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少女マンガが読みたい男性は少数派?「面白い作品の情報が得られない」悩み

マグミクス / 2021年3月23日 7時10分

少女マンガが読みたい男性は少数派?「面白い作品の情報が得られない」悩み

■男性が少女マンガを読むのは想定されていない?

 先日、ある企画で少女マンガの編集者さんとお話をしたのですが、そのとき不意に「そういえば、最近少女マンガを読んでないな」と思い当たりました。 筆者はマンガ好きの姉がいることもあり、実家暮らしをしていたころは当たり前のように少女マンガを読んでいたものです。小学生の頃は「りぼん」や「なかよし」を当たり前のように手にしており、姉が高校に上がったころは「LaLa」を愛読していました。ある時などは姉が手に入れた、まだCLAMP先生が大阪で活動する同人サークルだったころの同人誌を目にしてしまい、全く知らない世界に恐れおののいたことも記憶にあります。

 あの頃読んだマンガは数え切れません。「りぼん」だけでも岡田あーみん先生の『お父さんは心配性』、柊あおい先生の『星の瞳のシルエット』、さくらももこ先生の『ちびまる子ちゃん』、浦川まさる先生の『いるかちゃんヨロシク』、一条ゆかり先生の『有閑倶楽部』、など、印象深い作品は今でも覚えています。

「LaLa」では樹なつみ先生の『朱鷺色三角(ときいろトライアングル)』『パッション・パレード―朱鷺色三角 2』『OZ』を特に愛読していました。他にもなかじ有紀先生の『小山荘のきらわれ者』も非常に楽しませていただきました。

 他にも那州雪絵先生の『ここはグリーン・ウッド』や川原由美子先生の『前略・ミルクハウス』、高河ゆん先生の『アーシアン』、田村由美先生の『BASARA』なども読んでいましたし、アニメが先でしたが山本鈴美香先生の『エースをねらえ!』、池田理代子先生の『ベルサイユのばら』、大和和紀先生の『はいからさんが通る』なども原作に目を通しています。

 しかし今では少女マンガを読むことはまったくありません。 家族と離れ一人暮らしをしていることもありますが、それ以前に情報がなく、何を読んでいいのか分からないのです。

 Twitterを見ても、流れてくるのは少年・青年マンガの情報ばかりで少女マンガの情報はありません。筆者はライターという職業に就いているため、情報収集にはかなりの時間をかけています。Twitterの特性上、読まないジャンルの情報が手に入らないのは当たり前の話ではありますが、それでも情報が遮断されているのではないかと思うほど手に入らないのです。おそらくは、男性向けに情報が発信されていないのでしょう。

■面白い少女マンガは無数にある。だから存在を知りたい

 そもそもの問題として、男性が少女マンガを読むことに抵抗感を覚える方が多いこともあります。昔、ある友人と一緒にいたとき、楠桂先生の『恋してフローズン』を購入したことがあるのですが、その友人からは「え? お前それ買うの?」と首をひねられたことを思い出します。女性が少年マンガを読むのは当たり前に受け入れられても、男性が少女マンガを読むのはおかしいと感じてしまう状況に、今でもそれほど変化はないでしょう。マンガ以外にも存在するジェンダー問題です。この感覚がある以上男性の少女マンガ読者はあまり多くはならず、宣伝効果も見込めないため出版社も力を入れず、必然的に男性は少女マンガの情報を手に入れにくくなってしまっている状況があるのではないでしょうか。

 結果として、男性が少女マンガの存在を知るためにはアニメ化が最も有効な手段となっています。メディアミックスによる同時展開作品も含みますが、武内直子先生の『美少女戦士セーラームーン』、CLAMP先生の『魔法騎士レイアース』『カードキャプターさくら』などが代表例として挙げられるでしょう。この3作品が掲載されていた頃の「なかよし」は、書店で若い男性が購入している光景をしばしば見かけた記憶があります。すぐれた作品にはジェンダーによる抵抗感をも乗り越える力があるのです。

 その他にも高屋奈月先生の『フルーツバスケット』、津田雅美先生の『彼氏彼女の事情』、末次由紀先生の『ちはやふる』、椎名軽穂先生の『君に届け』などアニメ化により飛躍的に知名度を上げた作品は無数にあります。しかしこれらメディアミックスの対象になった上澄みのような作品だけではなく、もっと多くの傑作が少女マンガの世界にはあるはずです。そういった作品の情報を、男性が手に入れやすくなる手段が欲しい。ひとりのマンガ読みとしては、そう願わずにはいられません。

(早川清一朗)

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