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4月15日はアニメ『らんま1/2』の放送開始日。いま振り返れば「完璧すぎる」声優陣

マグミクス / 2021年4月15日 11時50分

4月15日はアニメ『らんま1/2』の放送開始日。いま振り返れば「完璧すぎる」声優陣

■声優・山口勝平氏の初レギュラー作品

 32年前の1989年4月15日は、TVアニメ『らんま1/2』の放送が開始された日です。『らんま1/2』は、『うる星やつら』『犬夜叉』『めぞん一刻』などで知られる高橋留美子先生が1987年から1996年にかけて「週刊少年サンデー」で連載した大ヒットマンガです。国内では単行本5500万部を売り上げており、多くのヒット作を世に送り出した高橋先生にとっても最も売れた作品(2021年4月時点)となっています。

 物語は、中国での拳法修行中に訪れた「呪泉卿」で娘溺泉(ニャン・ニーチュアン)に落ち、水をかぶると女に、お湯をかぶると男に戻る呪いをかけられた主人公・早乙女乱馬と、居候先の天道家の三女・天道あかねが繰り広げるラブコメディです。周囲を取り巻く個性あふれたキャラクターの魅力も相まって、高い人気を誇りました。

 連載当時は、マンガやアニメ全般に対する社会の反応は今よりも良くない時代ではありましたが、『らんま1/2』は別格で、単行本をよく友だちと回し読みしていたことを思い出します。

『らんま』がTVアニメ化されると知ったのは、放送の数か月前です。雑誌「アニメディア」での特集記事でした。性別が瞬時に切り替わる乱馬の声優をどうするのかと記事を見てみたところ、女らんまは当時若手の実力派として大きな注目を集めていた林原めぐみ氏だったのでこれは納得しましたが、男乱馬は山口勝平氏という、筆者にとっては初めて目にする方が担当すると書かれていたのです。

 この山口勝平というのは誰だろう。本当に乱馬にふさわしい声優さんなのだろうか……放送開始まで、いったいどうなるのかと気をもんでいましたが、実際の放送を見て、そんなもやもやはあっさりと払われました。山口氏の演じる男乱馬は生き生きと躍動し、林原氏の女らんまにまったく引けをとらない実力の高さを証明して見せてくれたのです。

 高橋先生も山口氏の演技を大変気に入ったそうで、次作『犬夜叉』でも山口氏が主役の犬夜叉役を演じています。思えば、『うる星やつら』『めぞん一刻』と、続けざまに大ヒットを飛ばした高橋先生の新作です。若手といえど間違いのない実力者が演じるのは当たり前の話です。それだけ山口氏の才能が飛びぬけていたという事でしょう。

■今振り返れば「完璧な陣容」といえる声優陣

原作マンガ『らんま1/2』第1巻(小学館)

 また、山口氏と林原氏だけでなく、本作には多くの実力派声優が顔を揃えています。ヒロインの天道あかねは、『タッチ』で浅倉南を演じて国民的知名度を得ていた日髙のり子氏。天道家三姉妹の長女かすみは井上喜久子氏。井上氏もこの役で母性あふれるお姉さん役としてのポジションを確立し、その後の飛躍につなげています。

 次女のなびきは『名探偵コナン』の江戸川コナン役でお馴染みの高山みなみ氏。高山氏は1987年に放送された『ミスター味っ子』味吉陽一役で主役デビューを果たしていましたが、その後しばらく主役級からは遠ざかって『らんま』しかレギュラーがなかった時期があり、なびき役が心の支えになっていたことを後に語っています。

 乱馬のライバルである響良牙は山寺宏一氏、水を被ると猫になる中国娘、シャンプーは佐久間レイ氏、シャンプーの幼なじみのムースは関俊彦氏、乱馬のもう一人の許嫁でお好み焼きのウっちゃんこと久遠寺右京は故・鶴ひろみ氏。乱馬の父親、玄馬は緒方賢一氏。天道三姉妹の父親、早雲は大林隆之介氏(現:大林 隆介)。

 さらに乱馬、玄馬、早雲の師匠である八宝斎は故・永井一郎氏。シャンプーの祖母、コロンは故・麻生美代子氏と、『サザエさん』で磯野波平と舟の夫婦を演じていたおふたりが、本作でも共演しているのです。

 若手に主役周りを演じてもらい、重要なポジションは実力派と大ベテランで固めるという、完ぺきな陣容です。いま改めて見てみると、実に考え抜かれていることが分かります。このような現場で鍛えられた方々が、今も主役級として活躍しているのは不思議なことではないのでしょう。

 最終的に『らんま』のTVアニメは総集編まで含めれば、全161話が放送されています(18話以降は「熱闘編」に改題され1話から再カウント)。その他にもOVA、劇場版、CDドラマなども数多く発売されています。またキャラクターソングも非常に人気がありました。

 ただ、心残りは『らんま』の原作はアニメ終了後もかなり続いていたため、アニメ化されていないエピソードが多数存在している点です。もちろん、当時と今とでは表現規制の厳しさが違いますので、女らんまの表現など色々変更しなければいけない点はありますが、『犬夜叉』がオリジナル続編として展開されたように、『らんま1/2』も令和に復活してくれないだろうかと思っているかつてのファンは、かなり多い作品なのではないでしょうか。

(ライター 早川清一朗)

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