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『鬼滅の刃』に登場、“藤の花”は人間にも毒? 伊之助の好物、天ぷらにすれば食べられる!

マグミクス / 2021年3月8日 7時10分

『鬼滅の刃』に登場、“藤の花”は人間にも毒? 伊之助の好物、天ぷらにすれば食べられる!

■『鬼滅の刃』でのカギとなる“藤の花”には、本当に毒があった!?

『鬼滅の刃』において、特別な植物といえば藤です。岩柱・悲鳴嶼行冥がかつて住んでいた地域では鬼除けに藤のお香を使っていましたし、蟲柱・胡蝶しのぶは藤の花の毒で鬼を倒しました。しかし、春になると美しく、たわわな花房をつけ、甘い香りを漂わせる藤に毒があるなんて……「物語の中でだけでしょ」と思われる方も多いかもしれません。ですが、藤の花は人間にとっても毒であることが分かりました。

 この記事では、藤の毒とは、どのようなシチュエーションで、どのような症状が出るものなのか……など、藤の毒に関する情報と、日本で本当に使われていた有毒植物についてご紹介します。

●作品中に見る鬼と藤の関係

 まずは、『鬼滅の刃』で藤の毒がどのようなシーンで使われているか、おさらいしてみましょう。

 初めに藤についての話が出るのは、鬼殺隊に入隊するための最終選別を行う藤襲山(ふじかさねやま)でのことでした。生け捕りにした鬼たちは、山のふもとから中腹にかけて、本来は春が時期であるにも関わらず、一年中狂い咲いている藤の花のせいで、逃げ出すことができません。ここでは、理由は書かれておらず、「鬼共の嫌う藤の花」とされています。

 続いては、鼓を使う鬼(響凱)の屋敷にいた稀血の子供、清らを助けた時。清のために、「鬼除けになるので」と、カラスが藤の花の香り袋を吐き出しました。

 さらに、前述したように、岩柱・悲鳴嶼行冥がかつて身寄りのない子供たちの世話をして暮らしていた地域では、夜は藤のお香を焚いて、鬼が家に入ってこないようにしていたという描写があります。

 そして、胡蝶しのぶの剣や、上弦の弐・童磨との死闘でも藤の花の毒が使われました。

 これらのエピソードから、「鬼は自分の体に藤が毒であることを知っているため、藤の香りを嫌がる」ということが分かります。

●藤の花は食べられるけれど…

 実は、藤の花は、咲き誇る姿と香りを楽しむだけではありません。天ぷらや砂糖漬け、ジャムなどにして、十分に加熱すれば食べることができるのです。

 しかし多量に食べると、レクチン(糖鎖に結合活性を示すタンパク質の総称)により、吐き気や頭痛、めまいを引き起こし、重症になると胃腸炎になるといいます。

 生のマメ科植物が血液を凝集する毒性を持つのもマメ科のレクチンによる作用であり、マメ科フジ属のつる性落葉木本である藤にも当てはまります。つまり、藤の花は食べられますが、食べる際には、十分に注意が必要です。

●魔除けとしての藤の花

 日本では古くより、藤の花には、魔除けの力があるとされてきました。藤の発音が「不死」「不二」と通じることから、縁起の良い花だと考えられたのが、その理由です。

 また、たわわな藤の花房は子孫繁栄の象徴とされることもあり、これらのことから、人間に害をなす悪霊や悪いものを除く力があるとされました。

■藤の花の他にも…日本で本当に使われていた有毒植物

著:保谷彰彦『有毒!注意!危険植物大図鑑』(あかね書房)

●最強の毒花・トリカブト

 植物に詳しくない人でも、トリカブトという名前と猛毒の植物であるということはご存知の方が多いでしょう。秋の山野を彩る代表的な美しい花ですが、猛毒植物なので、けっして素手で触れないようにしてください。

 トリカブトの毒は、古くから矢毒として使われていました。トリカブト毒による狩猟は、ユーラシアの多くの地域で行われ、日本でもアイヌ民族が狩りに利用していたのは有名です。矢に付けて動物をしとめ、矢が刺さった部分の肉を大きめにえぐり取って廃棄し、それ以外の部分を食べていたといいます。

 現在、トリカブトのなかには、絶滅が危惧されるレッドリストに記載されているものもあり、自生地も、年々減っていると言います。

●毒で遺体を守る・シキミ

 シキミは、花から実全体に猛毒があり、植物では唯一、「毒物及び劇物取締法」の劇物に指定されているほどです。そのため、「悪しき実(あしきみ)」と呼ばれ、「あしきみ」の「あ」をとって、「シキミ」となったとされているのです。

 そして、シキミの特徴としては、非常に特徴的な香りがあります。土葬していた時代には、野生動物が遺体を掘り起こすのを防いだり、故人を邪気から守ったりすると考えられました。
 

●ヒガンバナ

 ヒガンバナは、秋のお彼岸の時期に、土手や田んぼのあぜ道、墓地などに咲きます。地面からスッと伸びた花茎の先に華やかな花を咲かせた姿が特徴的です。

 ヒガンバナの毒は、花・茎・葉・根といった、すべての部分にあり、特に鱗茎(りんけい)と呼ばれる球根部分にあると言われています。この毒は、吐き気や下痢、ときには中枢神経に麻痺を起こすものです。

 日本では、ヒガンバナは、モグラやネズミから農作物やご先祖様を守るため、土手や田んぼ、墓地の周囲に植えたと言われています。彼岸花の球根ひとつで、モグラやネズミなどの小動物なら、なんと約1500匹も駆除できるほどです。また、ネズミ避けとして、壁土と一緒に蔵の壁に塗ったとも言われています。

* * *

 ちなみに、鬼舞辻無惨が人として生きていた平安時代と言えば、日本最古の長編小説『源氏物語』が書かれた時代です。

 『源氏物語』の主人公、光源氏は、身分も容姿も教養も趣味も秀でた男性ですが、光源氏は義母である藤壺の君への道ならぬ恋に苦悩し、果ては子をなし……と、「藤」は光源氏の人生にとって、甘くも危険な「毒」だったと言えます。

(山田晃子)

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