豪華声優で期待集めた『天空戦記シュラト』、物語後半を「前半のクオリティ」で見たかった
マグミクス / 2021年4月6日 11時50分
■豪華極まりない声優陣
1980年代半ばから後半にかけて、「甲冑をまとった少年たちのバトル作品」人気が極めて高い時期がありました。『聖闘士星矢』が生みだしたこのジャンルでは、1988年に『鎧伝サムライトルーパー』が放送されて女性からの爆発的な支持を受け、声優陣がユニット「NG5」を組んでライブを行ったところ、会場に詰め掛けたファンが失神するという出来事までありました。あの忌まわしい「宮崎事件」報道によって受けたダメージから、アニメはようやく復活しつつあったのです。
そのような状況下で1989年にスタートしたのが『天空戦記シュラト』でした。やはり同時期に『孔雀王』がもたらした密教ブームを取り入れた本作は、主要キャラクターが神甲冑(シャクティ)と呼ばれる甲冑を身にまとっており、密教とインド神話を融合させた世界観を持つバトルアクション作品として、アニメファンからは大きな期待を寄せられていました。
主人公のシュラトの声を担当したのは、関俊彦氏。1987年放送の『赤い光弾ジリオン』で高い評価を受けての起用となりました。『ジリオン』で共演した井上和彦氏は迦楼羅王レイガ、故・水谷優子氏はヒロインのラクシュと、それぞれ重要な役柄を担っており、当時のアニメファンを歓喜させています。関氏の叫ぶ「修羅魔破拳(しゅらまっはけん)!」が今でも耳に刻まれているという方も多いのではないでしょうか。
また、他にも堀内賢雄氏、山寺宏一氏、林原めぐみ氏、飛田展男氏、島本須美氏、故・鈴置洋孝氏など、主役級を務める声優陣が顔を揃えていたことも本作の大きな特徴でしょう。今であればひとりが参加するだけでアフレコの場がピリッと引き締まるクラスの方々がスタジオを埋め尽くしていた光景は、さぞかし壮観だったと思えます。
そして忘れてはならないのが、本作は子安武人氏のレギュラー作品デビュー作だということです。シュラトのライバル、夜叉王ガイとして「シュラト……殺す!」と叫ぶシーンが印象的な役柄でしたが、子安氏自身は本格的な声優仕事が初めてだったこともあり、色々と苦労されたそうです。
■前半のクオリティで見たかった、後半の物語
「天空戦記シュラト 転生眩奏 オリジナルサウンドトラック」(キングレコード)
基本設定を担当したのは、その後数多くのヒット作品を手掛けることになる脚本家のあかほりさとる氏。キャラクターデザインはOVA版『銀河英雄伝説』も手掛けた奥田万つ里氏。監督もやはり『ジリオン』と同じ西久保瑞穂氏と、製作スタッフにも実力派が揃い踏みしていました。
本作の前半では、ディーヴァ神軍の雷帝インドラが反乱を起こして調和神ヴィシュヌを石に変え、人間界から天上界へ異世界転生してきたばかりのシュラトに罪を着せて、配下の八部衆に討伐させるという緊迫感あふれる展開が描かれます。特に作画とストーリーに関しては当時のアニメの水準としてはかなり高いレベルにあり、毎週の放送を楽しみにしていたことを思い出します。
戦いのなかで八部衆は完全に分裂し、シュラトのもとには天王ヒュウガ、龍王リョウマ、迦楼羅王レイガが集い、インドラの配下には那羅王レンゲ、比婆王ダン、闥婆王クウヤ、そしてガイが残り、死闘を繰り広げるのです。
特に、林原めぐみさん演じるレンゲは敵対陣営にありながらもメインキャラ級の扱いを受けていたように思えます。まだ戦う女性がメインに据えられるのは珍しかった時代でしたが、インドラが嘘をついていることに気付きながらも愛ゆえにシュラトたちとの戦いを受け入れる際の心の揺らぎなど、かなり多くのシーンが描かれていたのが印象的です。
しかしながら、前半部分が終わり、後半のアスラ神軍との戦いが始まると、様相は一変します。キャラクターが動かなくなり、色が黒っぽかったり、逆に白かったりとおかしな状況に陥ってしまったのです。当時はインターネットもなく、「作画崩壊」という言葉も知りません。次週こそは元に戻るかもしれないという淡い期待を持って見ていたものの、毎週裏切られていたことをよく覚えています。
それでも何とか最後まで見た記憶もあり、その後に発売されたOVAやカセットブック、ドラマCDなども一通り網羅しましたが、今でもやはり前半のクオリティで作られた後半を見たいという気持ちが残っています。不可能だとは思いますが、本当になんとかならないものかと切に願う次第です。
(ライター 早川清一朗)
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