『DQ4コマ』石田和明先生が語る『DQ4』 苦しめられたAI戦闘、ラスボス戦の衝撃はシリーズ随一
マグミクス / 2021年2月11日 7時10分
■『ドラクエIV』ファミコンというハードの制約がありながらの傑作
1990年2月11日、エニックス(現:スクウェア・エニックス)よりファミコン用ソフト『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(以下、ドラクエIV)が発売されました。
「ドラクエ」を題材としたコミック『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』(以下、ドラクエ4コマ)で活躍した漫画家の石田和明先生が、『ドラクエIV』の思い出を語ります
* * *
『ドラクエIV』はそれまでのロト3部作と大きく違い、勇者と共に冒険をする仲間キャラ
にはっきりとした個性付けをし、物語性を前面に押し出した作品です。そして初めて女勇者を選択できるドラクエでした。(厳密に言えばIIIでも選べましたが)
勇者を主人公とした本編の前に、ライアン編「第一章 王宮の戦士たち」、アリーナ編「第二章 おてんば姫の冒険」、「第三章 武器屋トルネコ」、「第四章 モンバーバラの姉妹」の4つの独立したエピソードから始まります。各キャラクターそれぞれに戦う理由があり、やがて運命の糸に導かれるように勇者の元に集います。冒険が進むに従い仲間が少しずつ集まっていくワクワク感がたまりません。そして物語が進むに従い、勇者側だけでなく魔王にも、魔王になる理由があることが語られます。
とにかく個性的なキャラぞろいの『ドラクエIV』ですから、当時からキャラに熱烈なファンがつきました。僕が好きなのはマーニャさん。色っぽいけど性格ががさつと言うのがツボでした。いまでもドラクエキャラのなかで一番好きです。もし『VRドラクエIV』があったら、ずっとマーニャさんを眺めながら冒険したいです……! すみません暴走しました(笑)。
それまでのシリーズとは一線を画す『ドラクエIV』ですが、特に斬新だったのは、仲間キャラが独自の判断で行動する戦闘AIシステムです。初めてプレイをしたときは新時代の到来を実感しました。仲間が勝手な行動をして頭を抱えることもしばしばですが、そういう意味で戦闘のハラハラ感はシリーズ屈指とも言えるでしょう。そもそも『ドラクエIV』のキャラクターたちは、勇者に従うというよりそれぞれ平等な立場で集っていると考えれば「命令させろ」コマンドがなかったのはむしろ良かったのかもしれません。
ファミコン版で残念だったのがマネマネ戦。モシャスで仲間キャラに変身したマネマネのグラフィックがフィールド上のキャラをそのまま大きくしただけの物だったこと。ここは専用グラフィックが欲しかった! もちろん容量の関係で難しいのは分かるけれど、アリーナの闘技場イベントで一回しか使わないキャラの専用グラがあったので、これをやるくらいなら……と当時は思わずにいられませんでした。今見ると逆に味がありますが(笑)。
もうひとつ残念だったのは、ゲームが進むに従い戦闘で「使える」キャラと「使えない」キャラが出てきてしまうこと。プレイヤーのプレイスタイルにもよりますが、ここはやはり愛の力で乗り越えるしかないですね。
『ドラクエIV』で一番衝撃だったのは、ラスボス戦です。詳しくは書きません。いまでこ
そ敵モンスターは戦闘中にいろいろな芸をしますが、当時ファミコンの容量でよくぞこれ
をやったと思います。ラスボス戦の衝撃はシリーズ随一です。
『ドラクエIV』はファミコンという制約のなかだからこその、本当にシンプルに各キャラクターが紡ぐ物語を味わえる作品だと思います。
最後に余談ですが、僕が描いた『ドラクエ4コマ』のとあるマンガのせいで、当時のドラクエファンの間で『ドラクエIV』の女勇者が「ブロッコリー」とか「ブロ子」と呼ばれていたことを最近になって知りました。うれしいけれど女勇者には申し訳ないことをしました(笑)。
(石田和明)
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