ガンダム史上屈指の、「イライラさせる」キャラ3選。なぜだか記憶に残る…?
マグミクス / 2021年4月13日 11時10分
■イライラするのに目が離せない
ガンダムシリーズにおける嫌われキャラといえば、バスク・オムやカテジナ・ルースなどが思い浮かびますが、彼らは“悪人”ではあるけれど、狂人のような魅力も感じさせます。しかし、なかには自分の感情で周囲はおろか戦場も引っかき回し、多くの視聴者をイライラさせたキャラも存在します。今回は、宇宙世紀のガンダム作品を中心に、なぜだか目が離せないイライラキャラを紹介します。
●ニナ・パープルトン/『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』
新型ガンダムのシステムエンジニアとして連邦軍のアルビオンに乗り込んだアナハイム社のニナ・パープルトン(21)は、自分が開発に携わったこともあり、ガンダムに対して異常な愛情を見せます。ガンダムが損傷しようものなら「私のガンダムが!」と泣き叫んだり、パイロットのコウ・ウラキ(19)らに恫喝したりと、ヒステリックな側面を見せます。
コウの頑張りでガンダムの操縦練度が高くなると、ニナとの関係も良好となり恋仲になるのですが、艦内でイチャイチャしだす非常識っぷり。搭乗員の恋模様では、キースとモーラが奥ゆかしく親密になっていった点を考えると、主力機ガンダムのパイロット・コウと良い仲になった自分を周囲に見せつけるマウンティング女子ともとられかねない行動でした。
そんなニナには秘密があり、連邦に敵対するデラーズ・フリートのエースパイロットで、作中でコウと何度も戦うことになるアナベル・ガトーと交際していた過去がありました。このガトーというのが「ソロモンの悪夢」という異名を持ち、1年戦争で大活躍したパイロットです。
そんな「今カレvs.元カレ」の最終決戦で、デラーズ・フリートは地球へのコロニー落としを画策。ガトーは生身でコロニー内部に潜入し手動で落下位置を調整。そこに後を追ってきたコウが現れガトーに銃口を向けます。この緊迫した場面に首を突っ込んできたのがニナ。こともあろうに、今カレのコウに銃を向けて、元カレ・ガトーを守るという謎行動。コウは絶望したことでしょう。
最終決戦で生き残り、北米オークリー基地に赴任することになったコウですが、そこで出迎えたのはなんとニナ。コウを見つけるやニコっと微笑みストーリーエンド。視聴者からしたら、「なにわろとんねん」とイライラするシーンでした。
●ハサウェイ・ノア/『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
連邦軍のブライト・ノアの子ハサウェイ・ノア。『逆襲のシャア』では戦艦ラー・カイラムに乗艦することになるのですが、その過程で出会ったのが、少女クェス・パラヤ。ハサウェイは彼女に好意を抱きますが、後にシャアの感性や思想に同調したクェスはネオ・ジオンの下へ行きパイロットとして訓練を受けることに。
ハサウェイは傍からいなくなったクェスに対し、いつまでも未練を引きずりっぱなし……。このあたりまではまだ子供の恋と笑って許せそうですが、ここからがガンダム史に残る理不尽な行動の始まりでした。
■きっかけは自分なのに、怒りを爆発…!
小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(KADOKAWA)
ハサウェイはクェスを取り戻したいという思いから、無許可でMSに乗り込み出撃します。戦場でクェスが乗り込むαアジールと出会ったハサウェイは、超接近して説得。そこに連邦軍のリ・ガズィが到着。危険を感じたリ・ガズィはハサウェイを守るためグレネードを発射。これがαアジールに直撃し、クェスは死亡しました。
これに発狂したハサウェイはビームライフルを乱射し味方機であるリ・ガズィを撃墜してしまいました。彼の理不尽な行動が招いた悲劇は『逆襲のシャア』のクライマックスへとつながっていくのですが、この一連の出来事は、小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』では、内容が異なります。
●セシリー・フェアチャイルド/『機動戦士ガンダムF91』
『ガンダム』シリーズでも屈指の美貌をもつセシリーは、クロスボーン・バンガード(以後CV)という組織にさらわれてしまいますが、その理由は、CVを創設したロナ家の一族の娘であったため。ロナ家当主であり祖父の説得に悩みながらも応じ、CVに手を貸すことにしたセシリーですが、元々は庶民的なパン屋の娘だったにもかかわらず、貴族ロナ家の一員となり名をベラ・ロナと改めると、育ての親を罵ったり、言葉使いや態度がちょっと偉そうになったりします。
その後、パイロットとして専用機・ビギナ・ギナをあてがわれますが、戦闘の中で主人公のシーブックと出会うとあっさり投降。名前もセシリーに戻しました。「そもそもシーブックが死んだと思ったからCV側についた」と告白しますが、それにしても、モビルスーツごと一族を裏切る理由としては希薄な言い分です。意識が高い貴族を気取ったり、出戻ってシーブックに恋人面したりと、周囲を振り回すモテる女ぶりにイライラした観客も少なくなかったでしょう。
しかしながら、彼らが登場した『ガンダム0083』『逆襲のシャア』『F91』はいずれも、洗練されたメカ描写や、明確な目的をもった敵側のドラマなども魅力的で、高く評価されています。あたかもノイズを撒き散らすようなイライラキャラの存在ですが、彼ら・彼女らがストーリー上重要な役割を果たし、多くの観客の記憶に残っているのも事実です。
(南城与右衛門)
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