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サンライズ制作のロボアニメ、2月放送開始が多かった…『ガンダム』打ち切りが影響?

マグミクス / 2021年2月4日 7時10分

サンライズ制作のロボアニメ、2月放送開始が多かった…『ガンダム』打ち切りが影響?

■毎年2月、サンライズの新型ロボットが発進する月

 筆者が子供の頃は2月になると、「今度の土曜日はどんなロボットアニメが始まるんだろう?」と楽しみにしていたことを覚えています。

 1970年代後半から1998年までの約20年間、テレビ朝日の土曜の夕方は毎週ロボットアニメが放送されており、子供たちの注目を集めていました。

 特に1982年から1984年にかけては、『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『重戦機エルガイム』といった、『機動戦士ガンダム』や『伝説巨神イデオン』を作り上げた富野由悠季氏の手による作品が次々と放送されていたのです。今改めて考えると、これだけの作品を何年も続けて作り上げていた富野氏の創作にかける情熱のすさまじさに驚かされます。

 それ以外にも『無敵ロボ トライダーG7』や『最強ロボ ダイオージャ』(本作品は1月31日スタート)ら故・佐々木勝利氏が監督を務めたスーパーロボット作品も放送されており、楽しんで見ていた記憶があります。

 もちろん子供の頃の筆者は、これらの番組を制作しているのが日本サンライズ(現:サンライズ)という会社だということはまったく意識はしていません。『無敵ロボ トライダーG7』を見ては「自分も主人公の竹尾ワッ太みたいに巨大ロボットに乗りたいなあ」と思ったり、『戦闘メカ ザブングル』を見ては「ジロンの顔、卵みたいな形してる!」と姉と一緒に笑い転げたりしていました。

 筆者にとって特に印象深い作品と言えばやはり『聖戦士ダンバイン』です。当時としてはまだ珍しい中世ファンタジー風の世界や、従来のロボットとは一線を画した昆虫を思わせるオーラバトラーのフォルム、生々しい人間模様など子供向けに作っているとはまったく思えない重厚なドラマが展開されており、楽しみながらも少々戸惑うこともありました。正直、本放送のころはきちんと理解できたとは到底言えず、大人になって見返してようやく本作の本当の面白さに気付けたような気がします。特にビショット王とルーザ・ルフトの関係性については、小学生にはちょっと難しすぎると言わざるを得ないでしょう。

■武器の描写が生々しかった『戦闘メカ ザブングル』

『戦闘メカ ザブングル』 画像はDVD-BOX(タキコーポレーション) (C)創通・サンライズ

 最近では「ザブングル」と言えばお笑い芸人コンビの方が有名になってしまいましたが、その名前の元ネタとなった『戦闘メカ ザブングル』も個性豊かなアニメです。砂塵吹き荒れる荒野を舞台にした、コミカルさと殺伐さをミックスさせた独特な雰囲気を漂わせた作品で、ウォーカーマシンと呼ばれる武骨な作業用メカを一般人が使っていたことに何より驚かされました。

 この時代のアニメに登場するロボットは、主人公やその敵が使う特殊な存在として扱われることが多かったのですが、『戦闘メカ ザブングル』はロボットを現代の自動車の延長上にある存在として描写していたのです。主人公機であるザブングルもハンドルで動かしていたのですが、これは子供心にも「いや、ハンドルじゃそうは動かないんじゃ……」とツッコんでいたことを覚えています。

 また、『戦闘メカ ザブングル』は武器の描写が現実的で生々しかったのも特徴として挙げられるでしょう。ザブングルは運転席の横に機銃が付いていたのですが、初期の段階では自動化されておらず、主人公のジロン・アモスが操縦しては機銃に飛びついて射撃を行い、また運転席に戻っては操縦する……を交互に行なっていたのです。それ以外にも武器を調達するためにバズーカを賭けて決闘する話もあり、今までのロボットアニメではあまり描写されていなかった武装の在庫と補充について目を向けていたことに先進性を感じさせられます。

 ただ、当時は2月に新番組が始まることを当たり前のように受け入れていましたが、よく考えてみると非常に中途半端な時期であることは間違いありません。調べてみたところ、2月スタートになった大きな理由は1979年放送の『機動戦士ガンダム』が打ち切りにより1980年1月26日で終了したため、次番組の『無敵ロボ トライダーG7』が2月スタートになり、『重戦機エルガイム』までほぼ同じタイミングでの番組交代が続いたためだったのです。

 1998年の『勇者王ガオガイガー』を最後に、土曜夕方のサンライズロボットアニメ枠は途絶えてしましましたが、本稿で紹介した以外にも数多くの傑作がひしめいています。無邪気に新型のロボットの登場を楽しんでいた時代にはもう戻れませんが、あの頃の記憶を呼び返すために、古い作品に改めて親しんで見るのもいいかもしれません。

(早川清一朗)

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