なぜ「ダイパリメイク」は騒がれる？ 張り巡らされる伏線と「ポケモン」ファンの目線

■次回作をほのめかす遊び心は「ポケモン」の伝統芸

　ニンテンドーDS用ソフト『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』（以下、ダイパ）のリメイクを指す言葉、通称「ダイパリメイク」は、たびたびSNSでトレンド入りを果たします。

　特筆すべきポイントは、「ダイパリメイク」の発表は公式からなされていないこと。　何度も話題にあがるものの、それらは全て、ファンの予測や仮説の上で盛り上がっています。

　もちろん、幾度となく話題に上がる理由は、ファンよりリメイクを強く希望されているタイトルであるからにほかありません。リメイクされてきた作品の順番からいっても次は「ダイパ」に白羽の矢が立つことが予想されているのですが、なぜファンが推測を活発に行うかに関して言えば……「ポケットモンスター」シリーズ”ならでは”の理由も存在します。

　これまでシリーズには、ゲーム内に次回作の伏線を匂わせる、伝統のような”遊び心”がありました。

　たとえば、2018年に発売されたNintendo Switch用ソフト『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・イーブイ』では、翌年に発売されるNintendo Switch用ソフト『ポケットモンスター ソード・シールド』（以下、ポケモン剣盾）の舞台となる「ガラル地方」の形に類似した地図がプリントされたカレンダーが、背景に同化する形で飾られています。

　また、ニンテンドー3DS用ソフト『ポケットモンスター X・Y』のアイテム「ふしぎなおきもの」は、その説明文より次回作に登場する”守り神”をほのめかす、使い道の分からない謎のアイテムとして登場しました。

　それこそ、リメイクを期待されてる『ダイパ』では劇中内のテレビで、ゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 金・銀』（以下、金銀）のイベントで登場する「赤いギャラドス」のニュースが放映されるのですが……その後に発売されたのが『金銀』リメイク版、ニンテンドーDS用ソフト『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』でした。

「ダイパリメイク」がSNSを賑わすタイミングは、最新作『ポケモン剣盾』に『ダイパ』を連想させる”何か”が発見された瞬間でもあるのです。

　次回作の伏線となるヒントを得るため、ファン目を光らせるポイントはゲームのなかだけではありません。

■もはやエンターテイナー？「増田順一」さんのTwitterにヒントが…！

『ポケットモンスター パール』、パッケージは「パルキア」（任天堂）

　ファンがチェックをしているのは株式会社ゲームフリーク取締役開発部長でもあり、株式会社ポケモンで取締役を務める、増田順一さんのTwitter（@Junichi_Masuda）です。

　増田順一さんはひと言で言えばエンターテイナー。

　これまで自身のTwitterでファンに謎解きを仕掛けるように、最新作のヒントと”なりうる”伏線を貼り続けてきました。

　たとえば、子どもに歯磨きをうながすゲームアプリ『ポケモンスマイル』の発表前には「SMILE」とプリントされたTシャツを着用、歯磨きしてる自身の写真が投稿されました。

　また、欧州の任天堂本社で「ゼルダの伝説」シリーズの主人公「リンク」の像と一緒に撮った記念写真を投稿されていたこともあります。写真には「リンク」の象徴でもある「ハイラルの盾」と剣に見立てた三脚を振りかざした増田順一さんの姿が写っているのですが……この後に発表されたタイトルが『ポケモン剣盾』でもあったのです。

　もちろん、伏線はファンの解釈ひとつでもあるため、必ずしも信ぴょう性を持つものではありません。

　間違いなく言えることは、ゲーム内にTwitter……「ダイパリメイク」や次回作のヒントを探すことも今やファンの楽しみのひとつとなっていること。

　そして、どんな些細な発見でも話題になってしまうほど、「ダイパリメイク」に寄せられる期待が強いということです。

（ふみくん）