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アニメ『魁!!男塾』放送から33年。打ち切りに遭うも、漢(おとこ)のルールを教えてくれた

マグミクス / 2021年2月25日 11時40分

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■「わしが男塾塾長 江田島平八である!」

 現代でも「週刊少年ジャンプ」は日本、いや世界歴代最高のマンガ雑誌として綺羅星のごとき傑作を次々と生み出し続けていますが、1980年代半ばから後半にかけて、ほぼすべての掲載作品がTVアニメ化されるという「黄金時代」を迎えた時期がありました。しかも今のように年間150本以上の作品がアニメ化される時代ではなく、50本から80本程度の時期の話です。これはまさに、偉業と言えるでしょう。

 1985年から連載開始した『魁!!男塾』(作:宮下あきら)も、黄金時代の作品のひとつです。全国から札付きの不良を集め、当時としても時代錯誤な軍国主義的教育で男を磨く……という荒唐無稽な作品でしたが、作中に登場する男たちが見せる格好良さと覚悟、そして見たこともない数々の拳法・武術は、少年たちを虜(とりこ)にしていたのです。

 筆者は男塾死天王のひとり、羅刹(らせつ)の使う鞏家・兜指愧破(きょうけ・とうしきは)を真似て人差し指と小指を立ててあちこちを突きまくり、突き指をしたことがありますが、おそらく同様の記憶を持つ方も多いのではないでしょうか。

 もちろん羅刹だけではなく、本作品には個性と強さを併せ持つ強烈なキャラクターが、あとからあとから登場し続けます。主人公の男塾一号生筆頭・剣 桃太郎、根性なら天下一の富樫 源次、怪力無双の虎丸 龍次、マッハパンチの使い手・J、脇役ではありますが存在感抜群の松尾や田沢、秀麻呂といった、一号生の名前を挙げていくだけでも枚挙に暇がありません。

 二号生筆頭の残岩剣・赤石 剛次、三号生筆頭の大豪院 邪鬼に死天王の影慶(えいけい)、羅刹、卍丸、センクウ。当初は敵ながらも後に一号生となる伊達 臣人(だて おみと)、雷電、飛燕、月光など、多彩な魅力を放つキャラクターを数多く生み出した宮下先生のエネルギーには、ただ恐れ入るしかありません。

 そして、男塾で忘れてはいけないキャラクターが、男塾塾長・江田島平八です。「わしが男塾塾長 江田島平八である!」の一声ですべてを解決してしまう迫力と、屈指の実力を誇り、強者が列をなす本作のなかでも別格の扱いを受けていました。最終話近辺では宇宙空間を生身で遊泳するという離れ業すら披露しており、その力はすでに人類すら超えているといっても過言ではないでしょう。

■放送打ち切りに至った残念な経緯

TVアニメ『魁!!男塾』の主題歌をつとめた「一世風靡セピア」は、当時の音楽番組を席巻していた。画像は「ANIMEX 1200シリーズ99 魁!!男塾 音楽集」(日本コロムビア)

 そんな『魁!!男塾』がTVアニメ化されたのは1988年。関東圏ではTVアニメ『北斗の拳2』終了後に、同じ枠で放送されました。

 もちろん筆者もアニメを楽しませてもらっており、当時ようやく自宅に導入されたVHSビデオで録画もしていました。しかしこのとき繰り返し再生していたのは本編ではなく、オープニングテーマの「汚れちまった悲しみに…」だったのです。歌は路上パフォーマンス集団「劇男一世風靡 (げきだんいっせいふうび)」から派生した「一世風靡セピア」という音楽ユニットが担当しており、何かよく分からないままなんとなく凄いと思って聞いていたのですが、後に俳優として頭角を現す哀川翔氏や柳葉敏郎氏が参加していたことを知り、大変驚いたことを思い出します。

 アニメの内容自体は、軍国主義的な部分や過度に残虐な部分は抑えられていましたが、男塾らしさは十分残されており、十分に楽しめました。江田島平八の「わしが男塾塾長……」のくだりも、故・郷里大輔氏によるド迫力の声が当てられており、「これが江田島平八の声なんだ」と、納得させられたことを覚えています。

 そうして毎週楽しみにしていたTVアニメ『魁!!男塾』ですが、男塾で3年に一度開催される格闘行事「大威震八連制覇」で一号生と三号生が死闘を繰り広げている最中に、いきなりストーリーが急に飛んでしまったのです。話数ではちょうど31話にあたります。このころ、『魁!!男塾』の描写に対しPTAから度重なるクレームが入っており、残念ながら打ち切りが決定してしまったのです。「大威震八連制覇」が一気に終了を迎え、その後に数話のエピソードが放送され、アニメは終了してしまいました。

 確かに残虐描写は多い作品だったかもしれません。しかしこの作品には、男同士の友情や仁義、どんなときもあきらめない根性といった、大事なものがたくさん詰まっていたのです。『魁!!男塾』が示してくれた漢(おとこ)の世界は今でも多くの人の心に根付いており、ここぞという時の規範になってくれている気がします。表面上の描写より、作品の根底に根付いているものにこそ目を向けるべきである……。筆者は今でも強くそのように願っています。

(早川清一朗)

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