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ゴジラがTV出演した『流星人間ゾーン』、期待集めるもブレイクしなかった悲しい理由

マグミクス / 2021年4月21日 19時40分

ゴジラがTV出演した『流星人間ゾーン』、期待集めるもブレイクしなかった悲しい理由

■「ゴジラがテレビで観られるなんて!」しかし何かが違った…

 映画『ゴジラ対コング』2021年5月14日(金)から劇場公開予定です。この映画スター「ゴジラ」が、かつてテレビ『流星人間ゾーン』(1973年)に出演していたことがありました。しかし番組は期待したほどブレイクせず、全26話と短命で終わります。「ゴジラが出てるのになぜ……」と思いませんか? その理由は、良くも悪くもゴジラという絶対的怪獣王の存在でした。

●業界がざわついた!「東宝が動いたぞ」

 1971年から第2次怪獣ブームが始まりヒーローが乱立するなか、1973年に東宝がテレビ参入します。タイトルは『流星人間ゾーン』、目玉は東宝が誇るゴジラなど豪華メンバーが登場する……というものでした。

 物語は、ガロガバラン星人に破壊されたピースランド星から地球に流れ着いたゾーン家族が、奇しくもガロガが次に狙う地球を守る……というもの。主役はゾーン6人家族の長男の光(ひかる)で、彼が変身、巨大化するなどしてガロガの巨大恐獣と戦います。

 ゴジラの初登場は第4話「来襲!ガロガ大軍団 -ゴジラ登場-」です。監督は初代映画『ゴジラ』で監督をつとめた本多猪四郎氏でした。2体の恐獣に苦戦するゾーンを助けるためゴジラが参上するのです。

「テレビにゴジラが!」録画機器などなかった時代、TVでゴジラが観られるのは衝撃でした。続く第5話、第6話ではキングギドラがゾーンと激闘。第11話で2度目のゴジラ登場、敵はガイガンでした。ゴジラは、第15、21、25話にも登場します。

●ヒーローはどっちだったのか

 ここまでで、すでに「ゾーンの人気がパッとしなかった」理由が見えてきませんか? 当時、筆者や友人たちもこう話していました。

「来週ゴジラ出るかな?」

 そう、ゾーンよりゴジラが観たかったのです。視聴率も第10話くらいまでは10%台をキープしていましたが徐々に下降します。第21話で6.6%まで落ちたことや、資金繰りが厳しくなったこともからんで、2クール26話で番組終了となりました。

 また、画面にゴジラが出ても違和感があったのものも事実です。

 ゴジラが、ゾーンや人間と意思疎通が取れている。言葉を理解する、敵を倒したあとゾーンと握手をして健闘を称え合う……など、な~んか違いませんか?

 確かに、映画のゴジラの演出も子供ウケにシフトしていきましたが、映画では獣のごとく本能で敵と戦っていたのに、テレビでは人に従い人の意思を理解して振る舞う。ズレを感じた人が多かったようです。

ゾーン家族も作中でそれぞれ活躍したが……左・次男の明/ゾーンジュニア、中・長男の光/ゾーンファイター、右・長女の螢/ゾーンエンジェル。画像は『流星人間ゾーン』DVD3巻(東宝DVD名作セレクション)

 ゾーンは、ゴジラを凌駕するオリジナリティを出せなかったのが誤算でした。実際、第3話の次回予告でゴジラが映り、ナレーションで「さあ!今度から出るよ!」と言ったのは、ゴジラ頼みの番組を象徴したかのようです。

 私がもし演出家なら、例えばゾーンがKOされたとき突如ゴジラが現れ、敵を倒し何ごともなかったように去ってゆく。なぜゴジラは助けに来るのか? この謎が後々解明される……そんな面白味をもたせたストーリー性があっても良かったのでは、と思います。

 コアなゾーンファンは今でもいますし、当時の筆者も毎週楽しみに見ていました。しかし突然の最終回に、「ゴジラのせいかな」と子供ながらに思った記憶があります。『流星人間ゾーン』は、ガロガは倒したけれどゴジラには勝てなかった、少し可愛そうなヒーローだったように思います。

(石原久稔)

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