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『ガンダムW』は女性に”キャラが“人気だったという誤解 男性も魅了した要素とは

マグミクス / 2021年4月7日 7時10分

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■印象的な名セリフと独特の演出が魅力的だった『ガンダムW』

 4月7日は1995年に『新機動戦記ガンダムW』(以下、W)が放送開始された日です。本作は女性人気が多いことでよく知られていますが、男性ファンがいないわけではありません。そこを誤解されている方も少なくないようで、本作を「女性向けガンダム」という認識で語られる人がいます。そこで、男性から見た『W』の魅力を紐解いてみましょう。

 前作『機動武闘伝Gガンダム』は、それまでの宇宙世紀と違う世界観、戦争ではない戦いを描くことで新たなファン層、特に小学生を中心にした男の子たちに人気を得ます。しかし、逆にそれまでの「ガンダム」ファンの一部が離れていったという危機感をスタッフに与えました。

 そこで次回作『W』では、再び宇宙戦争を舞台にするべく「A.C.(アフターコロニー)」という架空の時代を設定し、内容を宇宙世紀の歴史をなぞるという方向に定めます。

 ただし、まったく同じようになぞるのではなく、新しいエッセンスも加えました。それが前作から引き継いだ5機のガンダムを操縦する5人のメインキャラという部分です。この5人に関して、デザインや設定を製作側も相当意識していたと思われる点が、放送前に発表されたアニメ雑誌などの記事にも表れていました。各メインキャラに代表的なセリフがあったことです。

 そう、このセリフという部分が、『W』の魅力のひとつでした。

 例えば主人公ヒイロ・ユイと言えば、「お前を殺す」「任務了解」など、すぐに場面と共に名セリフが思い浮かびます。本編を見た方なら分かると思いますが、『W』は舞台劇を思わせる独特な作風が魅力のひとつでした。この舞台劇のような部分はセリフだけでなく、過剰とも思える演出の数々にも及んでいます。その結果、記憶に残るような魅力的なシーンをいくつも作り上げました。

 名セリフがいくつもあるというのは何も『W』だけでなく、他の「ガンダム」シリーズでもよくあります。思えば最初にヒットした『機動戦士ガンダム』も名セリフが散りばめられていました。そして、『機動戦士ガンダム』も女性ファンが多くいました。

「ガンプラ」という一大ヒット商品が男性向けという固定概念があるせいで気付きづらいですが、人気のあるガンダム作品というものは、女性ファンも同数くらい存在するからこそ成り立つもの。単純にファンが倍はいる計算になるわけです。

■高い人気を誇るMSとオープニング曲の数々

『TWO-MIX 25th Anniversary ALL TIME BEST』(キングレコード)

 ガンプラといえば、『W』に登場するMS(モビルスーツ)の人気もシリーズのなかで高い部類だと思います。ただ、メインであるガンダムなどに比べると、量産型MSは本編ではやられメカ的な扱いだったため、当時のラインナップに偏りが出たことは否めません。

 しかし、最近のガンプラでのラインナップを見ると、量産型MSにも力を入れていることがよく分かります。ガンダムに至ってはバリエーション機体のようにEW(エンドレスワルツ)版として、本来はOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)に登場していないガンダムも続々とラインナップしました。ある意味、宇宙世紀における「MSV」に近い広がりです。

 また、当時『W』のプラモが一定の人気だったことがわかるのは、ガンプラ主導で動いていた企画『新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT』があったことからも理解できるでしょう。

 そういえば、『W』がきっかけでガンプラに興味を持ちだした女性が増えたこともありました。当時、筆者も何人かの女性にガンプラの作り方の相談を受けたことがあります。このことはメーカーも気付いていたようで、後に女性向けだったのか『W』ではキャラクターフィギュア付きのガンプラが販売されたことがありました。初期のガンプラであった「このキットには〇○○はついていません」とは真逆ですね(笑)。

 このように『W』は女性向けでキャラだけ人気があったわけでなく、ドラマやメカにも高い人気があり、熱心なファンがいます。前述したOVAの『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』も、本作の人気の高さを証明する作品でした。なぜなら「ガンダム」シリーズ初めてのテレビシリーズ直接の続編だからです。当時としては異例のことでした。

 そして、特筆するべきジャンルがもうひとつ。それは音楽です。

 オープニングを担当したTWO-MIXは『W』の世界観とは切っても切れないほどの印象がありました。テレビ版だけでなくOVA、劇場版も楽曲を提供しています。『W』世界を構成する要素のひとつと言っても過言ではありません。

 BGMもドラマチックな世界観を思い起こす印象的なものが多く、報道番組などでよく使われている印象があります。

 以上の理由から『W』は男女問わず人気の高い作品だと思います。

 とはいえ、販売実績だけ比較すると女性向けの書籍が圧倒的に好調なセールスを記録していたから、男性ファンの陰が薄かったことは否めません。それでも、思い込みで作品を評価したくはないですね。

(加々美利治)

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