もはや「芸術」…絵がうますぎるマンガ5選。ページをめくるのがもったいない?
マグミクス / 2021年4月11日 17時10分
■描きこみが緻密すぎて「絶句」…?
「マンガの神様」手塚治虫氏はかつて、自身の絵のことを「記号」だと評していました。それからマンガの形態も変化し、緻密な描き込みや美しい造形など、「絵の上手さ」も重要な要素と考えられるようになっています。ストーリーももちろん重要ですが、それを引き立てるための画力もまた、作品の魅力を高めているといえるでしょう。
本来は数秒でパラパラとページをめくっていくはずのマンガですが、なかには絵がうますぎて“芸術”の域に達している作品も。原画展や展覧会にファンが押し寄せるなど、マンガならではの「絵」の魅力はとどまることを知りません。今回は、数あるマンガ作品の中でも、屈指の画力を誇る5作品を紹介します。
●井上雄彦『バガボンド』
井上雄彦先生が大ヒット作品『SLAM DUNK』の次の長期連載としてスタートした作品が『バガボンド』です。剣豪・宮本武蔵が天下無双を目指す旅を描いた物語です。
本作は連載の途中から、ほかのマンガではあまり例を見ない、“筆”による作画が行われています。『SLAM DUNK』は時にポップな作画でしたが、『バガボンド』は1コマ1コマが絵画として成立するほどの重み。もはや芸術の域に達しているといえるでしょう。
『バガボンド』は、単に強い剣士たちが戦う話ではありません。人間の醜い部分、自我との対話など、精神の世界も細かく描いた作品です。それだけに、表情での語り、武蔵の禍々しい殺意の姿かたちなど、圧倒的な作画力があってこその『バガボンド』だと言えるでしょう。
●三浦健太郎『ベルセルク』
『ベルセルク』第7巻(白泉社)
続いては、日本を代表するダークファンタジー作品『ベルセルク』です。復讐の旅に出た主人公・ガッツが、トレードマークである巨大な剣を振り回し、「使徒」と呼ばれる怪物と戦っていく物語です。
『ベルセルク』の作画で最大の特徴は、圧倒的な描き込みです。特に見開きのページは、もはや絶句、あるいはそれを通り越して笑ってしまうほどの描き込み量となっています。
三浦先生は、かつてのインタビューで「描き込みはねえ、もう病気です。病気としか言いようがない」と語っており、作者本人でさえ制御不能で描き込み続けてしまうようです。とはいえ、この描き込みこそが物語の重厚感を支えていることは間違いありません。
■絵の上手さで「革命」を起こしたマンガとは?
●桂正和『ZETMAN』
『ZETMAN』は、『電影少女』、『I”s』などで知られる桂正和先生が描いたSFマンガ作品。研究によって生み出された人造生物「プレイヤー」と、それを滅ぼすために生み出されたヒーローの戦いを描いた作品です。
この作品は、戦闘描写や風景ももちろん魅力的なのですが、特にキャラクターの魅力が尋常ではありません。メカっぽさのあるヒーロー「アルファス」も登場すれば、対称的に生物っぽさのある敵キャラクターも登場しますが、どのキャラも質感がリアルで、デザインも非常にカッコいいのです。
そして『I”s』などを手掛けた桂先生ですから、もちろん女性キャラの可愛さが天下一品。二次元ならではの良さとリアルさ、両方を兼ね備えているからこそ、魅力的なキャラクターといえるでしょう。
●ONE、村田雄介『ワンパンマン』
あらゆる敵をワンパンで倒してしまうヒーロー・サイタマが主人公の大人気バトルマンガ『ワンパンマン』。原作はONE先生が担当しており、作画は『アイシールド21』でも知られる村田雄介先生が担当しています。
作画に専念している漫画家には、もちろん絵がうまい方が多いのですが、なかでも村田先生は異次元の画力を誇ります。手掛けたジャンプオールスターズのイラストは、他作品のキャラでさえ完璧に特徴をとらえていました。
その画力は『ワンパンマン』でも遺憾なく発揮されています。クセがなく誰が見ても上手いと感じる絵、誰が見ても好きになるキャラクターたち。この作品で重要なバトルシーンの迫力、スケール感も圧倒的です。
●大友克洋『AKIRA』
『AKIRA』第1巻(講談社)
最後は、大友克洋先生の代表作『AKIRA』です。反政府組織、超能力者による争いを描いたサイバーパンク作品の金字塔。1988年の劇場アニメとともに世界的に評価されています。
マンガといえばデフォルメされた絵が主流だった時代に、大友先生は『ショート・ピース』『童夢』によって「徹底したリアリズム」を提示。高い評価を受け、さらにリアルさ、演出に磨きがかかった『AKIRA』を発表しました。
読んだことがない人でも、ビル群の崩壊を描いたコマを見たことがあるという人は多いのではないでしょうか? 写実的で緻密な作画によって表現された、息をのむ緊張感。同作には数えきれないほどの漫画家が影響を受け、業界全体の流れが大きく変わりました。まさに「革命」と言える作品だったのです。
(古永家啓輔)
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