『スラムダンク』陵南・田岡茂一監督は理想の指導者? 作中の言動でわかる、優れた能力
マグミクス / 2021年4月20日 11時50分
■田岡茂一・41歳。桜木花道の才能を見抜く
湘北高校の安西監督や海南大付属高校の高頭監督など、『スラムダンク』には多くの監督が登場しますが、作中で最も監督らしい姿を見せていたのが、陵南高校の田岡茂一監督ではないでしょうか。
年齢は41歳。学生時代は「神奈川に田岡あり」と呼ばれるほどの選手で、「恐怖の新入生」と呼ばれた1年下の高頭監督とはライバル関係だったことが明かされています。監督となってからも顔を合わせればバチバチとやり合う関係は変わらず、本編のその後を描いた「あれから10日後 -」では、一緒に国体の代表チーム編成を考えながら、どちらが監督を務めるのか熱く議論をしています。きっと両者が表舞台から遠ざかるまで、ずっとこの関係は変わらないのでしょう。
そんな田岡監督の初登場は「#25 因縁の二人」になります。チームの実績としては圧倒的に陵南の方が上でありながら、練習試合にやってきた安西監督を出迎える際にぺこぺこと頭を下げているのが印象的なシーンです。間違いなく、「白髪鬼」と呼ばれていたころの安西監督のことをよく知っているのでしょう。
とはいえ、試合が始まってしまえばそんなことは関係なし。序盤、魚住と仙道の活躍でリードを奪うと「この試合30点差を付けて見ろ!」とチームを煽ります。その後は、素人だと思っていた桜木にカンチョーされるわ押しつぶされるわと、さんざんな目に遭った上、単に流川が嫌いでパスを小暮に集めていたことに気付かず、「ヤツは切れる!! 相当切れる!!」と勘違いさせられてしまいます。
しかし桜木の才能は認識しており、今は素人だが2~3年後は分からないとも考えています。県で有力なチームを率いる指揮官としての能力は、伊達ではないのです。
このときの練習試合では、湘北の猛追を受けながらかろうじて逆転勝利を収め、最後の別れ際、赤木に「あの10番(桜木)は鍛えればモノになる」と言いかけて止めています。バスケットの才能を愛するひとりの男と、勝利を目指す監督としてのせめぎ合いで、かろうじて後者が勝利したということでしょう。
■優れた人格、能力の持ち主
その後も事あるごとに登場する田岡監督ですが、練習に関しては極めて厳しく、海南大付属との試合前に練習量を思い出した選手たちが吐きそうになるほどでした。その反面、高頭監督との関係を語った際、「今でいえばオレが仙道」と自分を仙道になぞらえたときに、選手たちは一斉に「ウソだ!」と指さしています。
当時のスポーツ指導者として、選手たちがこういった態度を取れる雰囲気作りにも成功していることが、厳しい練習にも選手たちがついてくる、優れたチームマネジメント力を示しているのではないでしょうか。
もちろん、田岡監督も人間ですからミスはあります。福田のプライドの高さを理解できず、部活から追いやらなければいけなくなるといったミスもありましたが、その後きちんと復帰を認めていることからも、かなりの人格者であることが伺えます。
選手たちが気の抜けた態度を見せれば怒鳴りつけるなど感情的なところもありますが、新入生だった魚住がくじけそうになった時、その気持ちを理解して寄り添い、励ましたシーンなどは、田岡監督が厳しいだけの人間ではないことを示すシーンでしょう。
そして最後、湘北に敗れて全国大会への出場を逃した際には、小暮と桜木への対応を誤ったと語り、「敗因はこの私!! 陵南の選手たちは最高のプレイをした!!」と潔く自らの責任を認めています。
また、監督としてはスカウティングにも熱心で、それを通じて湘北とは浅からぬ因縁を持っていることも明かされます。
湘北のスタメンである三井、宮城、流川を3年連続でスカウトしたものの、三井と宮城には安西先生のもとでバスケがしたいと断られ、流川には単に湘北の方が「近いから」と袖にされてしまっています。それでも構想したチームと互角以上に戦えるだけのチームを作り上げた点も、見逃せないでしょう。
熱意を持って仕事に当たり、能力も高く、人格にも優れ、失敗の責任はきちんと認める。
当時の読者のなかで、「自分は田岡監督レベルに達している」と言い切れる方はそう多くはないでしょう。少なくとも筆者は足元にも及びません。田岡監督のような人物に出会うこと自体、極めてまれなような気がします。
若いころは流川や桜木に憧れたものですが、歳をとった今となっては、むしろ田岡監督のような人物に憧れます。そう考える方も少なくないのではないでしょうか。
(早川清一朗)
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