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アニメ『タイガーマスク二世』放送40周年。衝撃的なメディアミックスの成功を振り返る

マグミクス / 2021年4月20日 8時10分

アニメ『タイガーマスク二世』放送40周年。衝撃的なメディアミックスの成功を振り返る

■2種類あった『タイガーマスク』の最終回

 本日4月20日は、1981年にアニメ『タイガーマスク二世』が放送開始した日。今年で40周年のメモリアルデーでもあります。本作はタイトルでわかる通り、人気作品だった『タイガーマスク』の続編です。しかし、前作のアニメとはつながっていません。それは『タイガーマスク』の最後が、TVアニメ版と原作マンガ版でまったく違うからです。

 この違いにより、当時も混乱する方がいました。アニメでは虎の穴の最後の刺客であるタイガー・ザ・グレートにマスクをはぎ取られ、伊達直人という正体を白日のもとにさらしたタイガーマスクがグレートを倒し、みんなのもとから去っていくという最終回を迎えます。

 一方のマンガ版では、見ず知らずの子供を助けるためトラックに跳ね飛ばされ、そのまま交通事故で伊達直人として死んでしまうという最終回でした。

 この違いはどうして起こったかというと、アニメが2年という期間で先に終了しなければならなかったからです。その約2か月後にマンガが連載を終了しました。その後、マンガの続編が1980年から始まります。本作のアニメはこのマンガと同じ設定でアニメ化されました。

 ふたつの最終回を並べるとわかりますが、伊達直人の生死という点で物語は大きく違います。そして続編である本作は伊達直人が死んだことでストーリーが動き出しました。

 当時、マンガもアニメも知っていた筆者は「マンガの続編」として本作を見ていましたが、一般的にはアニメの方が認知度も高く、混乱する人が少なくありません。なぜなら、それなりの頻度で『タイガーマスク』の再放送があったからです。

 現在ほど情報が簡単にわかってしまう時代でもなかったため、マンガやアニメに詳しい人でも誤解する人もいました。なかにはアニメの最終回の後、マンガのように死んだと理解する人もいたくらいです。

 しかし、名作『タイガーマスク』の続編ですから、マンガやアニメに詳しくない人も巻き込んで話題になっていました。『タイガーマスク』が大好きだった筆者も、続編である本作の放映を前に期待で胸を膨らませていたことをおぼえています。

 ちなみに、2016年に『タイガーマスクW』というアニメ作品も生まれています。こちらは本作とは逆にアニメの最終回からつながる続編となっていました。そのため、前作のアニメオリジナルキャラが何人か出ていて、オールドファンにも楽しめる作品となっています。

■メディアミックスとして異例の成功、実在の「タイガーマスク」

原作マンガ『タイガーマスク二世』第2巻(少年画報社)

 こうして、本作『タイガーマスク二世』の放送が開始されました。オープニング曲前に「力が正義ではない!正義が力だ!」というセリフから始まるのは、前作の「お前は虎だ!虎になるのだ!」のパターンを踏襲して、胸が熱くなる部分です。

 作品の大まかな流れは、日本プロレスを乗っ取ろうとする「宇宙プロレス連盟」とタイガーマスクの戦いでした。新しいタイガーマスクは、かつて伊達直人が支援していた孤児院の子供のひとりで、普段は亜久竜夫というさえない新聞記者という設定です。作品が変身ヒーローを意識していた部分もあり、普段乗っているスポーツカーの車体が裏返ってタイガーマスクの乗っている虎縞のスポーツカーへと変形するギミックがありました。

 必殺技は「タイガーフィニッシュ」と呼ばれる複数の技を使い、前作のような相手に敗れたら新しい技を生み出すという展開はありません。また、富士山麓にピラミッド型の秘密道場を持ち、鎧をつけた虎・アイアンガーと稽古をするという、当時のアニメ的な内容が随所に含まれていました。

 しかし一番驚いたのは、実際に「タイガーマスク」というレスラーがマットに上がったことです。アニメ作品のメディアミックスとしては初期にして異例でした。

 そのデビュー戦は、アニメ放送開始3日後の1981年4月23日。デビュー前の世間の評判は、人気優先の「張子の虎」という意見がほとんどで、筆者もバカにされたような気分だったことをおぼえています。

 ところが、この実在するタイガーマスクが予想以上のテクニックと強さを見せました。後にジュニアヘビー級のチャンピオンとなり、タイガーマスクとしての通算成績では一度もフォール負けがなかったほどです。

 筆者もアニメだけでなく、金曜夜のプロレス中継「ワールドプロレスリング」まで見るようになったほどで、未曽有のタイガーマスクブームとなり、これがさらにプロレスブームの引き金となりました。アニメでも番組後半で実写映像が入るようになり、タイガーマスクはマンガやアニメのヒーローから、現実にいるプロレスラーへと認識が変わっていきます。

 一方のアニメ本作は、裏番組が原作者と出版社が一緒の人気作『あしたのジョー2』という不遇さもあって視聴率が低迷し続け、実在するプロレスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャーやスタン・ハンセンなどを登場させました。ブッチャーは原作者が同じマンガ『プロレススーパースター列伝』から設定の一部を引用して、キャラを膨らませています。

 ところが、こういった試みがあまり数字には反映されず、3クールほどの全33話という短命で終了してしまいました。
 しかし、結果的にはメディアミックスという面で「タイガーマスク」は大成功を収めたわけです。

(加々美利治)

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