大人も楽しめる“美しすぎるアニメ”4選 映像美が感情を何倍にも揺さぶる

■まるで映画！ 感情が乏しい美少女の心の機微を感動的に描いた話題作、バトルシーンに目を奪われる

『鬼滅の刃』など、最近ヒットしている“現代アニメ”といえば、風景から人物の表情など細かい点まで、映像のクォリティが非常に高く、まさに“芸術”の域に達していると言っても過言ではありません。映像の美しさはアニメの要であり、最大の魅力なのです。

　この記事では、毎話映画を1本見たような満足感や感動を得られる……大人も楽しめる“美しすぎるアニメ”を４つ選んでご紹介します。

●『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

　大人でも“涙腺崩壊”する話題のアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。数々のヒット作を世に出してきた“京アニ”の愛称で知られる京都アニメーション制作で、目に映る全てが美しい作品です。

　そんな同作は、大戦が終結したばかりのとある港町が舞台。軍人として戦場で活躍した美少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデンが物語の主人公です。孤児で言葉も知らなかったヴァイオレットは幼い頃から戦場に身を置いていたため感情の起伏が乏しいのですが、戦争で生き別れた大切な人で上官・ギルベルト少佐を思い続ける、心の機微を美しく描いた物語です。

　最期にギルベルトから言われた「愛してる」の意味を知るべく“ドール”と呼ばれる手紙の代筆の仕事をする日々が描かれています。

　現実世界なのではないかと思うほどに、美しい情景描写が人気の同作ですが、筆者がその映像美のとりこになったのが“神回”のひとつとして人気の第7話。ヴァイオレットが、舞台作家のオスカーが手がける戯曲の代筆をするエピソードです。

　物語序盤、彼の住む湖畔の家はどんよりと薄暗く、愛する一人娘・オリビアを亡くしたばかりのオスカーの心の内を表しているように思えます。戯曲の代筆をするためヴァイオレットと共に暮らしているうち、心を開き、前を向いて生きていく決心をするオスカー。

　すると終盤、ヴァイオレットが湖を跳躍するシーンでは、アニメとは思えないほど美しい湖畔や、空の美しさが際立つ構成となっており、その映像からオスカーの心が次第に晴れていく心情を感じました。映像美がさらに感動を増幅させた注目のエピソードです。

●『呪術廻戦』

TVアニメ『呪術廻戦』Blu-ray／DVD Vol.3（東宝） (C)芥見下々／集英社・呪術廻戦製作委員会

　話題のアニメ『呪術廻戦（じゅじゅつかいせん）』。現在、第2クールが放送中で、タイトル通り“呪い”をテーマにしたバトルシーンや、個性豊かで多彩なキャラクターが人気を得ている人気作品です。

　なかでも人気を誇るキャラクターが“最強”とも呼び声高い“五条先生”こと五条悟（ごじょう・さとる）。「無下限呪術」という術式の使い手で、負ける姿が全く想像できません。そんな五条先生が大活躍するアニメ第7話、特級呪霊・漏瑚（じょうご）とのバトルシーンが、まるで劇場版かのように映像のクォリティが高く、ファンを沸かせました。

　五条先生、漏瑚ともに呪術戦の頂点「領域展開」を駆使して戦うのですが、とにかくド迫力で圧巻。特に五条先生が披露した、宇宙のような空間を展開する必殺技「無量空処」や、五条先生の瞳の美しさに、目を奪われた方は多いのではないでしょうか。

■風景の描写が神秘的で美しすぎる作品や、“美”を競う競技がテーマの映像美作品

●『ユーリ!!! on ICE』

アニメ『ユーリ!!! on ICE』キービジュアル　(C)はせつ町民会／ユーリ!!! on ICE 製作委員会

　フィギュアスケートがテーマの人気アニメ『ユーリ!!! on ICE』。日本の崖っぷちスケーター勝生勇利（かつき・ゆうり）と、同作の「もう１人のユーリ」ことロシアの下克上スケーター、ユーリ・プリセツキーらの戦いを描いた作品です。

　テクニックはあるものの、メンタルがすこぶる弱い特別強化選手の主人公・勇利が引退を考えていたところ、勇利のスケーティングを見たグランプリファイナル５連覇の絶対王者、ヴィクトル・ニキフォロフが目の前に現れ「今日から俺はお前のコーチになる」と申し出るところから物語は始まります。
　
“美”を競うフィギュアスケートが題材ということもあり、こだわりの映像美に見惚れてしまうシーンが多々あります。特に勇利らスケーターが氷上で華麗に舞う姿は、まるで実写のようにリアルに美しく表現されています。また、音楽にもこだわりが感じられ、視覚と聴覚どちらも満足させてくれる作品です。

●『蟲師』

『蟲師』続章 三 Blu-ray (C)漆原友紀/講談社・アニプレックス

　基本的に１話完結の作品で、忙しい大人たちにもオススメのアニメ『蟲師（むしし）』。動物でも植物でもない生命の原生体“蟲”を、妖しくも美しく描いており、次はどんな“蟲”が出てくるのかと夢中になってしまう作品です。

　2005年にアニメ放送された当初より、その映像美や映像表現が注目を集め、第5回東京国際アニメアワードのテレビアニメ部門優秀作品賞を獲得するなど高い評価を得ていました。

　蟲の研究者“蟲師”であるギンコが同作の主人公。蟲を招く体質のため、同じ場所に長い期間留まっていられず放浪の旅をしています。その行く先々で蟲を調査、探索。蟲にまつわる現象や病を解決してはヒトを助けていく物語です。また、ギンコと蟲の関係の謎もまた、見所のひとつ。

　物語の舞台となる山林地帯の自然が美しく、神秘的かつ幻想的に描かれている“蟲”に釘付けになってしまう映像は綺麗のひと言。みなさんもご覧になってみてはいかがでしょうか。

＊　＊　＊

　以上、“美しすぎるアニメ”を４作品ご紹介しましたが、映像美に酔いしれてしまう作品はまだまだ存在します。みなさんは、どんな作品に目を奪われましたか？

（中島憲太郎）