺鉄囲山(がいかんてっちせん)」。この技名はふたつの言葉に分けることができ、「蓋棺」は「遺体を入れる棺のフタを閉めること」、つまりは「死」を意味しています。

「鉄囲山」は仏教に関する言葉です。「世界の一番外側にある鉄でできた山」のことで、すべての世界を鉄囲山が囲んでいるという説もあります。

「蓋棺鉄囲山」は火山のようなもので相手を取り囲み、並みの術死なら焼き殺してしまう領域展開。イメージにぴったりの言葉が使われています。

 五条悟の領域展開「無量空処(むりょうくうしょ)」も、仏教に関連する言葉です。「空無辺処(くうむへんしょ)」とも呼ばれ、「物質的存在がまったくない、空間の無限性を悟る修行の境地」のことを差します。

 この領域展開は、引き込んだ相手に無限回の知覚・伝達を強制し、行動不能にしてしまいます。何もできずに固まっている状態が、「修行の境地」のようなものだという表現でしょうか。

 後半では、まだアニメ化されていない部分を含めた元ネタをご紹介します。

■伏黒の式神と呪胎九相図は元ネタ通りのデザイン

●伏黒恵の術式は“10種の宝物”がモチーフ

 虎杖の同級生・伏黒恵(ふしぐろ・めぐみ)の術式は「十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)」。自分の影を用いて十種の式神を操る術ですが、これは史書に登場する「十種神宝(とくさのかんだから)」がモチーフと思われます。

 十種神宝は、鏡2種、剣1種、玉(勾玉)4種、比札(スカーフのようなもの)3種からなる10種類の宝物です。これまで登場した伏黒の式神には、この十種神宝に対応する紋章が浮かんでいます。

 そして、マンガで登場している伏黒の切り札が「八握剣異戒神将魔虚羅(やさかのつるぎいかいしんしょうまこら)」。十種神宝のなかで唯一の剣である「八握剣」に対応しています。八握剣は“悪霊を祓う”力を持っており、魔虚羅の武器も対呪霊に優れた「退魔の剣」。まさにモチーフ通りです。

 もうひとつの元ネタは、仏教で信仰されている十二神将のひとつ、「摩虎羅大将」です。古代インドでは「摩ご羅伽(まごらが)※ごの字は目へんに候」と呼ばれ、体は人間、首は大蛇という姿をしています。作中の魔虚羅のデザインと一致していますね。

 魔虚羅を呼び出すときに唱える「布留部由良由良(ふるべゆらゆら)」ですが、これは十種神宝の力を呼び覚ます「布瑠の言(ふるのこと)」の一部です。これを唱えることによって、死者を蘇らせることもできるとされています。

●呪胎九相図はグロテスクな“仏教絵画”

 マンガで登場し、強烈なインパクトを残した特級呪物・「呪胎九相図(じゅたいくそうず)」。1番~3番である脹相(ちょうそう)・壊相(えそう)・血塗(けちず)が登場しています。

 この元となっているのが仏教絵画の「九相図」。死体が朽ちていく過程を9段階で描いた、グロテスクな絵画です。1枚目の脹相は、腐敗によってガスが発生し死体が膨らんだ場面。2枚目の壊相は腐乱が進み、皮膚が破れ始めます。3枚目の血塗はさらに腐っていき、血液や体液がにじんでいる状態です。

 作中に登場するキャラクターも、1番~3番にかけて徐々に人間離れした姿で描かれています。血液を使って戦うというスタイルも、元ネタを活かした設定だと言えるでしょう。

(古永家啓輔)

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