アニメ『極主夫道』の今千秋監督語る、「原作の雰囲気壊さずに」映像化できた背景とは

■「津田健次郎さんあっての『極主夫道』」

　2021年4月8日（木）から配信中のNetflixオリジナルアニメシリーズ『極主夫道』は、「不死身の龍」と呼ばれた元・最凶の極道が主夫の道に邁進（まいしん）する日常を描いたコメディ作品です。原作マンガの実写版PVで注目を集めた声優・津田健次郎さんが龍を演じるということで、ファンの大きな期待が集まっています。

　同作で監督をつとめるのは劇場版『美少女戦士セーラームーン Eternal』や『Back Street Girls -ゴクドルズ-』を手掛けた今千秋監督です。ファンに応えるために意識したことや、映像のなかで特に思い入れのあるエピソードなどについて語ってもらいました。

＊　＊　＊

ーー原作マンガ『極主夫道』はファンがとても多い作品ですが、アニメ化に際して、ファンの期待に応えるために意識したことはありますか。

今千秋監督（以下、今）　原作を大事にして、アニメとして表現する。それに尽きると思います。

ーー龍役に津田健次郎さんを起用することについては、最初から構想されていたのでしょうか。また、芝居についてはどのようなオーダーをされたのでしょうか？

今　キャスティングは「決め打ち」じゃないでしょうか。津田さんあっての『極主夫道』だと思います。芝居については、実写版PVの段階から演じられていたので、ご本人にお任せしていました。

ーー映像の演出で意識されたことはありますか。

今　原作をそのまま映像にするというのを意識して、全面的に「止まっているけど、止まってない」という印象になるよう表現しました。

お話を伺った、今千秋監督（撮影：堤博之）

ーー作られた映像のなかで、思い入れのあるエピソードはありますか？

今　美久のお父さんが出てくるエピソードが好きです。会話が全部すれ違っているところや、お父さんが龍とキャッチボールして、龍の全力が込もった剛球を受けるところが面白かったです。お父さんがコミュニケーションの練習をしているところをお母さんが見ているのも、シュールで好きですね。

ーー龍のような旦那さんが現実にいたとしたら……どう思われますでしょうか？

今　とてもいいと思います。私も美久タイプなので（笑）ちゃんとしてくれるんだろうな、と思います。

ーー「原作の雰囲気を壊さずにアニメを作る」というのを大切にされたとのことですが、アニメオリジナルの要素を入れたいと考えたこともあったのでしょうか？

今　『極主夫道』を30分で作るのであれば、何かしらエピソードを足さなければならないでしょう。今回はNetflix独占配信の作品ということで、尺を気にせずに作ることができました。尺を気にしなくてよいのであれば、オリジナル要素は基本的に入れなようにしようと考えていました。

ーーアニメを楽しみにしている方々に、ひとことメッセージをお願いします。

今　いろいろな意味で、すごく勇気の要る作品でした。『極主夫道』は普通のアニメではない形になっています。でも、楽しい作品に仕上がっていますし、配信で好きな時に、例えば心が癒やされたいお休み前の時間などに、アロマのような存在として見ていただければと思います。

※Netflixオリジナルアニメシリーズ『極主夫道』は、2021年4月8日（木）から、全世界独占配信中です。

(C)おおのこうすけ／新潮社

（マグミクス編集部）