音声認識を用いたゲーム5選 粗はあるけど「ファミコンの2コン」より本格派
マグミクス / 2021年2月3日 15時40分
![音声認識を用いたゲーム5選 粗はあるけど「ファミコンの2コン」より本格派](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_46258_0-small.jpg)
■「ファミコンの2コンマイク」後の、音声認識ゲーム
iPhoneシリーズ内蔵の「Siri」をはじめ、「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカー等々、我々の回りには”音声認識”を用いた製品が数多く誕生しています。その系譜を振り返ると、過去には音声認識を取り入れた独創性あふれるゲーム作品が発売されていました。本稿では、そんな”音声認識を用いた家庭用ゲーム作品”を5つご紹介します。
●『ピカチュウげんきでちゅう』(NINTENDO64)
最初に紹介するのはNINTENDO64用ソフト『ピカチュウげんきでちゅう』(1998年12月12日発売/任天堂)。作中では「ポケットモンスター」(以下、ポケモン)シリーズのマスコットキャラ「ピカチュウ」とマンツーマンでコミュニケーションを取ることができました。そのゲーム性を支えたのが、「NINTENDO64 VRS」と呼ばれる音声認識システム。プレイヤーが専用マイク(ソフト同梱)に向かって話しかけると、ピカチュウも画面の向こう側でさまざまなリアクションを見せてくれます。収集と対戦をウリとしていた当時の「ポケモン」シリーズにおいて、本作は言葉を介してポケモンと触れ合う楽しさを前面に押し出していたのです。本作と同じ構図を採用した作品として、『ポケモンチャンネル ~ピカチュウといっしょ!~』も生み出されました。
●『シーマン~禁断のペット~』(ドリームキャスト)
『シーマン~禁断のペット~』画像はプレイステーション2版(D3 PUBLISHER)
”人面魚”というフレーズがかつて大流行となりましたが、ドリームキャスト用ソフト『シーマン~禁断のペット~』(1999年7月29日発売/セガ)は、まさしく人面魚と会話を試みるユニークな育成シミュレーションです。プレイヤーは中年男性の顔を持つ人面魚「シーマン」を水槽内で飼育。幼魚から成魚へと成長する過程を眺めつつ、人語を喋る彼らとの交流に軸足が置かれています。音声認識に対応しているため、コントローラーに接続したマイクデバイスを介して直接シーマンに語りかけることも可能。高慢な態度から繰り出される味わい深いセリフの数々が話題を集め、ドリームキャスト用ソフトとしては最も多い約40万本の売上を叩き出しました。本作は後にシリーズ化を果たし、『シーマン2~北京原人育成キット~』といった別バージョンもリリースされています。
●『デカボイス』(プレイステーション2)
『デカボイス』(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)
プレイステーション2用ソフト『デカボイス』(2003年2月13日発売/アクワイア)は、プレイヤーの声を”キャラクターへの指示出し”に用いたハードボイルドアクションアドベンチャー。作中で発生する事件を捜査する上で、主人公「スティーブン・ヘイワード」が警察犬「ライアン」の力を借りる場面があり、その際にプレイヤーはハード本体へ取り付けたUSBマイクを使って音声コマンドを入力します。例えばプレイヤーが「前へ」と発するとライアンも前進。「探せ」と命じれば、怪しい臭いをたどって現場に遺された痕跡を探し続けます。こうした指示出しに加え、イベントシーンにおける「相づち」システム、及び特定のイベントシーンでしか認識されない音声コマンド等の小ネタも仕込まれていました。
●『グレイテストストライカー』(プレイステーション2)
『グレイテストストライカー』(タイトー)
リアルスポーツのサッカーを題材に選んだプレイステーション2用ソフト『グレイテストストライカー』(2000年12月2日発売/タイトー)。サッカーゲームと言えばファミコン時代から現在まで数多の作品が作られてきたジャンルですが、本作はそのなかでもひときわ異彩を放つ存在です。試合中はプレイヤーの声に応じて選手たちがパスやドリブルを実行。対戦モードで2人プレイを試すとなれば、「シュート!」や「パスパス!」等のお互いの声が両チームのキャラクターに干渉しあい、さながらカオス状態になること間違いありません。ちなみにあえてマイクを使わず、通常のサッカーゲームと同じようにコントローラーを使ってプレイすることも可能です。
●『大玉』(ゲームキューブ)
『大玉』(任天堂)
プレイヤーが軍勢の総大将となり、戦場をひた走る配下へ指示を伝える……。ゲームキューブ用ソフト『大玉』(2006年4月13日発売/任天堂)は、自軍の兵士を相手の陣地まで侵攻させる人海戦術落城アクション。「ピンボール」に近いゲームシステムを組み込んでおり、タイトル名にもなっている「大玉」の動きをいかにうまくコントロールできるかが攻略のカギを握っています。フィールド下部の「振り場」(フリッパーに相当)で大玉を勢いよく弾き飛ばし、敵軍の兵を一網打尽。ただし大玉の被害は自軍にも及ぶため、あらかじめ「おおだマイク」(専用マイク)へ「下がれ!」と吹き込み、自軍の兵を安全地帯まで避難させる。ピンボールとリアルタイムストラテジーをミックスさせ、そこに音声認識システムを取り入れた、ゲームキューブ後期の隠れた名作です。
* * *
今回取り上げたソフトはいずれも現在の音声認識技術と比べて粗が目立つのも事実。しかしそうした認識性の問題こそあれど、音声認識ゲームはそのユニークなシステムから人々の関心を何度も引き寄せてきたように思います。
(龍田優貴)
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