1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

斬新だった男女合体ヒーロー『ウルトラマンA』。女性隊員が退場した「第28話」の衝撃

マグミクス / 2021年4月10日 9時30分

写真

■子供たちも困惑、まさかの変身方法

 特撮ヒーローファンが、いま最も公開を待ち焦がれている映画といえば『シン・ウルトラマン』でしょう。あの『ウルトラマン』を現代に置き換えたリブート作品で、企画・脚本は『新世紀エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』で名高い庵野秀明氏とくれば、期待しない方が無理というもの。残念ながら2021年初夏の公開予定は延期と発表されましたが、じらされるほどに期待は高まり、これまでのウルトラシリーズにも再び注目が集まっています。

 1966年の『ウルトラマン』から続くウルトラシリーズは、長い歴史のなかで数々のヒーローを登場させてきましたが、その創生期でとりわけ異色な存在だったのが、1972年から放送された『ウルトラマンA(エース)』です。第二次怪獣ブームを巻き起こした『帰ってきたウルトラマン』の後継作ということで、必勝の使命を帯びたゆえの気負いでしょうか、とにかく設定が斬新なのです。

 まず第一に、敵が違います。それまでのウルトラシリーズでは怪獣や宇宙人を相手にしていたのですが、ウルトラマンAが戦うのは怪獣よりも強い(とされる)「超獣」です。「超獣」とは異次元人ヤプール(番組を通しての悪役というのもシリーズ初の試み)が、地球の生物と宇宙怪獣を合成・改造して創り出した生物兵器で、『仮面ライダー』でいうところのショッカーに生み出された怪人といった立ち位置です。

 そして『ウルトラマンA』でもっとも衝撃的なのは、その変身方法でした。なんと、“男女合体変身”。超獣攻撃隊TAC(タック)の隊員である北斗星司と南夕子が「ウルトラタッチ」のかけ声とともに互いの指にはめたウルトラリングを合わせ、ウルトラマンAに変身するのです。主題歌でも声高らかに「いまだ!変身! 北斗と南~♪」と歌われていました。

 この驚愕のアイディアは、究極の悪と戦うには性差を超えた完全な超人となる必要がある、との考えから生まれたのだそうですが、当時の親たちは、さぞ戸惑ったことでしょう。

 子供たちもまた、戸惑っていました。ヒーローごっこをする時に、究極に遊びづらかったのです。それまでのウルトラシリーズなら、かけ声ひとつ、アクションひとつで変身できたのに、ウルトラマンAになるには2人いなければならず、ましてや片方は女の子なのですから。男の子同士で合体をマネるにしても、どっちが「男の役」をとるかでもめがちでした。

■物語から突然消えた、南夕子隊員

DVD『ウルトラマンA VOL.1』(DIGITAL ULTRA PROJECT)

 男女合体という驚愕の変身方法を武器に始まった『ウルトラマンA』。エピソードは全52話放送されたのですが、実はダブル主演のひとりである南夕子隊員は、第28話を限りに突然物語から消えてしまいました。

「さようなら 夕子よ、月の妹よ」と題された第28話は、ルナチクスというウサギモチーフの超獣との戦いでしたが、番組の終盤で突然、南夕子隊員が自分は月星人だと言い出すのです。そして宿敵ルナチクスを倒したので月に帰るのだと。……えっ!?

 そもそも南夕子隊員はTACに入る前には看護士をしており、超獣に襲われて、北斗星司とともにウルトラマンAの命と力を与えられた、というところから話が始まっていたのです。27話までは月の「つ」の字も出てこなかったのに、いきなり月へ帰ると言われても……。そしてなぜか白いひらひらのドレスで丘を駆け下り、海水に浸かりながらTAC隊員それぞれに別れを告げ、「私は月でがんばります」と言い残して宇宙へと飛び立っていきました。

 この怒濤の展開に子供たちは大混乱。なかには、当時絶対に見たはずなのに「この回のことだけ覚えていない」と、記憶から消し去った人もいるほどです。この突然の降板劇、実は南隊員役の星光子さんも台本を手に取るまで知らされず、理由は今に至るまで説明されていないようですが、星さんは、視聴率という大人の事情も感じていたそうです。

 その後ウルトラマンAは、北斗が両手にはめたウルトラリングを合わせることで、ひとりで変身するようになりました。けれど「いまだ!変身! 北斗と南~♪」の主題歌は番組が終わるまで変わることなく使われ続けます。大人になって知ると、少し切ないヒーロー物語でした。

(古屋啓子)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください