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1975年、マジンガーとゲッターの共演がもたらした、さらなる「夢の共演」とは?

マグミクス / 2021年3月21日 9時20分

1975年、マジンガーとゲッターの共演がもたらした、さらなる「夢の共演」とは?

■手を結んだのはヒーローだけでない? 当時の裏事情

 1975年3月21日に「東映まんがまつり」の1本として公開された劇場用作品『グレートマジンガー対ゲッターロボ』は、当時大人気だった2大スーパーロボットの共演を実現させ、当時の子供たちを興奮させただけでなく、後のロボットアニメにも大きな影響を与えていました。

 当時、永井豪先生の作品の共演というものが「東映まんがまつり」で行われていました。最初の『マジンガーZ対デビルマン』は、日本アニメ史上初めての本格的クロスオーバー作品として現在まで語り継がれる伝説的作品です。続く『マジンガーZ対暗黒大将軍』は、主役交代劇をテレビに先駆けて劇場版として作成したことで、これもまたファンの間で語り継がれてきた作品でした。

 それに続いて製作された『グレートマジンガー対ゲッターロボ』では、いったい何が当時の子供にスゴいと思わせたのでしょうか?

 それは、現役でそれぞれ別の世界観を持っている2大スーパーロボットが共演した、という部分です。これは過去の作品ではなしえなかったことでした。

 しかし、現役のヒーローにそれぞれの見せ場を用意して並び立たせるというのはむずかしいものです。過去の作品では、どうしても一方のヒーローがピンチの時にもう一方が助ける……という形になってしまいます。しかし両方とも現役の場合、どちらか一方の立場を下げることはできません。その点、本作ではグレートとゲッターどちらが強いのか?と思わせる絶妙なパワーバランスで物語が進んでいきます。

 この2大スーパーロボットの共演は簡単に見えて、そうではない複雑な状況がありました。それは、出版社の問題です。

『グレートマジンガー』は講談社、『ゲッターロボ』は小学館が、それぞれ雑誌掲載権を持っていました。ようはお互いの出版社以外での掲載を制限する権利です。この講談社と小学館のライバル関係は根深く、古くは「少年マガジン」と「少年サンデー」の発売日を調整するなどの事件もありました。

 この雑誌掲載権ですが、徳間書店の『テレビランド』、秋田書店の『冒険王』はマジンガーもゲッターも掲載していたので、実質的には互いの出版社には載せないということだったのかもしれません。

 ところが、劇場版公開時期に限っては、お互いの雑誌で扱うことができるという紳士協定が結ばれたおかげで、マジンガーとゲッターの夢の共演が実現できたわけです。これらが、筆者も子供だった当時は知らなかった、まさに「大人の事情」というものでした。

■2大スーパーロボットの共闘が後世にもたらしたもの

「スーパーロボット大戦」シリーズの最新作、『スーパーロボット大戦X』(バンダイナムコ)

 2大スーパーロボットを迎え撃つのが、劇場版オリジナルの敵である「ギルギルガン」です。それまでの劇場版では、テレビ版の敵組織がそのまま敵として現れていました。しかし、今回初めて劇場版オリジナルの敵が現れたというわけです。

 このギルギルガンを連れてきた謎の円盤もミステリアスな存在で、劇中では正体が何者かもわかっていません。さらにギルギルガンは宇宙怪獣という扱いでしたが、体の内部には機械が組み込まれている不思議な存在でした。怪獣なのかロボットなのかわからない謎めいた存在ゆえ、2大スーパーロボットが共闘しなくてはいけない強敵となりえたのかもしれません。

 公開当時を知らない世代にも、ゲーム『スーパーロボット大戦』(以下スパロボ)でボスキャラとして登場したことで有名だと思います。というか、『スパロボ』で本編を見たことのない世代にまで存在が広まったと思います。本編でも見せている形態を変化して、より強力な姿に進化していくさまは、確かにゲームのボスキャラとして使いやすかったのかもしれません。

 時代は、ちょうど子供たちのブームが特撮ヒーロー番組から、スーパーロボット作品に切り替わっていくころでしょうか。本作公開時から「東映まんがまつり」では『仮面ライダー』の劇場版オリジナル作品がなくなり、代わりにマジンガーシリーズがメインとなったことからもうかがい知れます。

 この作品は、音楽もファンの注目を集めました。BGMがマジンガーとゲッターの両方のテレビ版から流用されているので、渡辺宙明さんと菊池俊輔さんの音楽が同じ作品で使われています。ちなみに、オープニングの「おれはグレートマジンガー」がテレビ版と別バージョンというのも、音楽的なポイントのひとつといえそうです。

 この2大スーパーロボットのコラボレーションは以降も続いていきますが、後年与えた最も大きな影響は前述した『スパロボ』というゲームを生み出したことかもしれません。

 そして、「別作品のヒーローの共演」という部分は、アニメだけでなく特撮ヒーローにも何らかの大きな影響を与えていると筆者は感じています。現在でも、何らかのコラボが発表されたとき、『グレートマジンガー対ゲッターロボ』が頭に浮かぶのは筆者だけではないでしょうから。

(加々美利治)

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