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戦隊のパターンを作った『デンジマン』怒涛の最終回。物語の“主役”は敵勢力だった…?

マグミクス / 2021年1月31日 8時10分

戦隊のパターンを作った『デンジマン』怒涛の最終回。物語の“主役”は敵勢力だった…?

■『デンジマン』が築いた戦隊シリーズの「黄金パターン」

 今年2021年の1月31日は、1981年の同日に『電子戦隊デンジマン』の最終回が放送されてから40年目です。本作はスーパー戦隊シリーズの基礎を作った作品のひとつで、最終回までのストーリーは、今でも語り継がれるほどの熱量がありました。

 まずは本作が築いた、戦隊シリーズの黄金パターンをご紹介しましょう。

 デザイン的な特徴としては、はじめてゴーグルを使った戦隊となります。メンバーごとの個性を前面に出さずに、チームとして統一感のあるデザイン、ゴーグルの微妙な違いでそれぞれのヒーローを表現していました。

 ここで大きな意味を成すのが、それぞれのカラーです。デザインでなく色により別なヒーローに見せるという方法を確立したのは本作からでした。

 また、頭部に電飾を組み込んで「電子戦隊」らしさを表しています。オープニングの「頭にきらめくデンジメカ」は、もっともデンジマンを象徴するパーツでした。ちなみにデザインは本作からスポンサーのポピー(現在のバンダイ)が担当しています。

 他にも戦隊シリーズ初となるのが、変身アイテム「デンジリング」の登場でした。『秘密戦隊ゴレンジャー』や『バトルフィーバーJ』ではアイテムなしで変身しましたし、『ジャッカー電撃隊』はカプセルに入ることで変身するという方式をとっています。

 敵怪人が巨大化するというのも、本作が戦隊シリーズでは初めてとなります。巨大ロボが初めて登場した前作『バトルフィーバーJ』では、怪人とそっくりな巨大ロボと戦うという設定でした。つまり一度倒した怪人が巨大化してロボ戦になるという流れは、本作が最初となります。

 味方側が防衛チームのような組織でないのも、戦隊シリーズでは本作が初めてでした。既存の組織が防衛のためにチームを結成するのではなく、滅ぼされた星の末裔が宿命に導かれて集う……という展開が本作の見どころのひとつ。これは当時のSF映画ブームが背景にあり、モチーフとして「南総里見八犬伝」があったからと言われています。

 これまでベテラン俳優が演じていた司令官の立場のデンジ犬アイシーは、同作品の八房がモデルと言われていました。

 この壮大な世界観に対応して、戦隊シリーズでは初めてとなる宇宙からの脅威、異次元の悪の一味・ベーダー一族という敵が設定されます。今まで大ボスが宇宙人だったということはあっても、最初から宇宙規模の敵が攻めてきたというのは初でした。これも前述したようにSFの要素だったのかもしれません。

 そして、壮大な物語が結実したのが、終盤の連続ストーリーでした。

■最終回を盛り上げた、敵側のドラマ

『電子戦隊デンジマン』DVD6巻(東映ビデオ)。巨大化する敵怪人と戦うロボット「ダイデンジン」が描かれる

 きっかけとなったのは、中盤からレギュラーとなったバンリキ魔王という敵キャラでした。戦隊シリーズ初の第三勢力です。

 このバンリキ魔王は一見ユーモラスに見える外見をしていますが、小さくした戦闘員を生きたまま食べて「珍味」と言うほどの恐ろしさを秘めています。

 しかも、その戦闘力はデンジマンと互角以上。本作後半では「台風の目」と言える、不気味な存在感を秘めていました。

 そのバンリキ魔王が己の野心のために動き始めてからが怒涛の展開となります。第48話「バンリキ魔王反乱」から続くストーリーは、戦隊シリーズ初めての連続ストーリーとなりました。

 バンリキ魔王とその部下バンリキモンスによって占拠されてしまったベーダー一族の本拠地ベーダー魔城。これによりそれまでの戦局は一変します。

 一族の戦闘司令官だったヘドラー将軍はバンリキ魔王に宿敵デンジマンを倒されるくらいならと、巨大化して戦いますがあえなく戦死。その死に対して、敵であるデンジマンたちは敬礼するという行動で敬意を表しました。

 そして一族の長であるヘドリアン女王は、デンジマンではなくバンリキ魔王に対しての敵愾心をむき出しにします。そして、デンジマンだけでなく巨大ロボのダイデンジンさえ歯が立たなかったバンリキモンスの弱点を教えるという行動に出ました。

 このヘドリアン女王の報せで強敵バンリキ魔王とバンリキモンスをようやく倒すことができたデンジマン。最後に残ったヘドリアン女王を倒そうと城に乗り込むデンジマンでしたが、女王はデンジマンたちに別れを告げて深い眠りにつくというエンディングを迎えます。

 この最終回までの連続ストーリーは、それまでと違って敵側であるベーダー一族を中心に物語が進んでいきました。終盤で、これほどまでに敵側を中心に描いた作品は当時としてはなかったと思います。

 そしてこの後、「敵側の内部分裂」という構図は、80年代特撮作品の定番となりました。

 しかし、本作が後年同じように内部分裂していった悪の組織と決定的に違うのは、悪側の共倒れがなかったら、デンジマンが勝利したかどうかわからないという点です。

 そう思わせるだけの敵側の深みのあるドラマ作り。本作が名作と言われ続けるのは、戦隊シリーズの基本を作ったということだけではなく、この最終回までのドラマが多くのファンの心に響いたからだと思います。

 制作時に壮大な物語を描こうとしてスタートした本作は、敵側である悪の魅力を存分に描いた大河ドラマとして結実したのでした。

(加々美利治)

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