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「初期ドラクエ作品」は、今から見れば不便だらけ…でも没入できる魅力があった

マグミクス / 2021年3月29日 11時50分

「初期ドラクエ作品」は、今から見れば不便だらけ…でも没入できる魅力があった

■不便だったのに、興奮して楽しめた初期『ドラクエ』

 1986年に誕生した「ドラゴンクエスト」シリーズは、最新作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(2017年発売。2019年に新要素を加えた『XI S』が発売)まで実に31年の長きにわたり、ゲームの面白さとあわせてゲームシステムも進化していきました。

 現在、当たり前にプレイしているゲームの仕様ですが、それと初期のドラクエ作品を比べると、信じられないくらいの不便を感じることでしょう。今回は、古き良き初期ドラクエ作品の不便さ、それを補ってあまりある面白さを振り返りたいと思います。

●“ふっかつのじゅもん”という試練

 現在のTVゲームでプレイを中断したいときはゲーム機内のメモリなどにデータをセーブ、再開したいときはロードする……といったお手軽な方法が主流です。セーブできる場所も、どこでもできるものや進行具合で勝手にオートセーブしてくれる機能がついているものもあります。これがゲームの常識……と思いきや、初期の『ドラゴンクエスト』や『ドラゴンクエストII』では、とても不便なものでした。

 ゲームを終了する際には、王様あるいは教会から「ふっかつのじゅもん」というパスワードを聞き、それをメモしておかなければなりませんでした。『I』は20文字、『II』は最大52文字の不規則な文字列で、ゲームを再開する際はもちろん1字も間違えず打ち込まなくてはなりません。

「ふっかつのじゅもん」にミスがあると、「じゅもんがちがいます」の無慈悲なメッセージとともに、前回の冒険で費やした時間が水の泡に。こうなると前々回の呪文からやり直しすほかなく、プレイヤーをたびたび絶望の底に叩き落としてきました。

 何が大変かというと、当時は携帯電話のカメラで画面を撮る……などという手段があるわけもなく、「ふっかつのじゅもん」は手書きでメモしていました。そのため、「め」と「ぬ」、「あ」と「お」などの書き損じが続出しました。

 しかし、「ふっかつのじゅもん」に込められた裏ワザはプレイヤーを楽しませてくれました。『I』では「ほりいゆうじ~」、『II』では「ゆうてい~」から始まる呪文を打ち込むと、最初から強い勇者でスタートできました。バッテリーバックアップ(セーブ)ができるようになったのは『ドラゴンクエストIII』からですが、カセット本体に「ぼうけんのしょ」として記録されるデータが失する悲劇もたびたび消起きています。

●空を自由に飛べなかった「ルーラ」

「ルーラ」といえば、これまで立ち寄ったことのある城や町などを指定し、少ない消費MPで瞬間移動できる便利な呪文です。しかし『I』で移動できるのはスタート地点のラダドーム城のみ、『II』では最後に復活の呪文を聞いた城や町のみで、行き先を選ぶことはできませんでした。消費MPも、『I』では8を消費。これはベホイミと並び、作中で最大消費の呪文になります。『II』でも6を消費するため、満身創痍でダンジョンを脱出したものの、ルーラを唱えられるMPがなく徒歩で帰還中、ザコ敵に倒されてしまうこともよくありました。

「ルーラ」で一度寄ったことのある町を選べるようになるのは『III』から、消費MPが1になるのは『ドラゴンクエストVI』からになります。

■サマルトリアの王子には荷が重かった「ザオリク」

『ドラゴンクエストIII』では、「ザオリク」の下位にあたる「ザオラル」も登場した。画像は『ドラゴンクエストIII』スマートフォン版(スクウェア・エニックス)

●かゆい所に手が届かない「ザオリク」

 蘇生呪文『ザオリク』は、戦闘で倒れた味方をすぐさま生き返らせ、しかもHPも完全回復(『Ⅸ』以降は回復量の仕様変更)してくれるという、冒険には欠かせない呪文です。

 しかし、この呪文が最初に登場した頃は、使い勝手の悪いものでした。『II』でサマルトリアの王子が覚える「ザオリク」は、一番使いたい戦闘中に唱えることができず、フィールド画面でしか使用できません。しかも復活直後のHPは1で、すぐさま回復させなければなりません。また、ザオリクを覚えるサマルトリアの王子自身が、戦闘で死んでしまうことが多く、ちと荷が重い感があります。

●「はなす」「しらべる」をいちいちコマンドで指示

 昨今のゲームでは、町のモブキャラに話しかけたり、宝箱を開けたり、鍵のかかった扉を開ける際、コントローラーのひとつのボタンで全てが片づいてしまいます。……当たり前すぎて何を書いているか分からないと思いますが、『I』はそれらをいちいちコマンドで指示する必要がありました。

 フィールド上でAボタンを押すと「コマンド」が表示され、「はなす」「しらべる」「とる」など8つの項目から行動を指示します。例えば、宝箱を発見して接触するだけでは開けることができません。箱に乗っかりコマンド「とる」を指示して初めて開けることができます。「はなす」の場合、さらにウインドウが開いて「きた」「ひがし」など方角が表示され、話しかける方向を入力しなければいけませんでした。

●情報量の少なさゆえの無理ゲー。それでものめり込んだ

 現在は攻略サイトやSNSなどを情報源にできるのが当たり前の時代。しかし『I』が発売された1986年頃は当然そんな便利なものはなく、もっぱら友達との情報交換か、「ファミ通」や「ファミマガ」などの雑誌で攻略情報を入手するしかありませんでした。しかも、ゲームクリアに必要な重要アイテムの入手法や行動など全てが雑誌に掲載されるわけではないので、ゲーム内で示されるヒントを取りこぼしたり、そもそもノーヒントだったりした場合、少年少女の頭脳で突破するのは困難でした。

 具体的な例を挙げると、『I』の「たいようのいし」のありか。「城にある」というヒントは出ていたと思いますが……あんなところ分かるか! 

『II』では、ドラクエ史上最凶ダンジョンと名高い「ロンダルキアの洞窟」と、その入口を出現させる“じゃしんのぞう”の使い方。この“じゃしんのぞう”は後にハーゴンの神殿でも使いますが、これも「発見するの無理だろ……」と、ため息がもれました。

 ただ、不便ななかで自分なりの創意工夫をするプレイヤーも現れます。『I』のラストダンジョンを、たいまつやレミーラを使わず、主人公が壁に当たる音だけを頼りに攻略する猛者もいました。

 不便の多かった初期のドラクエ作品ですが、それでも時間を忘れて熱中できる魅力にあふれていました。また、「ふっかつのじゅもん」はその後、おまけ要素として新作タイトルにも使われることがありました。ドラクエシリーズの“古き良き不便”は、大人になったプレイヤーたちの心をくすぐる、大事な思い出になっているのではないでしょうか。

(南城与右衛門)

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