元30代男たちが転生して奮闘、アニメ『転スラ』と『無職転生』がますます見逃せない…？

■挫折と後悔、怒り、決意…一気に成長する主人公の姿に注目！

　異世界転生のストーリーとして人気の高い『転生したらスライムだった件』『無職転生 ～異世界行ったら本気だす～』とは、いずれも30代男性だった主人公が、剣と魔法の異世界へ生まれ変わる物語です。かたやスライムで、かたや人間の赤ちゃん。まったく違う人生（スライム生？）を歩むこととなったふたりの物語は、ここから大きな展開を迎えます。

●一気にインフレ、そして魔王への道を歩む『転生したらスライムだった件』

　現実から異世界に、スライムとして生まれ落ちたリムル。生まれた過程で強大な魔力と特殊能力を得た彼（生前が男性だったので、こう呼ぶこととしましょう）は、人間以外の多種多様な種族を従えつつ、彼らの主として魔物の街・テンペストを作り上げます。

　最初はごくわずかなゴブリンのみが生活していた村が、さまざまな国の交易の中心地へ。街が大きくなるなかで、リムルは近隣諸国の有力者や、この地で絶大な力を持つ魔王と仲良くなります。その途中、自分とは違い強制的にこの世界へ転移させられ、命の危険にさらされた子どもたちを助けていきます。

　しかし、順風満帆に見えたリムルやテンペストを、西方聖教会とファルムス王国が強襲。彼らが誇る最強戦力・ヒナタに足止めを食らったリムルが街へ戻ると、そこには大切な仲間たちの無惨な姿がありました。

　自分の甘さを悔い、罪悪感に蝕まれるリムル。しかし、彼が膨大な人の命を糧に「魔王」へと覚醒すれば、命を落とした仲間たちを蘇らせることができると知ります。一縷の望みのなかで始まるのは、数万の敵軍の「虐殺」。

　2期分という長い助走を経て、ついにはじまる「リムル無双」。ここからリムルは、魔王として世界に覇を唱えることができるほどの能力を、どんどん手に入れていきます。異常なインフレ率で進化するリムルと仲間たちの成長は、王道バトルマンガを彷彿とさせます。

●大いなる挫折と苦難を進む『無職転生』

『無職転生 ～異世界行ったら本気だす～』キービジュアル　(C) 理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

　34歳、無職。両親が亡くなり家を追い出されたひとりの男性は、トラックにひかれかけた高校生を助けようとして命を落とします。決して理想どおりではなかった人生を終えた彼は、ルーデウス・グレイラットという新たな人生を歩むこととなります。

　当時の記憶を持って生まれ変わった彼は、「この人生こそまじめに生きる！」と固く決意。両親に愛されながら、魔法で非凡な才能を見せはじめます。愛すべき師匠のもとで力を磨き、ちょっとした家庭崩壊の危機も乗り越え、淡い初恋も経験します。そして彼は、とある理由でグレイラット家の令嬢でじゃじゃ馬娘・エリスの家庭教師として働くことに。

　波乱万丈な瞬間もあるものの、ルーデウスは比較的幸せに、平和に生きてきました。しかし、彼は魔力の暴走に巻き込まれ、エリスとともに魔族が住まう土地・魔大陸に飛ばされてしまいます。故郷から遠く離れた過酷な土地に、世間から恐れられる種族・スペルド族。

　他のファンタジー作品と比べてやや牧歌的でさえあった『無職転生』は、ここから一気に鬱々とした展開へ進みます。過酷な世界でルーデウスはさらに成長しますが、同時にこれまでとは種類の違う苦難を前に、多くの「挫折」も経験します。その過程で彼は、この世界の頂点とも呼べる存在と出会っていきます。

　両作品とも、「平和的な展開からの落差」という形で、一気に物語の毛色が変化しました。そこから紆余曲折を経験しつつ、元30代の男たちはたくましく、強くなっていくのです。『転スラ』は2021年3月30日（火）に第2期第1部最終話の放送を迎えますが、7月から第2部が放送予定。『無職転生』は、1クール目の放送がいったん終了していますが、2クール目の放送もすでにアナウンスされています。どちらの作品もアニメの展開はまだまだ続きます。ふたりの主人公の成長物語から目が離せません。

（サトートモロー）