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造形のプロに聞く、「ウルトラ怪獣名鑑」のすごさ。「単なるシーンの立体化ではない」

マグミクス / 2021年3月31日 16時10分

造形のプロに聞く、「ウルトラ怪獣名鑑」のすごさ。「単なるシーンの立体化ではない」

■塗り、造形、台座、テーマ…驚きのクオリティが200円で

 今から約20年前、食玩ブームのなかで革命的な商品が発売されました。その名も「ウルトラ怪獣名鑑」(バンダイ)。ミニジオラマ風の台座とウルトラ怪獣のフィギュアがセットになった、超ハイクオリティの“デスクトップジオラマ”です。

 本シリーズは2002年から2007年にかけて「ウルトラ怪獣名鑑ウルトラセブン編」「帰ってきたウルトラ怪獣名鑑」と、実に25タイトルも展開され、シリーズ累計1000万個を売り上げました。2019年には復刻版も登場し、今なお根強い人気を誇り、フィギュア界に革命を起こした食玩(お菓子のおまけオモチャ)として語り継がれています。

 一体、何がどう革命だったのでしょうか。その解説に入る前に、まずこの「ウルトラ怪獣名鑑」が発売された時に起こっていた“食玩ブーム”について簡単に振り返りましょう。

 2000年代初頭にかけて、日本は空前の食玩ブームにありました。火付け役となったのはチョコエッグに代表されるリアルな造形のフィギュアです。もちろん昭和時代から精巧な造りのフィギュアは一部の好事家から高い支持を集めていましたし、逆にグリコキャラメルに代表されるような「おまけ付きお菓子」も、子供たちにとっては定番でした。

 この両者の需要を同時に満たしたのが、食玩ブームに代表されるハイクオリティフィギュアであり、造形企画製作会社の海洋堂に大きな注目が集まったのも、まだ記憶に新しいかと思います。

 さて、こうした時代に産声をあげたのが「ウルトラ怪獣名鑑」でした。革命的だった点は、前述した「台座」の存在です。バンダイからは以前より「HGシリーズ」としてリアルなカプセルトイがリリースされていましたが、そこに岩場やビル群などのジオラマが付属するだけで、卓上が円谷作品の世界に様変わりしたのです。

 そして最大の革命はなんといっても、200円という値段設定です。これは小学生のお小遣いでも十分手が届く価格で、さほど特撮に関心が高くない層への訴求力も抜群でした。なお、冒頭で触れた復刻版はリアルな造形はそのままに価格は850円と4倍になっていますが、むしろクオリティを見れば妥当な値段に思えます。当時の200円という値段設定がいかに奇跡的だったのかがわかります。

■プロの造形師が「ウルトラ怪獣名鑑」で注目したのは…

『ウルトラQ』に登場したコイン怪獣カネゴン。「ウルトラ怪獣名鑑 - 希望の轍編 -」(バンダイ)より

 ここまで一般消費者目線から「ウルトラ怪獣名鑑」の衝撃を概説してきましたが、造形のプロから見て「ウルトラ怪獣名鑑」はどのように映ったのでしょうか。

「まず、塗りがすごい。200円の値段設定で実現できる色数ではないです。それにクリアパーツの使い方も絶妙。炎などのエフェクトだけではなくジオラマの建物にも用いることで、臨場感がぐっと増しているように思えます」

 そう語ってくれたのは、ソフビ原型や怪獣の着ぐるみの製作を担当している“怪獣作家”の男性。さらに続けて、「ウルトラ怪獣名鑑」が持つ特別な魅力についても語ってくれました。

「名鑑は劇中のワンシーンを切り取り立体化したわけでなく、あくまでもウルトラ怪獣(星人)が映えるよう再構築してデザインされている。そこが何よりも魅力です」

 確かに改めて眺めてみると、必ずしも劇中のシーンの「再現」ではないことがわかります。造形担当者のあふれんばかりの怪獣愛があってこその「立体映え」が実現したといえるでしょう。

 現在もこの「ウルトラ怪獣名鑑」シリーズは人気が高く、ネットでは高値で取引されているケースも見られます。だからこそ、100円玉2枚でプロをも唸るジオラマが買えたあの数年間を、記憶の名鑑として留めておきたいのです。

(片野)

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