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震災後、日本のために立ち上がったウルトラマンと仮面ライダー。2作品が見せた希望の光

マグミクス / 2021年3月23日 11時50分

震災後、日本のために立ち上がったウルトラマンと仮面ライダー。2作品が見せた希望の光

■人びとを救おうと、手を伸ばし続けた仮面ライダー

 東日本大震災から早くも10年の時が経ちました。震災発生当時は先の見えない不安から、心安らかな日々を送れなかった人も多かったと思います。そんな人たちの力になりたい。そう思ったヒーローたちがいました。日本の誇る2大ヒーローの「ウルトラマン」と「仮面ライダー」です。

 もちろんエンターティナーの話ですが、笑顔を失いかけていた我々の心に「希望」を与えようとした映画がありました。

※以下は映画のストーリーの核心に関する記述が含まれます。

 ひとつは『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL将軍と21のコアメダル』です。2011年8月に上映された同作はトリビア的な番組でよく紹介されているので、タイトル名に聞き覚えがなくても、松平健さんが演じる『暴れん坊将軍』の徳川吉宗こと上様が出演しているといえば、思い出す人も多いことと思います。

 仮面ライダーオーズの乗るバイク・ライドベンダーと並走する吉宗の乗った白馬。劇場予告編でも使われていた「成敗!」の決め台詞。戦闘シーンではおなじみのBGMまで流れ、エンディングはヒット曲「マツケンサンバ」のオーズバージョンともいうべき「手をつなごう~マツケン×仮面ライダーサンバ~」という、話題に事欠かない作品でした。

 この「夢の共演」についてだけでも語ることが多いのですが、ストーリーを深読みすると、当時の日本が置かれた状況と重なるのでは? と思わせる部分がいくつかあります。筆者がもっともそう思った部分が以下でした。

 敵の手により、オーズに変身する映司とともに、大勢の人びとが江戸時代へタイムスリップしてしまいます。そして敵は映司に「自分だけ元の世界に戻れると引き換えに、他の人間は全て消滅する」という選択を迫りました。「せめて家族だけでも」と懇願する映司の願いを聞いて、元の世界へ戻す敵。しかし、すべての人が元の世界に帰ってきます。

「すべての人間は映司の“家族”」それが全員を救った理由でした。

 ここが本作品の肝だったと筆者は思っています。突然、見知らぬ世界で生活を送ることで不安だったところに、なくしたはずの日常が戻ってくる。劇場で見たとき、グッと心に響いたことを今でも覚えています。

 迫りくる困難を乗り越えるべく、みんなが手をつなぐ。TVで何度も映司が言っていた「手の届く範囲だけでも救いたい」という、『仮面ライダーオーズ』のテーマが結実した劇場版でした。キャッチコピーのひとつ「ヒーローが日本を元気にする!」からも、その気概が感じられます。

■絶対にあきらめないことを訴え続けた、ウルトラマン

『ウルトラマンサーガ』Blu-ray(バンダイビジュアル)

 震災後の日本を元気づけるために立ち上がったもうひとつの作品が、2012年3月に上映された『ウルトラマンサーガ』です。DAIGOさんがウルトラマンゼロに変身するタイガ・ノゾム役で主演、AKB48の中の7人がウルトラシリーズ初の女性だけの防衛チームの隊員役を演じることで注目を集めた作品でした。

 バット星人はウルトラマンが存在しない世界の地球を侵略し、ほとんどの人間と生命体を消失させる。残された7人の女性は防衛チームとして9人の子供たちを守っていた。そこへ別々の世界から3人のウルトラマンがやって来る……というのが序盤の展開です。

 実は、本作は震災の影響を考えて中止を検討されていました。しかし復興に向き合うため、製作することが決定したという経緯があります。そのため、最初は破壊されて荒廃した世界を舞台にするところを、人が消えてしまった無人の街に変更されました。

 本作での絶望的な状況は、まさしく震災直後を思い出させるに十分な演出です。そこからの逆転劇が本作の見どころ。この物語で元気を出してもらいたいという製作者側の意図でしょう。そんな気持ちが感じ取れました。

 何度も危機的な状況が襲ってきますが、そのたびエールのように劇中の誰かが暖かい言葉で励ましてくれます。それは作中の人物だけでなく、見ている人たちに贈られている。そう感じる強いものでした。

「あきらめなければまだ終わりではない」この物語にはそんなテーマが秘められていました。

 そして、最後にはいなくなった人たちが無事に帰ってきて、子供たちとの再会を果たします。人によって意見はさまざまだと思いますが、ご都合主義と言われてもハッピーエンドに優る大団円はない。そう思わせるこの展開がヒーローものの良さだと筆者は思います。

 そして、最後の最後に地球を去っていくゼロが振り返った時にクローズアップされた光景こそが、この作品が誰に向けて作られていたのかわかるシーンでした。まだ見たことのない人のために、ここだけは伏せておきます。

 本作のキャッチコピーのひとつは「僕らにはまだ、輝く希望がある!!」ですが、その言葉通り、「あきらめないこと」こそが、追い詰められた状況を打破する力になるのでしょう。

 震災後の絶望的な状況に対するアンサーとして生まれたふたつの映画。子供向けだと言われても、この映画で当時、心を救われた人がいたことは確かだと思います。

(加々美利治)

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