【声優・本多真梨子のマンガ愛】もし学生時代に「妄想」した世界に放り込まれたら…？

■学生時代、自分の妄想マンガとか、描いたことありませんか？

　皆さんの人生で「黒歴史」はありますか？

　昔友達に話した妄想や、描いたマンガ……世の中のヲタクには、人それぞれレベルの違う黒歴史が存在すると思います。このマンガは、その黒歴史が全力でお仕事をする作品です。そう……若い頃描いたあの妄想たちが、転生した自分を全力で殺しにかかってくる……そんなお話です。

　それでは、今回ご紹介する作品のタイトルを発表します。ダラララララララララララララ……ダン！

『転生悪女の黒歴史』（冬夏アキハル著）。

　佐藤コノハは中学時代、自分の全てをかけて描いていたマンガがあった。「自分の名前を付けた可憐な主人公が活躍する、恋と魔法の冒険ファンタジー」。いつか自分は異世界に召喚されるのだと、信じて疑わなかった。そんな「黒歴史」を持つ佐藤コノハが、ある日トラックに跳ねられ事故死してしまう。

　目が覚めると、そこは自分が中学時代に描いたマンガの世界。そのなかでコノハは、可憐な主人公のコノハではなく、コノハの妹で物語の最強悪女、イアナに転生していた！　イアナは物語の序盤で殺される悪女。このままでは自分の描いた『黒歴史』に自分が殺されてしまう！！　黒歴史の魔の手から、死亡フラグを回避できるのか？……そんなお話になっております。

『転生悪女の黒歴史』　(C)冬夏アキハル／白泉社

　いやーーーほんと！この主人公の過去が、ものすごく恥ずかしいんですよ！！（笑）
　これぞ黒歴史！　という、トップオブ黒歴史なんです。

　本多は特に、このたまーに出てくる黒歴史イラストのクオリティに感動しました！！　絵の描き方、セリフや文字の書き方、設定や話、全てが、学生時代に描いたであろうマンガ感。

　特に2巻の某アニ◯イトさんの特典で、イアナのキャラ設定があるんですが、中のイラストの黒歴史感、「リアルな学生時代の下手イラスト」感にめちゃめちゃ感動しました！

　本多自身も昔マンガやイラストを描いていた時代があるので、この横顔ののっぺりさ、手足のバランスの悪さ、めんどくさい部分は誤魔化して描くところなど……すごく、心が痛いほどに、共感させられます！(笑)

　主人公の過去の言動など、黒歴史が逐一マンガに登場するのがこの作品の魅力ですね。冬夏先生は、世の中の黒歴史を持つヲタクたちの心を分かってらっしゃる！！！

　そして、物語は「黒歴史から死亡フラグ回避」をテーマに、転生したイアナが悪戦苦闘します。そこで一番の危険人物…物語の中でイアナを殺す男とされている、執事の「ソル」。このソルとイアナの関係性が少しずつ変わっていくんですよ～！　そこがまた少女漫画的醍醐味ですね！！

　殺そうとする男と、殺されないようにする女の……物語が始まる…！

　連載の最新話近くでは、今まではギャグだった黒歴史回想が、とてもシリアスで切なくなるシーンもあり、イアナに感情移入して泣きそうになります。この回を読んで、

「女の子は、みんな守ってもらいたいんじゃい！！！！」と、私は虚空に向かって叫びました(笑)

　白泉社「月刊LaLa」で連載中、冬夏アキハル先生の『転生悪女の黒歴史』。黒歴史を持つヲタクたちにおすすめしたい作品です。

　思い出せ…あの頃を……！

（本多真梨子）